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号外 NeXTコンピューターの時代がどんどん過去の神話になってゆくこと

片岡義男さんとほとんど毎週あって東京の撮影をしているときに片岡さんのライフスタイルと言うのをいろいろ垣間見てかっこいいなと思ったのである。そのうちの1つは着古したトロトロになったようなTシャツをいつもお召しなのだ。

何かの本の対談で片岡さんとお話をするので当時六本木ヒルズを仕事場に使っていたからそこにご足労願えますかとお願いしたら片岡さんはそれを謝絶して僕は神保町の喫茶店のほうがいいとおっしゃる。それで神保町の小瀬戸と言う喫茶店で結構長い対談をした。

5月の半ばのかなり蒸し暑い日に片岡さんはかなり上質なハリスツイードのジャケットで下はとろとろのTシャツであった。最近のファッション業界ではコストの安いTシャツテスラ毎年買わせようと言う魂胆があるみたいで若い連中を先導しているらしいが、私が着ているTシャツはどれもその歴史が四半世紀と言うアンティークものなのである。

ガラクタ屋さんを中心とした悪の枢軸連中が毎年Tシャツを1つ作ってくれるのだがそれは大切にハンガーにかけて仕事場に下げてある。あまりTシャツをアートとしてぶら下げているのはいけないと思って、この間今年作ってもらったやつを着て聖路加病院に検診に行ったらまっさらなTシャツと言うのは汗を吸わないのでえらい目にあった。それで今ザブザブ選択して体に馴染むようにしている。

ここに写っているネクストのTシャツは30年ものであって今が1番着やすくなっている。いちどに3つ買ったのであるがそのうちの2つは20年前と10年前にハノイに行った時に自分で洗濯して窓にぶら下げておいたら強風にやられて飛んでいってしまった。

ブラックネクストと言うのは私の神様であるスティーブ・ジョブズが発明したものでこれで彼は大変な苦労をしたのであった。当時資金が足りないのでキャノンを騙して膨大なお金をつぎ込んだらしいが結局ネクストコンピューターはあんなことになってしまってキャノンも大変だったらしい。

今の私は雑文を書くときにはiPad Proを使っているが当時は真面目なネクスト主義者であったから、あの当時に執筆した本は全部ブラックネクストで書いたのである。今思うとあのマシンはモノクロしか扱えなくてカラーディメンションボードは存在したが1,000,000円位したので手が出なかった。

ソフトウェアはクオークエクスプレスを使っていたと言うのも今昔物語である。それでネットで原稿を送ったかというとそうではなくてデータをフロッピーディスクに落としてそれを封筒に入れて切手をなめて近くのポストに投函しに行くと言うのは逆に運動になってよかった。

ブラックネクストは捨てられなくて家にあるのだが10年位前までは結構このマシンは雑誌に紹介されることがあって実物がないと言うのでよく貸し出しをしたものであった。スティーブがなくなってからそういうこともなくなってしまったNeXTのロゴタイプのデザインはIBMのデザインを手がけたデザイナーに頼んだそうで15,000,000ドルしたらしい。アメリカってやっぱりすごいなぁ。

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