書きたいものがない?
文章を書くことが好きだ。これは文章を書き始めた中学生の頃から変わることのない事実だ。これまで自分の脳みその情報を文字に起こすことでこの世界に訴えてきた。しかしながら想像の世界や苦しみを書きつづけているうちに何も書けない時がおとずれた。どうしよう。文字を見ることすら億劫になっている。他人が書いた文章に感情を抱くこともなくスクロールしてどこかに流れていくだけ。ペンを持ちたい、キーボードを叩きたいという気持ちに揺るぎはないはずなのに、何も浮かばない。感情と文字は繋がっていない。その事実はなんと悲しいことだろうか。
私は考えた。何度も脳みそを泳いで、本を読み、インターネットを覗き、ノートを開いた。寝ても歩いても酒を飲んでも泣いても文字数は増えない。「書けない」という苦しみだけが時間を引き延ばし四方を真っ白なノートで取り囲んでくる。なら、それを書こう。私にはそれしか書くことができない。
私と同じように書きたいのに書けないというジレンマを抱いている人へ。書けないという感情をいっそ文字に起こしましょう。不安で縮こまった感情をどうにか文字に増幅させて、世界に訴えましょう。そうすることでその苦しみは世界のどこかの川を流れやがて想像の海を満たし、生活に光を灯すものとなるでしょう。根拠のない文字への崇高を始めましょう。私たちがかつて感動した文字の世界へ、何も携えることなく飛び込みましょう。