いつから目指すか#日本語教師
日本語教師を目指すタイミングは人それぞれ違うと思いますが、日本語教師は中途採用市場・非常勤中心だと言われています。
私自身は社会人経験をしてから日本語教師に転職しましたが、職場には新卒採用の若い教師もいて、それぞれにメリット・デメリットがあると感じました。
あくまで私の考えですが、これから日本語教師を目指そうと考えている方の参考になればと思います。
中途採用の社会人経験は有利
420時間の日本語教師養成講座を受けるか、日本語教育能力検定試験に合格して日本語教師になる人は中途採用者が多いと思います。
実際、私が日本語教師養成講座を受講した際の大学生はほとんどいませんでした。(授業の曜日や時間によって変わるでしょうけど、20人くらいのクラスに2人ほど)
受講者は主婦、会社員、国語・英語教師(現・元)などが多かったですし、年齢も20代~60代くらいまで幅が広かったです。
私は子供の頃から日本語教師に憧れていましたが、実際には会社員を7年ほど経験してから日本語教師になりました。遠回りをして日本語教師になったわけですが、私自身はこの遠回りは必要だったと思います。以下にその理由を紹介します。
①自信がつく:社会人経験をしたことにより人前で堂々と振る舞える度胸がついていた
②話題が豊富になる:日本語を勉強する外国人には日本で働きたい人も多いので、日本の会社で働く実情などを紹介すると喜ばれる
③教案や教務が効率よくできる:会社で効率よく働くことを学んできた人間にとっては、教案作成や学生管理などの教務も今までの経験を応用して効率よく取り組むことができる
④差別化ができる:これまでの経験で自分の得意分野がわかっていたら、他の教師との違い、キャラクター性を押し出しやすくなる
つまり、社会で経験したことが授業内外で活かすことができ、未経験でも早く成長できる、いいパフォーマンスができる、というのが中途採用で日本語教師を目指すメリットだと言えます。
頭と体を若く保つことが必要
ただし、今までの経験があることで、新しい知識を学ぶ姿勢がなくなってしまっては元も子もありません。これまで培ってきたことを活かしつつ、日本語教師として教え方を研究することは大切です。
また、日本国内で働くのか、外国で働くのか。教えるレベルは初級なのか上級なのか。クラスの大きさ。などによっては年齢的に教えるのが厳しくなってしまう現実もあります。
たとえば、私の勤め先では、初級クラスでは30人に向けて絵や文字のカードを掲げて大声を張り上げなければなりません。これが4時間続くので、終わる頃には正直へとへとです。
もちろん、近年は学校設備が充実していて、スライドを見せたりマイクを使ったりできる場合もあるので、しっかり学校を選べば問題ないでしょう。
しかし、体力的な制限があれば、職場選びも狭まってしまう、ということには注意が必要です。
新卒者の柔軟な発想は武器
では、新卒者はどうでしょうか。大学で日本語教育を専攻していてそのままストレートに日本語教師になる人がいます。
経験豊富だからこそ頑固になってしまう人がいる反面、新卒者は考え方が柔軟なのではないかと思います。
たとえば教材のデジタル化や共有化といった効率化の方法はベテランの教師からは嫌がられる傾向にありますが、若い教師はあまり嫌悪感を持たないようです。
また、学習者には若者言葉や最新の文化に興味を持つ人も多いですが、このようなことがリアルタイムに教えられるのも若者ならではです。
悲しいことに30代の私も、若手の教師から「最近はそんな言い方しない」と言われてしまいます。反対に、敬語の使い方がなっていなかったり、言葉を知らないなぁと感じることもしばしばありますが、そこは本人の勉強次第で解決してほしいところです。
信用を得るのが大変
新卒からはじめた教師があたる壁だと思うのが、年齢の若さです。
これは学習者が大学生以上だった場合に表れることですが、やはり学習者自身が自分と歳が近い教師に敬意を払いにくい部分があります。
とくに年齢により絶対的な上下関係ができるアジアの国では、教師が歳下となったときに学習者が教師に反発してしまうという可能性があります。
実際に、私と20代の教師が同じクラスを教えた際、私の指示には反対しないのに、若い教師のときには文句を言うということがありました。
また男性教師の言うことを聞きやすいという場合もあり、若い女性教師には逆風が吹くかもしれません。(もちろんデメリットだけではありませんが…)
以上のように中途採用でも新卒採用でも、どちらにもメリット・デメリットがあります。しかし、工夫次第でデメリットを解消してメリットを大きくすることもできます。
日本語教師という仕事は何歳から目指しても、そのときの自分の良さを活かせる仕事だと思います。