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日常の話

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最近読んだ本や見た映画など日常のことについてまとめています。
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#ヨーロッパ

気づかずに通り過ぎることだけは避けたい愛を書き連ねる

気づかずに通り過ぎることだけは避けたい愛を書き連ねる

・夏の早朝の透き通った空気

夏の朝はやく、5時でも6時でもいい。
まだ暑くなる前の透き通った空気、騒音のない静かな雰囲気、誰にも汚されていない時間帯。まだ鳥も人間も目が覚めていないような、世界中がまだ眠っているような、そんなぽっかり穴があいたような空間にただひとり、起きる。この世界をはじめるのはわたしだ、と高らかに宣言しても誰も聞いていないような、そんな見放された時間がとにかく好きだ。

・ヨー

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たいしたことある日々のこと221128

たいしたことある日々のこと221128

2022年の11月がそろそろ終わろうとする。

久しぶりに何かを書きたくなってnoteの下書きページを開いてみたら、投稿せずに終わった8月のとある書きかけの文章を見つけて、そこから過去の記憶をひとつひとつ紐解いてたどり寄せると2020年からの日々は、たいしたことがあることばかりだったと思い返し、今回のタイトルは「たいしたことある日々のこと」とすることにした。

そう、たいしたことばかり起きていた。

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断片的な思考の備忘録と、きらきらしていないほうのプロヴァンスの日常について

断片的な思考の備忘録と、きらきらしていないほうのプロヴァンスの日常について

フランスにいるといろんな国籍のカップルと話す機会に恵まれるのだけど、アルジェリアにルーツのある女性(ほぼ同い年)と話をした時、彼女の自覚的か無自覚か「男性を立てる」姿勢が言葉の節々に出ていたの、どこか昔の日本のようで、アラブ社会は父権的家族制が根強くあるんだよなあと改めて思い出した。

仕事は生活のためで別に好きでもないという彼女に「この先どんな仕事がしたい?」と聞くと、「わからない。何かの勉強を

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たいしたことない日々のこと220618

たいしたことない日々のこと220618

プロヴァンスはフランスの一部であるけれど、プロヴァンスがイコール・フランスそのものになるとは限らない。

いわゆる多くのひとが一般的に想像する「フランス」は「パリ」のイメージで、プロヴァンスははっきりいってそういうものとは真逆のような気すらする。オスマン様式のアパルトマンに囲まれた都市ではないし、メトロもエッフェル塔も凱旋門もない。エクス・アン・プロヴァンスなら高級感のある雰囲気は感じられるけれど

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たいしたことない日々のこと220608

たいしたことない日々のこと220608

先週末、折り紙のワークショップを近郊の街でやってきた。

ひとりで老若男女のフランス人を相手に、とはいえ主に小さい子どもが多くて2日間で50人以上折り紙を教えただろうか。2週間前にも同じようなイベントを実施したから、慣れていた部分もあったし今回はより静かな環境で、ゆったりと時間をとって実施できたのも良かった。総じて充実した週末。

そして、心に響くような言葉を抱えきれないほどもらったのだった。

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たいしたことない日々のこと211116

たいしたことない日々のこと211116

5年以上も前に買って、大事していたカップが今日割れた。

2017年、1度目のフランス留学のときも2020年秋からの2度目の滞在も(長期間で捉えれば2度目といっても差し支えないだろう)ずっとこのひとつだけはスーツケースの中に入れて、必ず毎朝のコーヒーかミントティーを入れて飲んでいた愛用品。

手捻りのような手持ちのやわらかさと、口元にかけてひろがってゆくゆるやかな曲線と、手にもつたびに安心感があっ

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