柴犬チョロは異世界へ行くけど、夢の中で兄ちゃんを癒し続ける#7
ー 兄ちゃん ー
「はい、チクッとしま~す。手先しびれないですか?」と男性看護師が患者さんに尋ねる。
「ええ、大丈夫よ。」患者さんは手を開いたり、握ったりして確認しながら返答した。
男性看護師は点滴をつなげ、滴下の速度を調整し、定期的に様子を見に来ますと伝え、次の患者さんのところへ移動した。
しばらくして、仕事がひと段落つき、「休憩いってきまーす!」と詰所のスタッフに声をかけ、休憩ルームで昼食の用意をし始めた。
15分程で食べ終え、微糖コーヒーをゆっくり味わう。
「ふーー」
と、午前中の疲労をどこかへ飛ばすように息をついた。
少しだらしない姿勢で両足を伸ばし、椅子の背もたれへ両手をあげながらストレッチをして、
「ふーー」
と、また息をついた。
「さてと、後半も頑張りますか!」と自分を鼓舞するように立ち上がり、自分の持ち場についていった。
数時間の仕事を終え・・・
「お疲れ様でした。また明日もよろしくお願いします。」と同僚と師長・主任に声をかけ、患者さんにも挨拶をすましてから、退勤した。
外はすでに日が落ちており、暗くなっていた。
食材の買い物をしてから、帰宅。
すぐに柴犬の写真の前にやや小さめのお椀にお水と線香を用意して、男性は手を合わせた。
「チョロさん、今日も兄ちゃん元気に働くことができたよ。見守ってくれてありがとうね。」とつぶやいた。
兄ちゃんは毎日チョロのことをこう想っている。
ごめんね、もっと一緒にいてあげれたら・・・