それぞれの"新参者"
はじめに
お疲れ様です。ぎんちゃんと申します。今回お誘いいただいた #坂道オタクアドベントカレンダー で12/17公開分のものを担当しています。11月の残業時間がLEAP HIGH!していてもなんとか生きています。アイドルの皆さんありがとうございます。あなた方のお陰でわたしがあります。
さて、本稿は2023/10/27〜12/3の期間に開催された”新参者”(※1)について、ライブ公演に参加した感想やそれぞれの”新参者”の現在地、展望、あたりの話を書いていくものになります。筆者は乃木坂櫻坂日向坂ともに追いかけている身であり、今回運良くそれぞれのグループで1回ずつ現地参戦できたので、それぞれの公演で感じ取った現場的な部分や横断的な話等ができればと思います。それではどうぞ。
※1:坂道シリーズ3グループの”新参者”(乃木坂5期生、櫻坂三期生、日向坂四期生)たちが新宿の東急歌舞伎町タワーにてライブ公演や館内コラボレーションを展開している。東急案件(?)
自己紹介
本題に入る前に前提というか筆者のオタク遍歴だったりを説明しておきたいと思います。まずこれから書く記事自体は三坂(この言い方あんま好きじゃないけど)についてではありますが、分析とか戦略を考えるような、あるいは考察的なものでもなく、一言で言ってしまえば感想なんですけど、その感想は自身に積み重なった地層からフィルタリングされているわけなので、そのあたりのバックグラウンドを書いておくことで補助線の役割を果たせられたらと。術式開示(?)。まあこんなやつが書いてるんだな、という感じで参考程度にどうぞ。
Twitterアカウントたち(両面)
①主に坂道関連(@LioNel117to)
②地下とかラポネとか(@70_amethyst)
オタク遍歴
いくつかの記事では折に触れて書いていたりしますが、筆者は1993年生まれ、ちょうどこの記事を書いている時点で30歳です。渡辺麻友世代。中高生時代にはAKBが流行っていたものの、明確にアイドルを好きになって自分にとっての「推し」が生まれたのは2012年頃、ももクロからでした。当時の推しメンは高城れにさん。その後ももクロと同事務所の私立恵比寿中学、チームしゃちほこ(現:TEAM SHACHI)を経て、2014年頃からいわゆるライブアイドルに主軸を移してオタクしていました(これは今でも)。
そんな私が秋元系(あえてこの表現をします)アイドルを好きになった走りは2015年の乃木坂神宮(太陽ノックストンプは辛い思い出)。当時は橋本奈々未さんが好きでした。ただ2017SSAで一旦乃木坂から離れたので、工事中(乃木坂工事中)やけやかけ(欅って、書けない?)は観ていたりしたものの、坂道に「推し」ができて本格的に応援するようになったのは2020年からでした。コロナ禍新規として差し支えないと思います。そんな私がより乃木坂・櫻坂・日向坂に思い入れを強くしたきっかけが、まさしく”新参者”たちの加入であったわけです。
”新参者”への立ち位置
それぞれのお見立て会(←イベント名どうにかした方がいいとずっと思ってる)、おもてなし会には現地参加できたほか、別記事でも残しているのでここではそれほど紙幅を割きはしませんが、個人的に強くハマったきっかけとしてはそれぞれ乃木坂5期生:『絶望の一秒前』、櫻坂三期生:村井優ちゃんvlog、日向坂四期生:小西夏菜実さんティザー、が明確にあります。詳細は各記事に譲ります。
この”新参者”たちの加入は、彼女ら自身の新しい風としての魅力もそうですし、加入する「器」としての各グループにもたらす影響であるとか、先輩メンバーが後輩の加入により行動を変容したり新たな関係性が生まれる点などでも非常に興味深く、特に大人数のグループでは加入→卒業というサイクルがそこそこの頻度で発生する、またハロプロのように研修生制度を持たない(坂道研修生は例外だけど)形式であるからこそ、新メンバーにかかる期待も重圧も大きいわけです。こうした期待と重圧はグループによっても質が違う(=求められていることがグループにより違う)ので、この「グループ特性」は彼女らの”新参者”を観る上では不可分の要素と思います。
端的に言うと、乃木坂は「乃木坂らしさ」、櫻坂は「自分らしさ」、日向坂は「ハッピーオーラ」、が挙がるんじゃないかな、というのが今回のそれぞれの”新参者”を観て感じた部分でした。志向は違う3グループだけれども、大きな意味ではほぼ期を同じくして各グループに加入した新参者たちにとって、それぞれの”新参者”は何をもたらしていったのでしょうか。
↑『絶望の一秒前』とお見立て会の感想
↑櫻坂三期生ドキュメンタリー+おもてなし会感想
↑日向坂四期生おもてなし会感想
※なお、表記として乃木坂は数字の5を、櫻坂・日向坂は漢数字の三と四を通例として使っているようだったので、筆者は基本的にそれに倣って表記しています。新参者HPは統一して漢数字だけどその辺案件だから気にしないんだろうな(?)
