【ドイツ周遊】エルベ川の真珠・古都ドレスデンの歴史を感じる街歩きの旅
こんにちは。
ドイツ・ミュンヘンに留学中の大学生、桜です。
今回はドイツ東部の街、ドレスデン。
現在のドイツの礎を造った三王家、ザクセン、バイエルン、プロイセンのうち最も古いザクセン王家が栄えた古都ドレスデンの、歴史や風情を感じながら旅します。
ザクセンの古都ドレスデン
ドイツの数々の歴史的な街の中でも、ドイツ王家に深い興味がある私が特に訪れてみたかったのがドレスデン。
ここにはドイツの礎、さらにはヨーロッパの礎を作ったとまで言えるであろう王家・ザクセン家が栄えました。
その所以は10世紀にまで遡ります。
かつてカール大帝が治めた大国フランク王国は、彼の死後3つに分裂します。
そのうち西側が現在のフランス、真ん中は現在のイタリア、東側が現在のドイツになるのですが、
その東フランク初代王に輝いたのが、ザクセン家出身ハインリヒ1世でした。
そして聞いたことがある人も多いでしょう、ハインリヒの息子オットー1世は東方の民族の侵入を食い止めたことが評価されて、当時の権威であるローマ教皇から戴冠を受け(“オットーの戴冠”)、
これが、中世ヨーロッパの世俗の頂点とも言える「神聖ローマ帝国」の始まりだったのです。
言ってしまえば、ヨーロッパを長きに渡り席巻した唯一かつ最強の権力“神聖ローマ皇帝”の称号は、ヨーロッパの一国ドイツのザクセン王家から始まったということ。
そんな歴史ある王家が都としたドレスデンという町を、今回は旅します。
天気はほぼ快晴、駅前は現代風の建物が続いていたものの、旧市街エリアに入ると一瞬で雰囲気が様変わり。
旅先で出会うジェラートって、絶対買ってしまいます。
そして広場に出て目に入るところに立つのは、
ザクセン選帝侯の中でもおそらくもっとも有名であろう、フリードリヒ・アウグスト一世。
それにしてもドイツって、フリードリヒだのアウグストだの同じ名前が多すぎる。
君主の行列
大学1年の時に授業で先生が紹介しているのを見て以来、本物をこの目で見てみたいと切望していたのがこの「君主の行列」と呼ばれるタイルの壁画。
ザクセンの歴代35人の君主達がずらりと並んでいます。
また、これはザクセン王家発祥の地マイセンの伝統であり、ザクセン王家自身も力を入れた特産品「マイセン磁器」のタイルでできた壁画で、ザクセンの権力を素材から発揮させています。
ちなみに私のお気に入りは、モーリッツ。
まず第一に、名前がオンリーワンで分かりやすい!
これすごく高得点!
そして彼は、その時その時で皇帝に寝返ったり新教側についたりして“裏切り者”呼ばわりされることもあった人物なのですが、
あくまでも全てはザクセン、さらにはドイツを守るための大人な対応をしたまでであるという、
言わば嫌われ役を買って自国と自国民を守った陰のヒーロー。
税制や教育を整えザクセンの内政にも大いに貢献したと言う点でも、私は彼を評価したいです。
君主の行列、遠くから見るとこんな感じ。↓
聖母教会
続いても、ドレスデンで見逃せないスポットのひとつ、聖母教会(フラウエン教会)。
存在感抜群のドーム型が見えてきました。
いやぁ…
地面の人間と比べてもわかるように、大きさが半端じゃなく圧倒されます。
そしてこれまた凄い背景を持っていて…
実はこの教会、一度原形もとどめないほど粉々に破壊されているのです。
時は1945年、第二次世界大戦の戦火がドレスデンにも及び、英米同盟軍の空襲がこのフラウエン教会を襲います。
美しいドーム型は一瞬にして崩れ去り、その場には痛々しいがれきの山だけが残りました。
しかしこの破片を一つ一つかき集め、使えるものは洗浄し、丁寧に継ぎ足しながら元通りに戻してしまうのが生真面目なドイツ人。
その仕事人っぷりには舌を巻きます。
※上現在のものの写真でところどころ黒ずんでいるパーツがありますが、それが一度空襲を受けて大破した教会の破片です。
ちなみに、「ザクセンのヘラクレス」の異名がつくほど力持ちだった当時のザクセン王フリードリヒ・アウグスト1世=アウグスト強王は、
ザクセン国内ではプロテスタント(新教)の政策をとっていたにもかかわらず、ポーランドの王を兼ねようとしたときに「ポーランド王はカトリックである必要がある」と言われころっとカトリック(旧教)に改宗してしまいます。
つまり、当時のザクセンの王様が信じるのはカトリックだったのです。
しかし御覧のように、フラウエン教会の真正面にはプロテスタントの創始者、マルティン・ルターの銅像が!?
そう、この教会はれっきとしたルター派の教会として建てられたのでした。
領土と権力のためにカトリックに改宗した王に対する一種の対抗として、こんな大きな素晴らしいプロテスタントの教会は建てられたのだそう。
カトリック旧宮廷教会
別名・三位一体教会。
ここには先ほどのアウグスト強王の心臓が保存されているので行ってみたのですが、見事ミサの時間にド被りし入城を断念・・・
ザクセン王ヨハンの騎馬像が目の前の広場にありました。
この人は19世紀のザクセン王で、有名なダンテの『神曲』をドイツ語に翻訳したことでも知られています。
ツヴィンガー宮殿
そしてドレスデンの宮殿と言えばここ、ツヴィンガー宮殿。
これを建てたのは、またまた登場アウグスト強王です。
バロック様式が有名なここドレスデンの中でもバロックの象徴ともいえるような宮殿。
壮大で華やかな作りが特徴です。
建物は博物館になっていて、庭園はなぜか芝生が全部はぎとられて入場できませんでした…
ちなみに↓の写真が19世紀ごろのツヴィンガー宮殿だそう。
芝生があったらもっと綺麗だっただろうな~と思いつつ・・・
さすがに金メッキは塗り替えられていると思いますが、とても綺麗。
スタイリッシュなゴシックよりも、華やかなバロックだったり妖艶なロココが私の好みに刺さるのは、やっぱりどこか勿体つけた麗しさが感じられるからだと思います。
川の向こう岸へ
旧市街の外も見ていたいと思い、川を渡ってノイシュタット(新市街)へ。
ここで、今までの銅像とは一線を画し、体から馬まで金色に輝く騎馬像を発見。
そう、言うまでもなくこれは、ポーランド王を兼ねてツヴィンガー宮殿を造りドレスデンの繁栄の立役者となった強王フリードリヒ・アウグスト1世。
街を歩いてみると、さすが元東ドイツ、凄く東っぽい、共産主義っぽい簡素で効率第一!といった感じの建物が出て来ました。
ちなみに今日のご飯はマクドです。
旧東側のエリアで、めちゃくちゃ西側のものを食べちゃいました。
チェコ・プラハへ
実は実は!
ここから私の夏の東欧旅行記が始まるのです…
ドレスデンのバス乗り場、めちゃくちゃややこしくて参ったんですけど、東欧旅行記も是非ちらっと覗いてみてください。
それではまた!