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何度でも観たい! ~映画「街の上で」が忘れられない~

下北沢の風が吹き抜ける、大阪の映画館で

2021年当時、コロナ禍真っ只中。映画館に足を運ぶ回数が人生で一番多かったと思う。ある意味幸せな年だった。その中でも、大阪・梅田の旧テアトル梅田は、私にとって特別な場所となった。今泉力也監督の「街の上で」との運命的な出会いが待っていたのだ(当時より鑑賞記録をつけるようになったが、下記のマガジンは2020年以降の作品が中心である)。


下北沢の空気を感じる

東京・下北沢の若者文化を舞台にした「街の上で」。予告編を何度も繰りかえし観た私は、その大らかな雰囲気に強く惹かれた。こんなにも下北沢を感じられる映画があるなんて! 正直、当時は今泉監督の名前すら知らなかった映画初心者だったけれど、この作品に心を掴まれた。「愛がなんだ」「愛なのに」も、今泉監督の作品の中では特に印象に残っている。


予告編の巧みさ、そして主題歌の力

映画を観た後、もう一度予告編を観ると、その巧妙さに驚かされた。作品の核となる部分を的確に捉えつつ、深堀りはせず、観る者の好奇心を刺激する。そして、ラッキーオールドサンの歌う「街の人」は、この映画の世界観を見事に表現している。下北沢の空気がそのまま音になったかのようだ。

予告編が魅力的だという話は、壊れかけのラジオのごとく以前もしている。それくらい記憶に残っているということである。

今泉節炸裂!会話劇の妙

この映画を、私はおそらく4回観た。3年以上経った今でも、また観たいと思える作品だ。これは紛れもなく、私にとっての名作と言えるだろう。この映画の魅力は、なんといっても「今泉節」と呼ぶべき独特な会話劇にある。フィクションでありながら、日常会話のような自然な流れの中に、コントのようなユーモラスなやり取りが散りばめられている。時には意味不明な会話も飛び出すが、それが逆に面白くて、笑いを誘う。コロナ禍でありながらも、当時、多数の観客と共に笑い声をあげたことが思い出深い。

個性的なキャラクターたちが織りなす人間模様

この会話劇をさらに面白くしているのが、個性豊かなキャラクターたちだ。主人公の荒川青をはじめ、雪、冬子、町子、イハ、間宮…それぞれに魅力があり、そしてどこか素朴で人間くさい。青の周囲には、常に魅力的な女性たちが集まっている。


まとめ

「街の上で」は、下北沢の空気、若者たちの日常、そして人間模様を、ユーモアたっぷりに描いた傑作だ。今泉力也監督の才能、そして素晴らしいキャストたちの演技が見事に融合し、忘れられない映画体験となった。もし、まだこの映画を観たことがない人がいたら、ぜひ一度観てほしい。きっと、あなたも下北沢の空気に包まれるだろう。


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