それぞれの”新参者”
日向坂四期生
現在地
日向坂四期生加入の第一報は2022年9月21日のティザー公開。そこから各メンバーのティザーVを1日1人で順番に公開し、『ブルーベリー&ラズベリー』が公開されたのが10月4日。個人ドキュメンタリーはブルラズより時系列があとなんですよね。そしておもてなし会は2023年2月11日、12日に開催。加入・お披露目からしばらく空いてのおもてなし会(ひなあいなどでは先に登場している)だったのもあり、おもてなし会時点ですでに四期生各メンバーのオタクが形成されていたように思います。
12人の新星はおよそ1年、合宿から含めたら1年半ほど、2022年ツアー代々木公演やひなくり、おもてなし会、ひな誕祭、2023年ツアーを経ていく中で「自分たちはグループの力になれているのだろうか」という不安や葛藤を抱えていた、というのは今回の新参者のMCでも複数名のメンバーがこぼしていたところでした。日向坂全体としても先の紅白選出外だとか、なかなかポジティブなことばかりではなかった2023年かもしれない、ただそれでもこの新参者の10公演で絶対に何かを掴んでやるぞ、という気合は一番強く感じられたように思います。とにかくメラメラと心の炎を燃やしているような感じで気合をビシバシ感じていたので、日向坂の新参者がいちばん「どんなものを見せてくれるんだろう」という点で楽しみにしていました。
ライブ
現地で参加したのは11月4日の2部。全体で言えば4公演目。座席としてはJ列上手(かみて)側なのでちょうど真ん中あたり。セトリは以下です。
(はセンターを表記)。セトリはAパターン/Bパターンあったようですが詳しくは割愛。
・3グループともこの新参者は間違いなくそれぞれの糧になったと思うけど、この機会を喉から手が出るほどに渇望していたのが四期生だと思ったし、それがパフォーマンスに、一つ一つの発声に、目線に、すべて表れていたなと思う公演だったなと全体を通して思った次第
・現地参加したのは4公演目で、後半の公演にはときめき草の追加や千秋楽には車輪をダブアンでやるというアップデートが施されていた。四期生が日向坂としてのあゆみを固める公演なんだなと受け取った
・ブルラズへの思い入れが非常に強いので、冒頭の振り返るところからすでにわたしは泣いていました。理央ちゃんは新参者初日の方で内面を吐露するようなブログを書いていたし、この日の昼公演(わたしは夜公演に参加)では膝を痛めて思うようなパフォーマンスができなかった、といったことを話していたり、大きな壁にぶつかっていたうちの一人だったと思いますが、このブルラズや後述する青春の馬を見ると、やっぱり四期生の柱は清水理央ちゃんなんすよ、という気持ちを強くしましたね。お前が(お前って言ってごめん)青学の柱になれ。白線パートも大好きで、ただ順番的に最後のみっちゃんの持ち時間だけ極端に短いのはなんとかなれと思っている(?)
・ブルラズは「踏切のその手前立ち止まって 何かを言おうとしてた それだけで君の次の言葉がわかってしまうのは何故だろう」から始まる「あと半年で卒業式」というタイムリミットを感じさせる歌詞世界。それはそのまま「いつかは終りが来る」という「アイドル」というものの有限性、一回性を表彰しているのかなとも思う。
・「ブルーベリー&ラズベリー」から「ブルーベリー or ラズベリー」と変化するのは、当人同士の関係性の変化および「どちらかを選ばざるを得ない」という決断の話で、人生は決断の連続であることをブルラズで再認識する
・ブルラズ→キュン→ひらがなけやきのブロックは、本人たちも言っていたようにそれぞれの期/グループの1曲目で固めていた。まさしく今回の新参者を新しいスタートとして位置づけていることがセトリ冒頭でも伝わる。そう、セトリは思想なんすよね。
・キュンのかほりん、どんどん「概念としてのアイドル」が顕現している気がする。アイドルの式神かもしれない。それでいて本人のあの落ち着きようというか、不動の精神があるから全方位敵なしになっている。かほりんは歌が上手いだけじゃなくて、感情を喚起するタイプの歌声を兼ね備えているので、個人PV曲みたいに「うた」全振りの楽曲でのかほりんも楽しみになる。
・キュン自体はおもてなし会でも演っていたけど、いわば日向坂の基本のキというか基準になる楽曲に対しての解像度も技術も伸びたなーと思いますほとに。もちろん全体でやるキュンも素晴らしいんだけど、いまの四期生にしか宿らない青春感というのはやはりあって、それが楽曲の魅力をさらにブーストしてくれている感覚があった
・ドレミ→ソンコト→アザカワのカタカナヒナタ(?)3連パートは楽しい全振り。いつもは少年みたいな表情も垣間見えるしょげちゃんも、ドレミの時は慈愛の表情を浮かべているのが印象的。ソンコトはたまちゃんの140%が出ていて最高。常にPlus Ultraしている。アザカワはこにしが日向坂に出会ってくれた楽曲なので、そういう意味でも思い入れが強いです。
・M7〜M11(M12)はひらがな楽曲を披露。M6までは「日向坂」を、このブロックでは「けやき坂」をやることで、四期生としてのけやき坂・日向坂の語りなおしが行われていたと思う。四期生(新三期もそうだけど)は日向坂オリジン(けやき坂を演者として経験していない、の意)なので、この機会が非常に貴重だったんじゃないかと
・新三期の3人(まりぃぱるみくにん)はタイミングも特殊だし期としても人数が少ない中、実力もだし存在としてもグループの屋台骨として頼もしくなっているのをここ1年位で急速に感じていました。だからこそKアリーナの潮さん卒セレでひなのちゃんも含む三期の4人がそれぞれの泣き方をしていたのがとても心にきたな…
・『それでも歩いてる』は不意を突かれたし泣いてしまったな、あれをひらほーセンターで演るところがまた良い。「人生とは転ぶもの 膝小僧を擦りむくものなんだ 何度でも立ち上がれよ 俺はそれでも歩いてく」。ひらがなを演じるわけではなく、境遇としてそれが四期生のいまと当時のひらがなと重なる部分がある、と思う。全面的にではなくとも。四期生自身がこの楽曲たちを歌って身体化させることで、自身を奮い立たせるところがあったのかな、と思う選曲だった
・『イマニミテイロ』。「臆病者」「正直者」「小心者」「腰抜けども」という単語が出てくるこの楽曲を”新参者”という企画に組み込んでくるという。けやき坂が欅坂の背中を見ていたように、四期生は「日向坂」の背中を見て日向坂になってくれた子たちなので、四期生の色はかならず見つかるよ、というかそれこそ虹色なんじゃない?というのはブルラズのスパークルで感じたところ。センターのこにしはデコ出しで更に呪力を上げていました。五体投地した。こにしは本当に楽曲の世界観の幹となってくれる存在だな、と表情一つとっても思いましたね。おもてなし会のこん好き然り。
・というかブルラズって『君はスパークル』じゃないですか??
