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令和の桃太郎③《昔話等監視委員会の役割とは?🤔》
初代・桃太郎の活躍後300年となった今、14代目桃太郎を突き動かした日本版FTC(昔話等監視委員会)について触れておきたい。
日本版FTCは、EFTC (欧州童話委員会)をモデルとして、2023年4月に文化庁所管の審議会のひとつとして文部科学省内に設置された。「FTC」は、昔話監視委員会(Folk Tale Commission)の略称である。
その役割は、日本各地に伝承される昔話に関する調査、研究であり、次の3点について検証等を行い、その結果、著しい問題点が把握された場合にこれを関係機関に報告し、その速やかな是正等を命ずる権限を有している。
【検証等する事項】
1 不適切行為、不条理文脈等の有無
昔話には、時として正当な根拠が曖昧なまま、「成敗」等の大義名分で主人公などの傍若無人の振る舞いが一方的に正義であるかのように描かれていたり、「欲が深い」などを原因として、その行為に比してあまりに不条理と言わざるを得ない仕打ちを受けた事実を描いているものも少なくないが、このような行為や文脈が、現代のコンプライアンス、道徳、社会通念に反していないかどうか。
※以下、これらに反している行為や文脈をまとめて「不適切行為等」という。
2 被害者及びその被害等の程度
昔話の主人公などによる不適切行為により被害を受けた、または、不条理な仕打ち等を受けた者の特定及びその被害等の程度。
3 名誉毀損の有無
昔話において、客観的根拠のないまま一方的に「悪い…」とか「欲張りな…」あるいは「意地悪な…」などとされた結果、その童話の直接の読者あるいは読み聞かせをされた幼児、児童等にそのナイナスイメージが刷り込まれることによって、当該昔話の発祥以来の永きにわたり、名誉毀損され続けてきた者の特定。
【是正等の措置命令の対象及び是正等の方法】
1 不適切行為等が確認された場合
その昔話の発祥の地とされる地域が含まれる都道府県の教育委員会に対し、3年以内の期限を設けて、当該昔話の内容を是正させ、その当該都道府県知事との連名により、是正内容を公表させる。
2 不適切行為等による被害者及び名誉毀損された者の救済
その昔話の発祥の地とされる地域が含まれる都道府県の教育委員会に対し、国内主要メディアにおいて、謝罪広告を行わせる。
なお、当該謝罪広告に要する費用は、次の者に共同して負担させる。
また、謝罪者は次の①及び②に該当する全ての者の連名とする。
① 当該昔話をモチーフとした食品(例えば「■■名物●●饅頭」など)その他の商品の製造事業者及び販売事業者
② 観光客誘致を目的として当該昔話を利活用(例えば「●●のふるさと」や「民話『■■』発祥の地」などの表現を用いたPR
)した商工団体、地方自治体
《参考》EFTC (欧州童話委員会)とは
世界中に広まった数多くの童話が生まれたヨーロッパでは、1958年にEurope(欧州)Fairy Tale(童話)Commission(委任された職務を行う委員会)(略称「EFTC」)が設立され、グリム兄弟を生んだドイツのヘッセン州カッセルに本部が置かれ、現在、「不適切童話不拡散条約」を批准しているヨーロッパの35の国が加盟しており、その数は、EU加盟国27より多い。