見出し画像

「ガッツ」な女子アナ・RCC田村友里(26)【後編】ガリ勉時代と大学受験の挫折、就活での苦悩…

  RCCの情報番組「イマナマ!」で「花よりガッツ」のコーナーを担当するアナウンサー田村友里さん。「休むより仕事してたい」という「ガッツ」は、幼い頃から育まれてきたようです。憧れの仕事に就くまでに大学受験で経験した挫折と就活での苦悩。今も続くたゆまぬ努力の日々とは。まだまだ聞きました。(文・栾暁雨、写真・山下悟史)

前編「休むより仕事してたい!」を読む

高島彩さんに憧れて、小学生の頃から人生設計をしてきたんですね。

 就活で有利になるように有名な大学に入らなきゃ…と思っていました。なので小中高時代は「ガリ勉」。勉強ばかりして、親に「遊んできたら?」と逆に心配されたくらいです。

 おかげで成績はずっと学年上位で、高3の時は東大目指して一直線でした。でも受験には失敗。あまりにも東大のことしか頭になくて私立大用の勉強をしていなかったので早慶も落ちてしまって。人生最大の挫折でした。浪人も考えましたが、私の最終目標はアナウンサー。早くゴールにたどり着くため、センター試験の点数が利用ができた明治大に進学しました。

 この挫折から学んだのは「置かれた場所で咲く」ということ。環境じゃなくて、自分がどう努力するかが大切なんだなって。実際、明治大では努力して夢をかなえた友人や尊敬する先輩にたくさん出会いました。そんな経験を今、ラジオを聞いてくれる学生さんたちに話しているので、仕事の糧になっていると思います。「人生に無駄なことはないんだ」というマインドになれたことが一番の収穫かな。

 就活もかなり苦戦しましたね。アナウンサーになれるなら全国どこへでも行くぞ、と50社以上エントリーしましたが、落ちに落ちて。自信をすっかり失いました。その時にアナウンススクールの先生から言われたのが、私の座右の銘になっている「奇跡を待つより捨て身の努力」という言葉です。「落ち込む前にもっと努力しろ。他の人の10倍頑張ったら必ずアナウンサーになれる」と。まだまだ私は努力が足りなかったなと反省しました。

 受験と就活の苦労のおかげで、仕事で失敗した時もメンタルを強く保てるのかもしれません。ただ、恋愛だけはどうも苦手で。ラジオの恋愛相談コーナーでは全く機能しないまま幕を閉じました。私の恋愛は中2レベル。もう少し経験して挫折しないとですね。

人生そのものが「ガッツ」ですね。でも、目標があったとしても、よくそんなに頑張れるな、と驚きます。

 どうしてなんでしょうね。私、自分につい期待してしまうというか、期待したいというか。負けず嫌いでもあります。でも、実はかなりへこむタイプですよ。「笑う門には福来たる」の精神で、いつも笑顔を意識していますが、すぐ落ち込みます。

 ただ、回りにネガティブな感情をまき散らしたくはない。悩みや愚痴を話すのは呉にいる母親です。一番の理解者で親友。よく長電話しています。私の話をただ聞いてくれて、否定はしない。「大丈夫、大丈夫」と寄り添ってくれます。

 リフレッシュ方法は週1回は海を見に行くことかな。広島市内だと宇品。地元・呉の近くだと水尻や蒲刈島。2、3時間ぼーっと眺めて頭をすっきりさせます。ありきたりですが、「海は広いなー、それに比べて私の悩みはちっぽけだな」と、元気をもらえる。ちなみに宇品くらいだと、自転車で行きます。海に向かって必死に自転車こいでいる女がいたら、それは私です。

実は報道志望だとか。

 はい、意外に思われるかもしれませんが。就活の時から「報道がやりたい」と言い続けてきました。でもバラエティー向きと局に見いだしてもらったのは本当に感謝です。「花よりガッツ」が始まった頃は視聴者からインパクトありすぎと驚かれることも多かったんですけどね。アナウンサーにこんなことさせるんか? の苦言もありました。でも、それだけ皆さんの印象に残っているんだと、前向きに受け止めています。

 それにベテランディレクターの下でロケのイロハを学べるのは幸運です。ダメ出しが多いけど、負けず嫌いが発動して「上手になって、ギャフンと言わせたい」という気持ちでやっています。でもやっぱりいつかは報道に携わりたい。できる努力はしておきたいので、防災士の資格も取りました。最近は、ある難関資格取得を目指してオンライン授業も受け始めました。無事合格したら発表しますね!

本当に努力家ですね。

 アナウンサーの仕事ってすごく幅広い。RCCはラジオもあるのでなおさらです。発声練習に食リポの練習…。勉強することが尽きません。苦手な食リポを克服するために自分なりに味に関する語彙(ごい)を増やす特訓をしたり、ラジオのフリートーク用に松本人志さんの「すべらない話」のネタをノートに丸写ししたり。夜中の3時4時まで準備することも多くて。

 夜型人間なので割と元気なんです。それ以上に、準備不足で失敗して場が凍り付く地獄絵図を想像すると、恐ろしくて眠れない。自信を持てるまでしっかり準備してこそ放送で堂々とできるし、楽しめる。じゃないといつものように、はっちゃけられないと思うんです、私。

 アナウンス技術の基本ができていれば、個性は大切にするのがRCCの懐の深さ。だからこそニュース読みや中継、ナレーションの力をきちんと磨かないといけないと思っています。「ガッツ」の名に恥じないよう、一生かけてアナウンサーの職を極めたいです。

最後に、エッセー本「RCCアナウンサー田村友里です。」についてです。好評だそうですが、オファーがあったのでしょうか。

 いえ、全く。自分で出版社に売り込みました。「花よりガッツ」ではこれまでタオルや米などのグッズを作ってきました。次は何にする?と聞かれ、提案したのが本です。理由は、高島さんや安住さんたち、憧れのアナウンサーが皆さん本を出していたから。一流を目指すなら私もやってみたい!という気になって。勢いですね。

 注目ポイントは、この本のために6千枚以上撮影した中から厳選された写真の数々。普段のイメージとは違う私の奇跡の一枚が見られるかもしれませんよー。目標? もちろん重版です!!

 たむら・ゆり 1996年呉市生まれ。ノートルダム清心中・高を経て明治大政治経済学部卒。2019年中国放送入社。アイドルグループ「嵐」のファン。