・『僕たちは付き合っている』『ひらがなで恋したい』『ハッピーオーラ』はまさしくハッピーオーラという概念そのものでした。四期生の新参者円陣が「空まで届け!ハッピーオーラ!一体感!」なのがもう答えというかなんというか。特に『ハッピーオーラ』のはるはるはもう概念の具現化だったと思う。いろいろなものを乗り越えてここに立っているというのは知っているけれども、ステージにおいて「笑顔を届ける」という点においては四期生の中でもTOPだと思っています。
・『シーラカンス』は四期曲のなかでいちばんあったかくて泣いちゃうんですよね。歌詞としては存在しない記憶みたいな部分もありますけど、初めて会ったのになぜか知っている感覚というのはまさしく四期生に対しわたしが抱いた印象そのままで、つまりはそれだけすでに「日向坂」性を獲得していたということなんですよね。どの場面で話されたMCかは失念してしまったんですが(誰が話したかも記憶が曖昧である)、メンバーの動画が公開されて「日向坂らしいね」といった反応があったのは嬉しかった、という趣旨の言葉があったのを記憶しています。「胸の奥で見つけたんだ ねえなんか嬉しいよ」。
・『ときめき草』はデビューシングル表題曲候補に挙がっていた、というのは京子さんブログにも書いてあったように、そしてひなあいのOP曲であるように、この曲が果たしている役割もまた大きいのだなと。日向坂にとってのひなあい論はたくさんの有識者の方々が書かれているのでそちらを見ていただくとして、この曲の持つ「これから何かが始まりそう」な感じが四期生にまたビタッとハマった感覚があります。こにしがセンターなのも嬉しい。凛として花のようだなと。
・誰跳べ、みっちゃんが久美さんの役割のやつの大ファン。
・『青春の馬』。理央ちゃんは世界一、いや宇宙一ポニーテールが似合うと思う。第1弾ドキュメンタリーで『青春の馬』によりアイデンティティを見出した日向坂、というシーンがあったのは記憶に新しいけれども、さらにこれは小坂菜緒の青春の馬、金村美玖の青春の馬、という文脈があっての清水理央の青春の馬であり、上の方でも書いたけれど理央ちゃん自身がたくさんの壁にぶつかって葛藤している時期だったからこそ、この曲そのものが自身を奮い立たせていたんじゃないかと思うわけです。合宿課題曲という意味では櫻三期の『BAN』と立ち位置は同じだけれど、この『青春の馬』は困難にど正面に立ち向かっていく、いわば「愚直」な曲で、これは金村美玖さんとも重なる部分なんですよね。たぶん理央ちゃんと金村さんは魂の形が近い。「The easy way has no meaning」。
・『見たことない魔物』。胸を叩く振り付けはそのまま青春の馬オマージュであるだろうし、ある意味シン・青春の馬なのが魔物だと思っています。ポニテのシルエットとかね。「答えが見つからない」中でも「僕を信じてくれないか」と歌う四期生のなんと頼もしく眩しいことか。「魔物」とはぶち当たる壁や困難の比喩であり、まさに新参者に臨む上で四期生自身が感じていた葛藤や不安だっただろうし、時には届いてしまう雑音もあっただろうと。そこに一緒に立ち向かおう、というのがこの曲なんですよね。わたしは2023年の日向坂楽曲でNo.1だと思ってます。
・『ロッククライミング』。やっぱりイントロでグレンチェックのマフラーが見える。困難と乗り越える、応援というテーマが続く四期曲だけど、この曲で大好きなのは「さあ ワクワクしろ」です。「いつだって、未来は味方だ」精神というか、ロッククライミング自体岩壁を登っていく=目線も常に上を見ている楽曲なので、その道のり自信を楽しんでやるという気概があって頼もしさがマシマシ。
・『車輪が軋むように君が泣く』。泣いてて声が揺れてるのがまた泣いてしまう。「次の世代は新しいレールの上」なのよね。「夢追いかけどこまででも走れるはず」。新参者のエンディングとしてこれ以上ない選曲で脱帽しました。
展望
新参者10公演を終えたすぐ後の12月7日には、四期生の岸帆夏ちゃんが「活動辞退」するという一報がありました。体調不良による休業が続いていた中、いつかまた戻ってきてくれればと思ったものの、それでも本人の決断なので、いまはどうか健やかで幸せであるように願うことだけです。
12月9日のツアー追加公演も現地で参加したのですが、冒頭の久美さん挨拶、また四期生だけのMCのときのしょげちゃんの言葉も、それぞれ涙で言葉をつまらせていたように、メンバーにとっても突然で、整理もまだついていない状況なのだろうと推察されつつも、目の前の公演にしっかり向き合うメンバーは光り輝いていました。だからこそ「物語」なんて言葉でくくってほしくないし、それは本人の決断に対しても11人に対しても失礼だろと思いますね、と思ったら消えてた(ツイ消しは当然の権利)のでこれは感情として供養させて下さい
