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映画の感想

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記事一覧

働くこととモノの奥にある世界◆映画 『駒田蒸留所へようこそ』

現在公開中のアニメーション映画 『駒田蒸留所へようこそ』を観てきました。 この作品はウイスキーの蒸留所が舞台となっており 若くして蒸留所を引き継ぐことになった女性が主人公です。 震災によって原酒が失われてしまい さらに家族がバラバラになることで製法の一部が失われてしまい もう作れなくなってしまったウイスキーの復活を目指す というストーリーになっています。 P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」 こちらの作品はP.A.WORKSという 富山県に本社があるアニメーション会社が

映画『バービー』何者でもない私で生きていく

当初、バービーの販売促進映画だと思いこんでいたため、 全く観る気がなかった。 けれども、noteでフォローしている方の記事で、 「本国では映画を観た後、別れたカップルがいた」ということを読んだり、 同性愛に関する描写があるために、上映禁止した国があると聞き、 (レバノン、マレーシア、アルジェリア、など) 一体どんなものを見せられるんだろう、と好奇心が抑えきれなくなった。 上記の出来事から、 女性の権利向上やLBGTQに関する内容なのかなと予想していたが、 鑑賞後に「自己喪

映画『君たちはどう生きるか』感想 -人類の営みへの肯定-

『君たちはどう生きるか』を観てきた。 映画レビューは星1つの人と、星5つの人に大きく分かれており 平均をとるとだいたい星2の後半から3の前半という、 ちょっと観るのをためらってしまうような数値になっていた。 そのため、 「何を目の前に出されてもとりあえず食べるぞ」という 僻地に住む民族の取材に行く TVレポーターのような心持ち(?)で臨んだ。 結果、 「うん、おいしかったんだけど、  私一体何を食べされられたんだろう?」という状態になっている。 誰かの見る夢を一緒に見

『RRR』感想

昨年から「3時間の上映時間があっという間に感じるくらい面白い」 と話題になっていたインド映画『RRR』。 地域の映画館で上映しておらず、 レンタル開始でようやく観ることができた。 (今回も記事もネタバレがあるため これから観る予定の方はここでページを閉じて もしよければ観終わってから戻ってきてください) あらすじ 舞台はイギリス植民地下のインド。 英国人がインド人を物のようにいたぶり 幼い娘を誘拐同然に連れ去ってしまうという ショッキングなシーンから始まる。 主人公

『Coda あいのうた』感想 -家族という憎らしくて愛しいもの-

「Coda」とは、耳の聞こえない両親に育てられた子供、という意味だそう。2022年にアカデミー作品賞などを受賞しているため、 以前からこの映画については知っていたものの、 家族をテーマにしたものは、 自分の中の様々な感情が刺激されすぎるのでなんとなく避けていた。 自分以外は耳が聞こえない家族の中で、 「歌」に魅せられてしまった女の子、という設定だけで、 「いやもう、それしんどそう」と思ってしまって。 でも、最近観た岡田斗司夫さんのYouTubeで、 辛口の岡田さんが「わけ

映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』感想

春になると桜を、秋になると紅葉を観たくなるように、 ゴールデンウィークになるとコナン映画を観たくなる。 原作もアニメも追っておらず、 1年に1回季節性のコナン女子になる素人の感想です。 ※ネタバレ含みますので、これからご覧になる人はご注意ください。 今回の映画は、顔認証システムがキーになっていた。 名探偵コナンが連載開始したのは1994年。 そのころは、日本での個人向けのインターネットサービスがようやく始まったくらいで、利用者は人口の3%以下だったとか。 江戸川コナン

『THE FIRST SLAM DUNK』敗北は経験であり過程

映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観てきた。 いちおうスラムダンクのアニメ世代なので、主なキャラクターやストーリーはなんとなく知っているけれど、しっかり漫画やアニメを見たことがない、しかもバスケのルールも体育の時間に習った程度、という状態。 そんなやつが何で映画を観にいこうかと思ったかというと、「応援上映」という、映画だけれども本物の試合さながらに声出し応援をしながら鑑賞できる会が設けられていて賑わっているとニュースで知ったため。 「いやいや、結果がわかっ

『すずめの戸締り』感想

新海誠監督の『すずめの戸締り』を観てきました。 他の方のレビューを読まずに、また前知識を極力入れずに観にいった感想なので、見当違いなことを書いているかもしれませんがご容赦ください。 ネタバレありますので、まだ観ておられない方はご注意ください。 語られない歴史 「History」という単語はHis(彼の)Stroy(物語)という意味であり、特定の人物が成し遂げたことが「歴史」として記録されるからだと聞いたことがあります。 『すずめの戸締り』はその逆で、語り継がれることも

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』のネタバレ感想

はじめに この記事には『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』のネタバレを含みます。 まだご覧になっていない方はご注意ください。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ネタバレなしの感想 ゴールデンウィークの風物詩(?)のコナン映画を観てきました。 今回は推理よりもアクション多めだったなと感じました。 推理苦手な私でも、消去法で犯人わかっちゃうくらいだったので。 モチーフがハロウィンで、舞台が渋谷ということで、 もしかして今年は渋谷のハロウィンの賑わいを復活させたいという(どこかか