間接依拠とは、二次的著作物(翻案物)を参考にし、その中に現れた原著作物の創作的表現を参考にしたときは、原著作物の表現にも依拠したことになるという考え方です。(三山裕三編「著作権トラブル解決実務ハンドブック」245頁)
著作権侵害訴訟で、被告が、自分が依拠したのは原告著作物の二次的著作物であり、原告著作物には依拠していないなどと主張されることがありますが、そのようなときに「間接依拠」の問題が生じます。
パンシロントリム事件(大阪地判平成11年7月8日・判時1731号116頁)は、以下のように判示し、間接依拠を認めています。
同人誌などでは、二次創作が広く行われており、原著作物に依拠した複数の二次的著作物が発生しています。そうすると、原著作者(原告)から著作権侵害に基づく訴えを提起された被告は、自分が依拠したのは原告の著作物ではなく、原告の著作物に類似しているかもしれないが、別の著作物に依拠して作成したものであるから、著作権侵害は成立しないなどと反論します。
この被告が主張する「別の著作物」というのが、原告の著作物に依拠して作成された二次的著作物ということならば、やはり原告の著作物に依拠したということになります。