新参者10公演の成果をいちばん早くライブで観られたのが日向坂だったというのはスケジュール的にも大変良かったし、自信、客席とのコミュニケーション(レスとかに限らず感情の交歓)、「日向坂46四期生」から「日向坂46の四期生」になったというかそんな感覚がありました。「面構えが違う_____」というやつ。確かな自信と手応え、そしてまだまだ伸ばせる部分について四期生みんなが再認識したと思うし、この期間で結束も強まったことと思うので、今後の四期生がより一層楽しみになる新参者でした。
だからこそ追加公演千秋楽でのもう一度東京ドームを目指す宣言は、また日向坂全体がひとつの目標に向かうという点でかなりいい働きをしていくんだろうなと思ってます。「ライブ最強」を目指す宣言は本当にどこ発信だったのか、どのくらい本意気だったかはわからないですけど、内容そのものというよりも、そこから結ばれる像が人によって異なるというかブレる可能性を内包していたので。また高く跳ぶために力を蓄える時期にあるのだと思います日向坂は。ただ個人的に、日向坂のオタクをしていていちばん力(りき)入っていたし、色んな人や感情に出会った年でした。来年もまたよろしくね日向坂!!!
櫻坂三期生
現在地
最初のティザームービー公開が2023年1月5日。合宿自体も2022年11月頃だったと思うので(EP1でベストヒット歌謡祭の映像をみんなで観てたので)、ようやく1年が経ったというのが信じられないくらい、期待値も高く出力もとんでもない状態にあります。この新参者たちの中では正真正銘いちばんの新参者である櫻三期ですけど、個人VLOG→三期ドキュメンタリー→おもてなし会の動線が丁寧に設計されていて、さらには「パフォーマンスの櫻坂」という点において期待値も高かったであろうところにおもてなし会できっちり応えてみせたところからも、個人的に今回の新参者もかなり期待していました。これまでわたしは欅から櫻に至るまで、グループの動向や曲はチェックするし番組も見るけど推しメンはいない、という状態がここまでずっとだったので、推しメンである村井優ちゃんに出会ったのも2023年のビッグな出来事だなあと思います。
櫻坂というものは欅坂が文字通り根っこにあるうえで、3rdアニラをZOZOマリンで迎えるまでずっと櫻坂としての礎を作ってきた、そんな感覚がありました。それが桜月に端を発しスタオバ、承認欲求、さらには新せ界にて粋を結したというか、まさしく躍進の年の櫻坂。そんな中で三期生は何をもたらすことができるのか。最初から全速力の船の上に飛び乗るような1年間で何を得たのか。そうしたものをわたしは確認したいと思っていました。
ライブ
現地で参加したのは12月2日の1部。全体で言えば9公演目。座席としてはR列最下手(しもて)。セトリは以下です(はセンターを表記)。そして千秋楽10公演目は配信で見たのでその感想も。
・『夏の近道』『Anthem time』というマスターピース2曲から始まるライブが最高にならないわけがない。櫻坂に新たな風を吹かせてくれたこの2曲が、ライブをさらにライブたらしめてくれる。「魅せる」に加えて「楽しさ」の相互交歓が成立しているこの感覚。ZOZOマリンでも距離を感じさせなかったけど、特大のベクトル同士がステージと観客の間で交わされている感覚がとても嬉しかった
・ずっと『思ったよりも寂しくない』のことは大好きだし、公開当時はその暖かさに、やがて「きらねん」(概念)によって聴いたら泣いちゃう曲になっていた。「愛っていうのは目に見えないけど ふとした瞬間(とき)感じるもの 風が通り過ぎる時 花の香がするように 後で」の「後で」がニクい。もう戻ってこないけどそこに確かにあった愛情の話じゃんという。欅坂も櫻坂も「孤独」を歌うことはあってもその向き合い方が変わったのが大きいと思っていて、つまり愛は「意志」であるからこそ、自身もまた愛情の対象として捉えている、そんな感覚があります。Love yourself。的野がセンターだったこともあり、オリジンとしての当時の天ちゃんといまの的野はそんなに年齢変わらないんだったよな、と思いをはせるなどしました。
・『それが愛なのね』から『桜月』までは「恋と愛」のブロックだと思ってる。「好きになれば見えなくなる」は愛じゃなくて恋とは思うけど、「これは愛なの…!」と自分に言い聞かせている主人公という意味ではだいぶ救えない(?)、でも恋愛ってこういう側面あるよね。これは「私」視点。
・『君と僕と洗濯物』は「僕」視点。途端に素直になれなくなるの本当に康が描く男の子という感じ。振り付けも可愛いしセンターが純葉なの本当に良い。「チューリップ持って押しかけてきた」のは花言葉的に…?約3分40秒の間に「洗濯物」を軸に部屋の情景や主人公の気持ちと動作が揺れ動いているのが感じ取れる、かなり個人的に好き歌詞な楽曲。
・千秋楽の『Microscope』は配信で見てガッツポーズした。マリノ様くらい解釈一致だった。自分の恋心が自分で理解できなくて、「顕微鏡の中を覗くように細かく知りたい」というベクトル。まだ気持ちは伝えていないんですよねこれ。そして康は歌詞に「麻疹(はしか)」を使うのが好きだね…となる。観察はしているけど干渉はしない、17分間的主人公である。石森璃花の「かわいい」を存分に浴びる能動的数分間。
