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雪深し、懐深し、山形への旅(二日目)
「滝の湯」に…、参りましたm(_)m
温泉を滝のように流す(打たせ湯)というのは、湯量の多い、山手の温泉では昔は良く行われていたようで、ひとつの日本の温泉のスタイルだったようです。
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西屋のお風呂全体は、江戸中期(1700年頃)に巨大な御影石をくみ上げて建立し、白布温泉最古の浴場とのこと。扉を開けると、ドドドドッッ、という滝の轟音。ご覧の通り、夜明けの外気が自由に出入りしているので、寒い!
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白布温泉の滝の湯はまさに山の上から、降り注ぎ、凝り固まった肩に当てれば、丁度いい塩梅です。頭に当てると、修行のようで、刺激強すぎか⁈
かけ湯は源泉直ということで、そのまま浴びれません。50度弱というところでしょうか。
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上を見上げれば、こちらにも湯の花が。天井に着いている湯の花は初めて見ました。
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「カランもなければ、(シャワーもない)、狭い洗い場ですが、失われつつある温泉文化を守る為、敢えて改修の手を加えず、当時の姿のまま、保存しております」西屋敬白。西屋の心意気を感じます。
泉質濃度♨♨♨
歴史的湯舟♨♨♨
温泉文化保存度♨♨♨
滝の湯落下強度♨♨♨
のフルマークということで、参りましたm(_)m
朝の散歩はスキー場まで
早朝、一段と冷え込み、窓からの景色も、尋常ではありません。しかし、宿に泊まって、そそくさとバスで山を下ってしまうのは残念なので、足元はずるずると滑りながらも、20分ほど離れたスキー場の方に出かけます。
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途中、鉄砲鍛造跡という碑を発見。関ヶ原の戦いの後、直江兼続が、ここで火縄銃を隠密に作っていたそうです。近江や堺から鉄砲鍛造師を呼び寄せて、作らせ、大阪冬の陣では、この上杉軍が活躍したとか。温泉旅館の古文書には、先祖が鉄砲職人の食事の世話などしていたとか残っているそうです。
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そして、スキー場の玄関、天元台高原、ロープウェイ湯本駅。ロープウェイの先の山の上にスキー場があり、朝7時過ぎですが、どんどんマイカー組が山を登って来て、みなさん、駅に並んでいきます。土曜の朝からスキー、次回来た時には是非、滑りたい!
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看板猫ちゃんに別れを告げて、再び米沢市内へ
朝食を頂き、朝1本しかないバスに乗り込む準備。昨晩、ご主人から、ご厚意で「秘湯の会」の旧バージョンの本を頂戴しまして、今後の秘湯めぐりに拍車がかかりそう。
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さて西屋ともそろそろお別れ。有名な看板猫がいて、最後、別れ際に現れました。常連さんも「来るたびに大きくなってる!」ということで、まあるい目のかわいい猫ちゃんですが、老舗旅館にふさわしいがたいと風格です。
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「かぐら」はすりすりと寄って来て、「おんでん」はじっと座ったまま。結構なお年でしょうか。変わった名前は息子さんが、サメ好きで、深海ザメの名前から取ったとか。
「また来るからね」と別れを惜しんで、再び路線マイクロバスへ。しばし路線バスからの車窓を…
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駅に通じる相生橋で、最上川を渡れば、すぐに米沢駅。時間があまりありませんが、「峠の力餅」の看板が見えて、朝から売っているのかと、売店、弁当売り場にも尋ねましたが、売っている店は完売。本店まで行く時間もなく、断念。山形行きに飛び乗りました。
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北海道を走っているかのよう
米沢から平野部を走る列車は、あたかも冬の北海道を走るよう。地元の人は見慣れているのかもしれないですが、白眉の景色に心躍ります。
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赤湯駅到着。山形新幹線は赤湯、かみのやま温泉と停車、蔵王温泉も近く、言わずと知れた温泉県山形です。しかし、昨日泊まった白布を含めた米沢近郊の温泉は米沢八湯と言うそうで、小野川温泉や姥湯は知っていたものの白布ほか山あいのエリアはこれまた良さそう、山形の温泉の癒しの懐は深く、深い。
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さて、赤湯の手前から最上川は北西に向かい、奥羽本線はここから北北東の峠越えになります。こちら、右に左に大きくカーブして、速度を落として、山形に抜ける山中を走ります。
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こちら、車窓反対側で、撮ることが出来ず残念でしたが、米沢盆地を眺める車窓の絶景、中央東線の甲府盆地とまでは行かないですが、勝るとも劣らない景色です。隣のボックス席の女子旅らしきお二方も「綺麗~」と窓に張りついています。
狭い急峻な峠を過ぎれば、かみのやま温泉が見えてきました。
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ここからは、どっと温泉帰りの観光客が乗車。しかも母娘の二人組や若い人たちが多いのに驚きました。蔵王駅ではスノボ持った人がちらほら降りて、そのまま列車は通勤列車さながら、山形駅に到着です。
ここまで来たら、山寺まで!
山形駅、知人と会うこと1時間半、話題が尽きず、駅前でラーメンも食べましたが、あまりに話が弾みすぎて、食したラーメンの写真も撮れずに、ずんだ豆のおススメのお土産だけ買い込んで、仙山線の普通列車に(^^;
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列車は山形城のお堀の脇を通って、羽前千歳で奥羽本線と分れ、楯山から再び奥羽山脈、蔵王国定公園のエリアに入ります。せっかくここまで来たので、山寺で下車、2時間後の列車に乗ることにして、こちらも20年ぶりの立石寺訪問を決意。
松尾芭蕉も鳴子の方から、尾花沢に泊まり、そこで、立石寺を勧めらて、山寺を訪れました。その勧めに応じなければ、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」は生まれなかったのだから、ここはひとつ、感動に任せて!
