柴犬チョロは異世界へ行くけど、夢の中で兄ちゃんを癒し続ける#9
フゴ!
チョロは寝ぼけた表情でパッと目を覚ました。いっぱいご飯を食べて、満足した後、すぐに眠ってしまったようだ。
”兄ちゃんの夢を見ていたような・・・”
『兄ちゃん…なんだか落ち込んでいた表情だった気がする。夢の話だけど…』
チョロはくちゃくちゃと口を動かしながら、部屋の隅にあった小さなピカピカと輝いている桶のところへ頭を入れ、覗き込んだ。
とっても綺麗で吸い込まれそうなぐらい透き通った液体が桶に入っていた。
”のどが渇いたな~…これは水かな?”とペロペロと舐め始めた。
ペロペロとみずみずしい感じはするも、なんだか喉は潤わない。
”おかしいなぁ~飲めそうで飲めない、変な水・・・”
【おい!!!!コラ!】
⁉
チョロはビックリして瞬時に頭を上げ、耳をピンと立てた。突然甲高い声が頭の中で響いたからだ。
『何?今のは…』チョロはなぜ怒鳴られないといけないのか理解できず、困惑しながらも喉は乾いたままなので、ペロペロは続けた。
【だぁあああああっと!!ちょっと待て!やめろって!!!!】
【俺様をなんだと思っていやがる!!!!】
『もしかして、この液体がしゃべってるの??』
【てめぇ~いつまでもペロペロと舐めまわしやがって!!おかげで俺様の崇高なる頭頂部がベッドベドじゃねぇ~か!!??】
謎のしゃべる液体はチョロを激しい口調で頭の中に響かせた。
チョロは訳が分からないまま、とりあえず『ごめんなさい…』と伏せをし、顎を床につける姿勢になった。
”でも、この水じゃない、しゃべるオラオラの液体さんはいったい何なんだ????”
チョロはプルプルしながら、とんでもない存在が目の前にいる事実に恐怖を感じていた。
はたして、これは・・・、いったい何なんた。本当に。