・『偶然の答え』は「恋」も「愛」も歌詞としてそのものは出てこないけれど、恋によって自分がこれまでの自分ではなくなるような感覚がどこかにじみ出ている気がする。「恋なんて制御不能」なわけでして。
・『ブルームーンキス』。うさぎだ!!!!!!って嬉しかった。村井優ちゃんのオタクなので。何かと森田センター曲を村井優ちゃんはセンターで演る機会が多い気はするけども、思い返せばおもてなし会の1発目はノバフォだったわけで、そんな期待感も十分に背負いながら、自分なりの表現をしっかり出力できていたように思う。合宿から「感情を出す」ことが課題なんて言われていたけれど、頼もしい同期や先輩のパフォーマンスを吸収してメキメキと表現力が伸びている気がする。「上手さ」主軸の戦いではもうない。ちゃんと感情も気迫も全部ダンスにこもってる。ただMCは「月だからうさぎなんです〜〜」ってあまりにも純真で。この「掴めなさ」というか、やはりアイドル文脈の外からやってきた子という感じがしてたいへん好きです。センスも。
・小田倉『桜月』はこの日一番泣いたかもしれない。2023年は櫻坂にとって躍進の1年になったけれど、その口火を切ったというか、この曲あっての、という感覚がある。守屋麗奈・小田倉麗奈はあまりにも美しいよね。叙情。
・『なぜ恋』は的野センター。糸の演出もちゃんと演るのね!と感心していたところ。的野もまたどちらかというと憑依型というか曲世界に没入できるタイプと思うし、実際表情とかも素晴らしかったわけだけど、ここで書きたいのは千秋楽のなぜ恋。糸演出の最後、払いきれなかった糸が手に絡まったかで解けなくて、結局最後まで糸をつけたままやりきったという一幕がありました。のちのMCので自身が触れていた、「それも人生」みたいなコメントも含め良かった。関係性についてはよく糸で例えられたりするじゃないですか(赤い糸とか)、それが物理的に顕現したことによる、恋のままならなさというか0 or 100じゃない感じというか、関係性の終わり自体を糸が切れた状態で表しつつも、それでもまだ残る気持ち、だとか、そんな事を配信見ながら考えてました。偶然の産物なんだろうけど、ナマモノとしてのライブを感じたし、新解釈がこうやってドロップするから素晴らしいなあと。
・『半信半疑』の村山さん、「色気」が出てた。ちょっとすごかった。狙って到達できる境地ではない。髪型とかメイクとか色んな要素があったにせよ、解釈を突き詰めた上で村山の表現力というフィルターを通すとこんなにも艶やかになるのか、と思いましたね。
・『静寂の暴力』は実際ちゃんとライブで浴びたのは初めてかもしれない。アニラは2日目だけ参加だったので。個人的にはこれに1記事書くくらい思い入れはある曲だったから、客席がペンラなしになったのも良かったし、毎回全身全霊でぶつかってくれる有り難さですわね…。個人的には「世界からノイズが消え(石森)誰も孤独になるよ(的野)」のパートが好きです。千秋楽では2番のポエトリーに行くまで通常よりも長く沈黙の時間があって、まさしくそれはジョン・ケージの『4分33秒』であったし、「静寂という名の音が存在」していたなと。この曲は押し潰されそうな孤独の中でも、それでも誰かと心を通わせたいというものを根幹に感じているので、まさに楽曲の核そのものを浮かび上がらせる三期生のパフォーマンス___となりました。
・『BAN』。おもてなし会→3rdツアー→アニラときて新参者と、合宿課題曲であったことから端を発し三期生にとって最重要と言っても過言でない曲になったと思います。そんな楽曲のセンターが石森璃花というのが素晴らしい。わたしはこの新参者公演を通じて石森璃花ちゃんを大好きになりました。千秋楽配信でも顕著だったんですけど、あの子自分のパートじゃないところでも口ずさんでたり、「時間はあんなにあったじゃないか」に込める感情の色濃さだったり、普段のおっとりかわいいとのギャップが素晴らしいほどに鬼気迫る表情を見せたりする、そんなパフォーマーとしてわたしに刺さった部分があります。合宿でもTAKAHIROさんから「入り込める人」という評価をされていた気がするけど、歯車が噛み合いまくった瞬間の火力はもう山下レベルに到達している気がする。ほんとに。わたしはたぶん、ステージでの「感情の発露」に興味があるからこそ、こんなに刺さっているんだなと思いましたね。
・『マモリビト』は三期にこれを歌わせるのどうなん派ではあるんだけど、こんなぎが万感の想いでパフォーマンスしているのを観てしまうとやられるよね。そして純葉は毎回泣いている。感情。
