同じことをやり続ける自閉症の子の心理とはいかに…
あるパーティーへの招待状がきた。
主催者には恩があって、行かないわけには行かない。でも、行きたくない。
理由は、そのパーティーに行っても知り合いが一人もいないから。
ぼっち参加。心細い。
そのパーティーに先日参加した。
行って、挨拶して、しばらく過ごして帰ろうと。
受付を済ませ会場に入ると、立食バイキングスタイル…。
苦手だ…。
だって、着席式と違って、「自分の居場所」がない。それがたとえ指定された場所で、周りが誰も知らない人でも、「自分の席」があるだけで落ち着くのに…。
主催者に挨拶を済ませ、料理の並ぶテーブルへ。
アメリカン・ベトナム料理やあとよくわからない料理。
豪華だけど、とりあえず失敗はしたくないから、無難にアメリカンをお皿に少しずつとる。
さて、自分の居場所を見つけなければ…。
会場を見渡すと、そこに私と同じように心細そうにしている人が…。見覚えがある。辛うじて名前を思いだす。ナンシーだ!
ナンシーも、どうやら私の名前を辛うじて憶えてる程度のようだけど、彼女もぼっち参加。どちらが言い出すわけでもなく、自ずと二人で過ごすことに。たいして仲が良いわけでも、共通の話題があるわけでもないけど、「二人」でいることで、お互いに安心できる「居場所」ができた。
ナンシーがいてくれたおかげで、最後までパーティーに参加できて、すっきりした気分で家路へ。
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なぜこんなパーティーの事を書いたかってね、このパーティーの経験が、自閉症の人達のこだわり・常同行動(体を揺らせたり・同じ言葉をつぶやき続けたり・手をひらひらさせたりといった自閉症の人によく見られる行動)の心理を説明するのにわかりやすい例だから。
「うちの子のこだわり。どうやったらやめさせられますか?」
こんな相談を今まで何度も受けてきたことがあるんだけど、ちょっと私のパーティー体験で考えてみてほしい。
● もし周りが知らない人ばかりだったら、自分の席があったら、落ち着くよね。
● もしよくわからない食べ物ばかりだったら、今まで食べたことがある料理の方が安心するよね。
● もし不安な状態で知っていることがあったり、知っている人がいれば、その人とずっといれば安心だよね。
自閉症の人の「こだわり」は、不安な状況でこんな「安心・安全」を求めた行動の一つ。
そして常同行動は、「安心材料」が何もない時に、「自分の知ってる行動(それによって得られる感覚刺激)をすることで自分を安心させよう」とする為の行動。
こだわりは安心を求め、常同行動は不安からの逃避。
ここでこだわりをとりあげ、常同行動をやめさせようとしたら、残る物は「不安」だけ。
だからね、こだわりや常同行動は、やめさせようとしたり、取り上げようとするんじゃなく、「もっと安心できる状況や環境を提供する必要がある」っていうサイン。
例えば、授業中離席したり、常同行動をする子がいたら、もしかしたら「授業が難しすぎて、何が起こってるのか、何をしたらいいのかわからない」っていう不安の表れかも。
こんな子に必要なのは、無理矢理席に座らせることでも、常同行動をやめさせることでもなく、「安心=わかりやすい授業や支援」を提供する事なんだよね。
だからね、
「うちの子のこだわり。どうやったらやめさせられますか?」
への答えは、
「不安を取り除き、安心できることを与えてあげてください」