想像していなかった未来。
歳を取れば大抵の人間はそう思う。
こんな未来なんて想像してなかった。
そりゃそうだろう、自分も年を取るし、社会も幼い時から変化してるのだから。
むしろ、想像してる未来にいる人に会ってみたい。
そしてその人に聞いてみたい、なぜそんな未来が想像できたのか?
幼い時によく書かされた未来のなりたい職業。
今でも覚えてる、幼稚園の時はタクシーの運転手。楽そうだから、
小学校の時はプロ野球選手。少年団で野球をやってたから、
中学生はプログラマー。なんかネットが流行ってたから、
高校生からは覚えてない、大学にはなんとなく中学からのプログラミングができれば人生に役に立つんじゃね?ぐらいで、情報系のむさ苦しい学部に進んだ。
だけど僕の夢は幼稚園の時から決まってた。
歌手になることだ。
TVに出てるアーティストはキラキラしてて、非日常的で、欲動的で、羨望の眼差しを向けられていた。
田んぼと、第一級河川に囲まれて育った僕はそんなTVの世界に憧れた。
いつだったかもう覚えてないが、かなり幼い時で、タクシーの運転手になりたいと書いた時にはとっくにTVの世界に魅せられていた。
じゃなんでそんな嘘っぱちな夢を書いたのかははっきりしてる。
幼い時からプライドが高かったのだ。
こんなことを書いたら親やら、友達から笑われる。
自分の欲望よりも、他人からの視線や認識を優先したのだ。
今考えると厨二病的な黒歴史は少ないが、そんな子供は嫌だ。
子供というものは、欲望に真っ直ぐで、素直に傷付くものだ。
きっとそんな時期もあったのだろうが、5番目に生まれた僕は兄や姉の姿を見て自然とそういう社会的な考えをすることが美徳だと勘違いしていた。
話はそれてしまったが、未来というものは分からないものである。
当たり前のことを書いてみても、そりゃそうだろうと僕は思う。
ただ、幼い時に本心で思っていた歌手になる。
少し形は違うけど、僕は自称アーティストになっている。
これから未来はまだまだ続いていく。
僕が生きてる間もそうだし、死んでも未来は永劫と続いていく。
そういう意味では今生きている時間なんて一瞬で、僕の本心だった歌手になりたいと言い回っても幼い時の戯言として誰も覚えてないかもしれない。
なんにしろ、未来なんて周りを探しても絶対見つからない。
僕の中か、あなたの中にしかない。
大したことを考えなくていい、あなたはあなたと共に未来に進んでいくだけだ。
ただ、未来に進むだけ、過去にはもういけない、今を通り過ぎるだけ。