・『Buddies』。ゆーづセンターはおもてなし会の時点だと個人的に???だったけどもうこれはゆーづしかおらん、になってます。ゆーづは目指す方角を指し示してくれるという意味での三期の太陽なんだなと思いました。アニラから『Buddies』を聴くと泣いちゃう状態なんですけど、三期Buddiesは新参者という期間で得たもの、まだ届かなかったもの、だったりに各々が思いを馳せながら、それでも客席に向けて笑顔で語りかけるんですよね…。「Yo!元気かい?君に会いたかったよ」と。本当に、ファンネームがBuddiesになったことのデカさを感じています。
・Wアンコールは『語るなら未来を…』を披露。流石に配信見ながら声出た。入の村山のMCも良かった。パフォーマンス自体もみんなの気合を感じられて見ごたえがあったし。故に、3日前にお知らせしてそこから振り入れという負荷の高いスケジュール(誰かがミーグリで聞いたらしい)で演らせてるのは若干の??も浮かびましたけども。今回のように櫻坂オリジン(演者として欅を経験していない、の意)である三期生が欅曲をやることは、単に継承の文脈というものでも欅を乗り越えるという文脈でもなく、切れるカードが増えたといったような形でわたしは受け止めていました。石森・的野のように欅坂を最初期から好きだったような子もいれば、村井優ちゃんのように欅文脈をほとんど通らなかった子もいたりする中で、彼女らが拓いていく表現の地平として、間違いなく大きな味方になってくれるはずだと思ってます。それは櫻坂としての地層が厚くなってきたからであって、過去というよりも核とか根っことしての欅坂、と感じました。
・「先輩の大事にしてきたものを引き継ぐ」のも彼女らにとってはすごく大きい部分だなというのは伝わってきている。そのうえでMake your historyしてほしいしそれができると信じてる、というのがどのグループに対しても思うこと
展望
櫻坂三期の場合は新参者期間とアニラ期間が重複していたので、そんな日程組むなよなんて思ったりもしましたけど、その分色んな筋肉がついた、のもまた否定しきれない部分でもあるなと。この辺難しいですけども。ただ健康であるに越したことはないので、いくら案件(n回目)とはいえライブのスケジューリングはもう少し考えてやってくれ、、と思います。
ともあれ、このおよそ今年でしかありえない日程の中で、新参者最終日は土生ちゃんがすでに卒業し、小林さんが卒業を発表した直後というタイミングだったのは、カタミラの説得力を何倍にも重く持たせたな、と思うし、そもそもアニラでのZOZOマリンに於いてもその広い会場に臆することなく自身のパフォーマンスをやりきる三期生たちが本当に頼もしかった記憶があるので、まさしくZOZOマリン以前/以後で一段ステップアップしていました確実に。
櫻坂の好きなところは、各々が各々の在り方で居られる独特の温かさだったりします。それこそ『思ったよりも寂しくない』とか『Buddies』の精神。それら全部を体現しているのが増本綺良という人だとわたしは唱えています(アニラのコンビナート嬉しかったな)が、それはさておき。そんな櫻坂が選抜/BACKSという動きを7thにして見せてきた中でも、この新参者期間で得た経験、Everyday Smileの精神を胸に、自分らしく自分の場所で輝いていってほしいな、と思う新参者期間でした。
乃木坂5期生
現在地
ティザームービーの公開は2022年2月1日。櫻三期とはほぼ1年のキャリアの差がある状態での新参者なんですよねそういう意味では。乃木坂的スケールでいうと全然新参者である、というのもありますけど、すでにツアーやスター誕生など数々の活動を5期生で、あるいは全体の「乃木坂」として過ごしている5期生たちにとって、この「新参者」は何を目指し、何を得る場として設定されたのか?ここがわたしの一番強く興味関心があったところでした。
それにしてもいきなり応募総数の分母から始まるの思想だなあ、というのが初見の感想(上記のティザー)。国内大型女性アイドルグループの市場では1位だし、まさしくトップアイドルとしての誇り、みたいな部分も垣間見える。その意気や良しだし、市場を盛り上げてくれればいいなと思っているので、乃木坂にはこれからも走っていってもらわないと困る派ではあります。それに何を隠そうわたしが本格的に乃木坂に戻ってきたきっかけはこの5期生なので(4期生も「乃木坂どこへ」を履修してから大好きになった)、5期生の「いま」を捉えるべくこの新参者という機会はたいへん有難かったです。(そしてこのあとに出てくる井上和ティザーに度肝を抜かれたのもまた鮮明に覚えています)
制度・システム的な意味での櫻坂、日向坂との大きな違いは「選抜制度」という前提を長いこと続けてきたこと、5期生センターを表題で既に2回もやっている、あたりだとは思います。故に29thでアルノセンターをぶつけてきたのはかなり期待感が高かったのを覚えています。その後の29thのバックラッシュが個人的には凄く悔しかったし、それ以降「驚き」は感じられていないので全体は頑張ってほしいところだなあとは思っていますが本筋ではないのでこのくらいに。
日向坂四期生は新参者を「最後のチャンス」とまで言うくらい賭けていたし、櫻坂三期はまさしく1回1回が修行の場であったし。では5期生は…?
