見出し画像

つるかめ算がいかにクソか

概要・主旨

今はどこもかしこも教えている。
場合によっては「つるかめ算」という単元を立項している。
つるかめ算かいかに短期的にしか使えない解法で弊害が大きいか説明する。

つるかめ算の説明とハマりポイント

ご存じと思うがつるかめ算の説明。
つるとかめが合計10匹いて足の合計が28本。かめは何匹?
という問題で下の絵を描いて、4匹という答えを出す。

わかりやすい解き方なので子供はすぐに覚えて使う。
これで解ける基本問題を何問も解いて固着する。

しばらく後に次のような問題に出会ってハマる。
じゃんけんで勝ったら5点、負けたらー3点。
20回じゃんけんして60点だった時に何回勝った?

つるかめっぽいので上の面積図を使おうとして止まる。
下手したらマイナスを無視して5と3で面積図にしたりする。


何が良くないのか

絵を描くのが悪いわけではない。
算数で絵を描くのはとても大事なことだ。
面積図が悪いわけではない。
一問目を解く上でこの面積図は最良の絵かもしれない。

では何が良くないのか。
2つある。

1つは、この絵を使う判断部分を省略している点だ。
問題からこの面積図を使う理由の部分を飛ばしている。
面積図ありきで覚えてしまっている点だ。

2つ目は名前と反復練習だ。
「つるかめ算」という名前は覚えやすい。
この面積図も覚えやすい。
そしてこれで解ける問題を反復してやらせる。
するとどうなるか。
同じような問題を見たらこの解法しか見えなくなる。
他の道を探すことができなくなる。

結果2問目のような問題でもなんとか面積図にしようとする。

じゃんけんで勝ったら5点、負けたらー3点。
20回じゃんけんして60点だった時に何回勝った?

この記事で紹介した「ルールを見つけさせない方法」と同じ話。
特定の解法とその解法を反復させることの弊害である。

つるかめ算マスターになることが最終目標ならそれでも良い。
しかし中学受験というスコープで見るとそうではない。


ではどうすればよいか

早めに面積図で解けない2問目のような問題を解かせることだ。
頭がつるかめに固着しない内に解かせる。

それによってつるかめ単元での成績は下がるかもしれない。
シンプルにつるかめさせておく方がその単元だけなら成績は良いだろう。
しかし固着させた後の矯正にはコストがかかる。
(いったんの)目的が中学入試でありそのレベルで通用しないなら短期的な成績は捨てて長期的な効率を考える方が良い。


具体的な解法について

今回の2問に共通して使えて中学受験スコープで通用する解法。
それは一方に寄せて全体の差を出し、その全体の差を1つ1つの差のいくつ分かを求める解法だ。

例えば1問目。

つるとかめが合計10匹いて足の合計が28本。かめは何匹?

全部つるなら足は20本。8本足りない。
1匹つるからかめに変えると+2本。
8÷2で4匹かめになる。


2問目。

じゃんけんで勝ったら5点、負けたらー3点。
20回じゃんけんして60点だった時に何回勝った?

全部勝つと100点。
実際は60点なので差は40点。
1問勝ちから負けに変わると8点減る。
40÷8で5回負けにすればよい。


備考

当然の話だがこの解法への固着問題を考える必要がある。
この解法はつるかめ算と比較して対応範囲が広い。

自分がこれまで解いたレベルの中学受験ならこの解法で概ね問題ない。
偏差値65以上等の超上位校はあまり見てないので、子供の狙う学校の入試問題を見てこの解法で弊害がないかは確認して欲しい。
弊害があるなら適切なタイミングでこの解法に拘ると解けない問題を当てて固着を防ぐと良いだろう。

最後にフォロー。
つるかめ算は中学受験という観点で見るとまじでクソだと思っている。
が、差集めは難しい。
学校でまずつるかめ算を教えるというのは間違いではないと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?