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おもしろい色があるんだけど、見に行かない?

ひとことで言い表すことが難しい色に出会うたび、思い出す場所がある。

27年前、たった一度だけ訪れたパキスタンのケウラソルトマイン、塩の山脈だ。150年以上に渡り採掘が続く巨大な塩鉱山の内部では、神秘的な色が育まれている。

あるところは、くずれそうに甘い桃のようにやわらかい色。
あるところは、朝焼けを飲み込む雲のようにあざやかな色。
あるところは、不敵に笑うジャックオランタンのように猛々しい色。

それらの色のどれもが私のこころに宿り、今もなお、人生の端々で顔を覗かせては、塩山の中で消えていったあの小さな気球のように旅を続けている。

あの日、父と母と姉とともにケウラで見た色に、もう一度包まれたい。こころで育まれていく不思議な色を、妻と娘と息子に見せてあげたい。

週末に、ちょっと聞いてみよう。
「おもしろい色があるんだけど、見に行かない?」

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