ライブ
現地で参加したのは12月3日の2部。全体で言えば10公演目千秋楽。座席としてはG列中央。近い。セトリは以下です(はセンターを表記)。
・おかひなおかえり!!!!!!!!!!!!本当に推しメン(池田瑛紗さん)とおかひなを50:50の割合で観てた。
・席が近い。連番相手が当ててくれたので大感謝。ゼロズレしかなかった(?)
・11人揃って最初に客前で披露したのは『ぐるぐるカーテン』だったなとお見立て会(第2回)を思い出していた
・これまでも幾度となく演られてきた『絶望の一秒前』だけど、この楽曲で井上和がいちばんプレーンになるんだよな。最初期の曲だから当たり前かもしれないけど、ちゃんと1/11。
・『制服のマネキン』アルノセンターは色々重なるものがある
・ガルル一ノ瀬、伝家の宝刀だと思う。いっちゃん「アイドル」してる。
・『裸足でSummer』の五百城ちゃん、神戸の海としょげが見えます。楽曲に情景を浮かび上がらせてくれるのが五百城ちゃんであり、概念としてのシンメであるとみー(なおなお)なんですよね
・ユニットコーナーで〜〜すで何来るの??と前情報一切無しで挑んだら銭湯が来てひっくり返った。銭湯への思い入れは全く無いけど、池田瑛紗さん(推しメン)が金川紗耶さん(推しメン)の衣装着てて拝んだ
・『革命の馬』懐かしすぎて拳突き上げちゃった。この1ヶ月位で『青春の馬』『一瞬の馬』『革命の馬』をコンプリートしている。
・『無表情』をあやみくでお届け。最後あーやが一ノ瀬さんの頬にキスしてて一ノ瀬劇場だった。
・おひとりさま企画。『羽根の記憶』を歌った五百城ちゃん。緊張やらいろんな感情があったんだろうなという歌唱ではあったものの、「想像してみた10年後の自分」を地で行くスタイルで、本当にステージで5期生がお互いしか観てない時間あった。羽根(物理)が爆速回収されていったのは笑ってしまったけれども。
・アルノは『マシンガンレイン』でドラムを披露。演奏後のMCで自らの過去と、それでもドラムのレッスンには行けていた、という自己開示。これは連番相手と終演後会話したりした中で共通認識だったけれど、乃木坂というものに個人の人生を強く刻み込んでいる、そんな時空間だったなと思う
・『いつの日にか、あの歌を…』はn番目のX、みたいな立ち位置の曲だったんだろうなと思う。新参者と言うにはひとまわりした感もある5期生だけど、10年間というモノリスは未だに本人らの前にそびえ立っていて、これは何年立っても「乗り越える」などではなく「背負う」という意味での歴史そのものなんだなと
・『初恋の人を今でも』ではギターを五百城ちゃんといろはちゃんが、『君の名は希望』ではピアノをあーやが、それぞれ演奏しつつ歌唱。乃木坂は「うた」なんだというのが伝わる。スタ誕もそうだし。『君の名は希望』で上手の方にいたおかひなが涙を流していて、隣りにいた咲月ちゃんがそっと手を握るというモーメントがありたいへんグッと来た
・『心にもないこと』で灰になった。ありがとう池田瑛紗さん。あなたの二面性が好きです。
・『考えないようにする』を生で観ることができた嬉しさもひとしおだったけど、おかひながそこに居るということがまた何倍にも嬉しいし良かった。とみーとおかひなが仲良い事は周知の事実だけども、こうして現前すると感情が爆発してしまう
・『インフルエンサー』:My fansみたいなライブの使われ方をしている気がする(?)
・『Actually…』。5期tually…という意味ではバスラ以来?否応なしに楽曲以外の意味も乗っかってくるように結果的にはなってしまっているこの曲だけれど、アルノと5期生がこの曲を演ることは全体Actually…の新解釈になりうる。5期生全体が「乃木坂」の再解釈集団という感覚で見ているので。全体ライブではなぜか派手特攻曲になってるけど違うよ!?って毎回思う。5期生は個性と才気の塊であるけれど、「5期生」というまとまりになるとまた独特のグルーヴ感を持っているというか、4期生のそれともまた違うので同じ曲でも全然違うアウトプットになるなあと感じたりしました。この11人に最初に書いた歌詞(かどうかはわからないけど)が『絶望の一秒前』であること。康ィ!!
