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故障しているカメラの巻き上げの方が速射ができると言うガラクタ屋さんのブログを見て思い出したこと

毎日更新されているガラクタ屋さんのブログを見に行くのが楽しみだけど、最新のブログが面白かったのでそれについて解説をしておく。ガラクタ屋さんにはかなりのフイルムカメラファンの人もたくさんもくるし、フイルムカメラに触るのが初めてという人も来る。

それで、にだいめさんは、初心者のお客さんにこの状態で発売しているんですと言うお店のルールを最初に説明しているらしい。それでこのカメラであるがなかなか素晴らしい壊れ方をしている。これなんかは欲しいと思う。

要するに、巻き上げレバーとシャッターボタンのリンケージのシークエンスが故障していて、フィルムを巻き上げた状態からちょっとレバーを戻すとシャッターが切れてしまうのだ。私のところにあるレンズシャッター式のカメラの中でもそういうのが時々発見できる。これって結構素晴らしいスナップシューターだと思う。

巻き上げレバーとシャッターボタンが同じと言うのは、実は理想的なスナップカメラなのだ。カリプソニッコール、つまり後のニコノスであるが、あれはフランス人の考え出したカメラだから、巻き上げレバーとシャッターボタンが同じ操作をするのだ。つまり、シャッターレバーで巻き上げてストップした状態で、もう一度巻き上げレバーを手前に引くとシャッターが切れる。実に頭の良いカメラの設計方法だと思う。

そのフランス人のアイディアをそのまま頂戴したのがニコノスであるが、こういうアイディアは日本人の頭ではまず考えつかないね。

ライカの迅速撮影装置でライカビットというのがある事はよく知られているが、そのスクリューマウント式のカメラに使える初期のライカビットで試作品的にごく少数作られたものがある。

Einzahl Leicavit

というモデルで、これは英語の翻訳は知らないけれども、ドイツ語だと1回ライカビットと言うことになるのかな。ライカビットの巻き上げのピストルを目一杯引いてフィルムを巻き上げた状態で、引き金をほんのちょっと緩めるとその瞬間にシャッターが切れる。

これはなかなか素晴らしいメカニズムでライカビットの説明書を見てみると、通常の撮影では左の指でライカビットを操作してフイルムを巻いて右手でシャッターを切るのであるから、人間の今手のひらは2つしかないから移動するフォーカシングはできないと説明書に書いてある。

ところがこの特殊なライカビットの場合は、左手のフィルム巻き上げだけで同時にシャッターレリーズもできるから右手でライカのフォーカシングができるのである。私の翻訳したライカポケットブックにも出ているが、非常にレアなアクセサリーである。

15年位前に偽物ライカ同好会の撮影を銀座で会ったときに、レモン車で休憩したのであった。当時の偽物ライカ愛好会は、業界の有名人ビクトリーとその奥様が夫婦で参加していた。

それでレモン車のウインドウを見ていて、ビクトリーの奥様がライカビットその珍しいモデルがあるのを発見した。実際にはレアモデルではなくて、普通のライカビットモデルであると勘違いしていたのだ。奥様は75,000円なんて高いわねと言うので、私はライカ講座の先生であるからちゃんと説明してあげた。

Price Tagは750,000円なのである。

ガラクタ屋さんで登場した。このカメラは、そのレアなライカビットと同じ働きをするからすばらしいと思う。

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