焦桐『味の台湾』(みすず書房)には全六〇篇が収録されています。原書からより抜くにあたって、そして収録作品を並べるにあたっては意図もあり、また訳すにあたっての感想もあります。「訳者あとがき」には載りきらないいろいろをつぶやきましたが、あらためてまとめておきます。 南北や店による違いを書き出し、具体的な店名を多く取り上げる本書における印象的な構成がよく表れている。しかしただ滞りなく進むのではなく、「ああ、人生には肉円を食べるときのように、あわただしく進まなければならない瞬間のい