柴犬チョロは異世界へ行くけど、夢の中で兄ちゃんを癒し続ける#5
チョロは口のところがどうしても気になって、アグアグしたり、口を開けながらくちゃくちゃ舌を動かしている。身体も前足を交互に上へ上へと出して、足掻いてみせた。
人間の声でしゃっべっている事実と変化に動揺している様子。
老婆「ほぉ、ほぉ、ほぉ、そのうち慣れてくるさ…」とチョロが落ち着けるように穏やかに話した。
(うんんん…うんんん…頭でこんなに今まで人間の言葉を使っていたのに、いざ声に出してみると、すごい違和感がある。しかも、流暢に『しゃべった…わたし』なんて恥ずかしすぎる)
チョロにとって、冷静になれないことが起きている現状を身体で表現して、ストレス発散している。
『あ、あ、……あの~~私は本当にしゃべっていいの??』
老婆「もちろんさね。お前さんの声は誰が聞いても立派な聡明そうな女性の声をしておるよ。」
笑みを浮かべながら、チョロに恥ずかしがらないでいいんだよ、と伝えた。
ぐぎゅうるるる~~~
!!!!!! 『あ・・・・』
チョロのおなかの音が盛大に鳴った。
(い、いいいいやぁぁぁ・・・身体を動かしすぎて鳴ってしまった。おばあちゃんにしっかり聞こえる音だし。)チョロはこれまでかわいくて、耳をすまさないと聞こえない腸蠕動音だったのに…
まるでアニメの世界でもよく耳にする空腹音、そう…まさにあの音…
ぐぎゅうるるる~~~ ※想像豊かな皆様に委ねます※
老婆「ほほほ、腹が空いているようじゃな。どれ。」
「バートラ‼」と何かを呼ぶように大きな声を出した。
すたたたっと黒い物体が跳んできた。
バートラ「イヒヒヒ。はい、女王様。」
老婆「この子に食事を。それと、くつろげる部屋を用意しておくれ…」
バートラ「イヒヒヒ。かしこまりました。」
!?
『おばあちゃん…女王様だったの???』
バートラ「はい、こちらのお方は【幻獣の女王】ディア・ムーン様であられます。イヒヒヒ。」と膝をつきながら、チョロに紹介した。
『えぇぇぇぇ・・・・女王さま!? さらに幻獣の!!すげぇぇ~~
なんかとんでもない世界に私いるみたいだ…いまさらですけど』
チョロは口を開けっぱなしで、器用にしゃべった。
ディア「うむ。人間の言葉に慣れたようじゃな!!よしよし!!」
ぐぎゅるるる~~ぎゅるるる~~るるる・・・
チョロのおなかはさらに鳴った。