と、これを書いている途中で、20年前の日記が出てきました。(以下抜粋)
雨は小ぶりで降り続いていたが、山寺に登っていくうちに、幽玄な雰囲気に神様の演出を見た。こういう日本のお寺や庭園は、自然を生かし、そのなかに天界を描くように、作り上げる。1015段の石段の意味はそれくらいの煩悩を人間は持っているから、それを踏み越えていくことによって、煩悩を取り払う意味があるそうだ。やはり、人間同じ様な悩みを超えたくて、救いを得たくて、このようにするのだなぁ。~ 山寺は本当に雰囲気がよく、自然の美に囲まれると癒される。
奥の院では○○君を立てて、松尾芭蕉のPVを作った。
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芭蕉のPV!?
PVは見当たりませんが、残骸が出てきた笑
立石寺を歩きながら、事あるごとに、「芭蕉先生、ここで一句」と振ると、
冴えない一句が帰って来て、みんな首をかしげながら、階段を登りました笑
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二時間の山寺滞在でどこに行くか、駅の南に山寺芭蕉記念館なるもがあります。これは以前行ったことがなく、早速向かいます。立石寺とは反対方向の山のふもとにあります。アスファルトと整備された階段ですが、それなりの雪道。ほかに行く人もいません。振り返れば、仙山線と立石寺。
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記念館は、芭蕉の直筆の書や奥の細道の路程が陳列。ちょうど、正岡子規の特別展がやっていて、子規や高浜虚子の絵、河東碧梧桐の書、漱石の直筆の句があり、個人的にはこっちが面白い。正岡子規、彼どうやって飯を食っていたのか、分からない時代、懐の深さを感じる明治時代なのでした。
「長靴貸します」立石寺、タイムトライアル!
さて、記念館を降りてきましたが、次の列車の発車まで、1時間を切り、この後どうするか…。ふと山を見上げれば、昔登ったお堂が見える。ということで、行けるところまで行ってみよう!と、急いで登山口まで。
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雪にたたずむ芭蕉と曾良を横目で見ながら、拝観料を収めるところまで行きましたが、ここにも「長靴貸します」の案内。目の前の階段は雪がガチガチに凍っています。トレッキングシューズじゃないと走れないと思い、このまま登ります。目指すは五大堂、しかし、15分でたどり着かねば、降りてくると決めて、スタート。
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途中のお堂の屋根から大量の雪が落ちて来て(しかも二箇所で)、埋もれそうになり、リアルRPG。そして、もうひと登り!
五大堂は縁の下の方から登っていくが、最後の難関は、ロープを伝わらないと登れない。そして、遂に到着!!
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秋に、那須岳に登った時より、心拍数が上がりました~~。絶景に酔いしれている暇はなく、すかさず、下山。しかし、なかなか降りられない…。ほぼ、雪山登山…
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一番の難所を下って、黙々と、下山。大急ぎで駅へ。駅近くのお土産物屋の
おばさんにも暖かくエールを送ってもらいながら、出発7分前に駅に到着。
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スリリングな山寺訪問でした。
旅の終わりは、鉄郎君と共に…
さて、旅も終盤、ここから仙台までは1時間強。仙台行きの列車が到着するも、そこそこの乗車率。これは車窓は撮れないと思い、乗車、一つだけボックス席が空いているようですが、先に乗ったアベック二人組⁈がスルー。あれっ??と思ったら、リュックとヨレっとした赤いジャンパーだけが置いてある。こちらはラッキーと思い、窓側に座ると、トイレの方から、小学校中学年くらいの男の子やって来て、座りました。
おおっ、と思っていると、スマホを取り出し、窓にピタリとセッティング。
トイレから帰って来たのではなく、山寺方面を撮影していたようで、相席になったのは小学生の小鉄君でした。(以下、鉄郎君と呼ばせてもらいます!)
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ペットボトルの向こうには、車窓に張り付いたスマホ。
メーテルと鉄郎ならぬ、シチュエーションになってしまいました。
こちらも、バシバシ撮っているので、傍から見たら、これは鉄道好きの親子にしか見えない。こちらも素晴らしい車窓を一緒に撮りながら、眺めながら、仙山線の峠を越えていきます。
鉄郎君、スマホを置きっぱなしではなく、自由自在に撮影。面白山高原が近づいてきたら、すかさず反対側の窓外を撮影。今日は久しぶりの仙山線だそうです。話が弾んだわけではないですが、(おそらく撮影の邪魔になるため)こちらからは、我らが宮脇俊三の一冊だけ紹介しておきました。ただ車窓だけが鉄の道ではないと言わんばかりに、若干うんちくも垂れて、この一冊!
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列車は、渓流沿いの良い温泉の湧く作並を通過、広瀬川を渡れば、仙台までもう一息。鉄郎君は、列車の遅れのアナウンスが流れると、すかさず荷物を置いて、車内を歩き回り、駅のホームに降りて、ごみを捨てに行ったと、旅慣れた立ち振る舞い。
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国見駅を過ぎると、宮脇先生の本には載っていない駅、「東北福祉大前」。夕方、ちょうど授業が終わったばかりか、この駅と次の北山駅からもどっと学生たちが乗ってきて、鉄郎君もびっくり、二人とも撮影中止。仙台市の郊外へのこのような街の広がりが、ローカル線の存続に一役買っていると考えれば、文句は言えません。
学生たちを乗せた満員列車は、仙台駅に滑り込むのでした。時刻は16時25分。鉄郎君は、学生たちに埋もれ、いつの間にか、目の前から、姿を消しているのでした、「さよなら、鉄郎」 2022.12.17