・『17分間』はキングオブ・ブチ上げ曲であり7時12分の初恋です。
・『バンドエイド剥がすような別れ方』。『ロマンスの途中』みたいなタイトルの読後感だなあとふと。筆者はかなりバンドエイド好きなので嬉しかった。池田川﨑の正規合流ですから何と言っても。『心にもないこと』と物理的にリンクしているのが好きです。
・おひ天:特になし。メロは良いが思想を感じない。
・アンコールは『ロマンスのスタート』から。定番王道盛り上げアイドル曲を武器にできる乃木坂の強さ。
・『Sing Out!』は菅原咲月センター。お見立て会を思い出します。咲月ちゃんは「勇ましい」というか、誰かを守るために常にしんがりになっているような感覚もありつつ、自身がセンターのときは華もある。居てくれるありがたさよ。
・『人は夢を二度見る』が岡本奥田だったの、会場でTOP10くらいには入ると思うくらい嬉しかった。あのステップをモノにするの相当難易度を求められると思うんだけど、いろはちゃんの手足の長さと軌跡、おかひなのバレエで培った指先まで神経を行き渡らせた身体の微細な制動と強い体幹、それらが楽曲をよりクリアに際立たせていたように思う。くぼしたセンターだから生まれた曲だとは思うけど、岡本奥田センターにしたことで曲そのものの価値に触れる、みたいな体験だった
・アンコール先導ネキ、どうやら弓木だったらしい(?)
・Wアンコールは『I see…』。4期生オタク兼5期生オタクのわたしは拳突き上げちゃったし思わず連番相手と肩を組んだ(あちらも同じ感情だった)の良かった。日向坂も櫻坂もWアンコールが起きていたから、自分らなら何をやるんだ、という中で『I see…』という回答を出せる5期生(いや5期が選んだかどうかはわからんし咄嗟のチョイスかもしれない。ただそれでも結果として良かった)。素晴らしい。4期生は「乃木坂4期生」の前に「4期生」が先に立つというか、4期生と居るときは「乃木坂であること」が最重要事項ではなくなるというか、なんと表現したら良いんだろう。そうした性質がある気がする、いわば「乃木坂」のオルタナティブであって、5期生は乃木坂も「乃木坂」も≠乃木坂も全部やろうとしてるんだなあと思いました。あとアンコールの声が「のーぎざか!ごーきせい!」に1回もならなかったのも印象的でした。
展望
千秋楽を現地で体感していの一番に出てきた感想は、まさしく「公演」を10回お届けしていたんだなというものでした。武者修行ライブのようながむしゃらな成長機会としての新参者ではなく、これまでの表現と鍛錬のアウトプットとしての「発表会」、あるいは「演じられた」ものとしての。フレッシュさの次元は既に過ぎ去り、演目のクオリティとしての勝負を仕掛けてきたんだな、というのがグッと心に残っています。ゆえにある種身体性を感じさせないというか、『幕が上がる』の舞台を観たあとと同じ感覚が残っています。そこには間違いなく身体が存在し演目としてのライブが行われていたのだけれど、終わってしまうとまるでさっきまでの体験が幻だったかのような非存在性というか、ヴェールの向こう側感というか。それこそ『ぐるぐるカーテン』なんだなと思いました。
※各グループの新参者密着動画を見てみると、氷水でのアイシングが乃木坂では完全に「おまけ」に追いやられていた
翻ってスター誕生においては、5期生は身体ごと「うた」、あるいはコントに身を擲ち表現の筋肉をつけまくっているという極があるのもまた乃木坂の強さであって、才気溢れる5期生たちがどんどん成長していくさまは、プロとして教える立場の人からしてもめちゃくちゃ嬉しいことなんじゃないかな、と日プトレーナー陣回を経て感じた次第です。
総じて、「いいもの見たな」と感じる公演でした。
『アイドル』と「アイドル」とアイドル
2023年に最も人口に膾炙した音楽は『アイドル』というのは疑いようのない事実だと思います。故に、『アイドル』が描く「アイドル」と、実体としてのアイドルが作り出す「アイドル」についても考えた1年間でもありました。わたしはアイドルの実在性と身体性にグッと来る人なので、やっぱりそこにある身体の躍動や揺らぎ、画面には乗らない感情の機微だとかを感じに現場に足を運んでいる節がありますが、こうしたアイドルへのスタンスも各人で千差万別でしょうし、いかに「アイドル」という言葉が結ぶ像が多様なものであるかを感じる日々です。それでも、「アイドル」というものの可能性をどこまでも信じたい側面もあります。坂道も「アイドル」という生態系で生きているわけで、あらゆる意味で開かれていて欲しいな、と思っています。豊穣ですからね、アイドル界って。
今回の新参者では、それぞれの、各人の新参者がどんなアイドルになりたいのか、その回答を見せてくれた気がして個人的にとても嬉しかったです。案件とか言ってごめん。いい企画でした。
おわりに
というわけで、気づいたら約3ヶ月ぶりのnoteになってしまいましたが、なんとか無事書き終えることができました。新参者三坂とも現地勢はあんまりいないのでは、というところから書き始めたのがこの記事でしたけど、それぞれの現在地と決意みたいなものを感じられたこと、そして各グループに対して自分自身がどんなところが好きで追っかけているか、を再認識する良い機会だったと思っています。これからグループの中核を担っていく世代たちにとって、この新参者が大きな転換点になっていたらな、と思います。
「さあ ワクワクしろ」!!
推しメンへ
おまけ
対応表です(?)
絶望の一秒前
asthma
夏の近道
朱夏
ブルーベリー&ラズベリー
Popcorn