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積極奇異型アスペルガーのサクセス・ストーリー。その鍵は?

息子がアスペルガーの診断を得てからというもの、事あるごとに専門家の先生方から「アスペルガーの王道を行く子だね」「アスペルガーど真ん中だね」と言われ続けた息子。一体何を持ってそんなに息子がキング・オブ・アスペルガーだったのかは未だにわかるようでわからないんだけど、積極奇異型/受動型/孤立型 等々あるアスペルガーの人の「型」の中で一番多い積極奇異型なのは昔も今も同じ。

今日はそんな「積極奇異型」と共に成長してきた息子のお話し。

小さい頃から息子はアスペルガーの人によくある例に漏れず、知識探求が大好きで、興味を持ったことに関してはその分野に詳しい大人をうならせるほど本当に知識が深いんだよね。


でも小さい頃の積極奇異型アスペルガーの息子は、受動型/孤立型の子とは違って人と関わろうとしてるように一見見えるんだけど、それはコミュニケーションを楽しもうというより、自分の興味のある知識を一方的に話したいがためだけに、人に寄って行って話しかけてたんだよね。
そのうえで「相手は自分の話す事は何でもわかってて興味がある」って思い込んでるから(心の理論の問題。この件についてはまた別の時に。)相手との関係性に摩擦が起きるんだよね…。

この「自分が流ちょうに話せるほど相手の話や気持ちを理解できていない」っていうアンバランスさは、積極奇異型アスペルガーの人がとっても誤解を受けやすい特徴の一つでもあるんだよね。流ちょうに話すから、自分のキャパ以上の事を求められて、それを理解するのが難しいから、「おかしな人だな」「からかってるのかな」って誤解されちゃう…。そして自信を失う。

だから、小さいうちは「虫博士」「電車博士」なんて呼ばれたりして、同年代の子達から尊敬されたりもするんだけど、小学校に入った辺りからだんだん友達とのコミュニケーションスキルにギャップができ始め、友達関係で苦労しだすんだよね…。

そんな息子が学校でソーシャルスキルトレーニング(SST)を受けるようになり、めきめきソーシャルスキル(社会性)が向上していくにしたがって、弱点だった息子の積極奇異型が強みに変わってきた。

例えば、今スポーツ観戦が大好きな息子は、いくつかのスポーツの知識が半端ない。そしてその知識と積極奇異を武器に物怖じせずどんどん有名な人にSNSでコンタクトをとったり、試合前後に直接話しかけたりして相手に気に入られ覚えられる。昔の一方通行な独りよがりの会話とは違い、相手が喜ぶツボを心得ているから。

ここに社会性が伴っていないと危なっかしいだけだし、嫌われたり避けられたりもするかもなんだけど、そのあたりも今では大丈夫。「次回のチケットあげるから電話して」って携帯番号を教えてもらった事も数回。でも、用事のある時以外には決して電話しちゃいけない事を心得てるから相手からも更に信頼される。

サインが欲しくても言い出せない友達や、話しかけたくても中々話しかけられない友達を尻目にどんどんアプローチしていって、友達が後を付いて行く。だから友達の中ではちょっとしたヒーロー。

それもこれも、生まれ持った元々は息子にとってハンデだった積極奇異に「社会性」が伴った事でそれが強みになったからこそ。

障害を持って生まれてきた人に「障害を克服しなさい」なんて事が結構当たり前のように言われたり、「障害の克服こそが支援の目的」なんて思われたりもしてるけど、

障害の特性を「他の人にはない独特な部分」と考えてその「他の人にはないものを活かす」っていう新しい視点を息子の成長は私に教えてくれたんだよね。

チョーク製造で有名な日本理化学工業が、自閉症の人の障害の特性を「強み」と考えて採用しているような、そういう視点がもっともっと増えて行ったら「自閉症の人が、自閉症の人らしく」生きられる社会につながるんだろうなぁ。そんな未来を見据えて、支援の仕方を考えていきたいな。


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