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【交換小説】 #遮断 1

私は今年で46歳になる独身の男です。高校までは順調な人生でした。いま思うと親元を離れ、あの進学校の寮生活が私の人生を大きく狂わせたのかもしれません。いえ、単に私には実力以上の高校だっただけなのです。高校一年の二学期には既に勉強で遅れをとっていました。その高校から東大や阪大に行く者も数十人いましたが、私は一浪し、結果、関大でした。同級生達からしたら考えられないレベルの大学ですが、この時はまだまだ自分は頭が悪いことに気づいてもいませんでした。頭が悪いというのは勉強に限らずのことです。恥ずかしい話ですが、自分の馬鹿さ加減に気付いたのはつい最近のことです。昼前に目を覚ませ鏡の前に立ち、後退した頭皮や、もやしの根の様な細い毛の白髪混じりの長髪、そん不健康な自分を見詰め、浦島太郎の気持ちになります。光陰矢の如し。時は金なり。身に染みます。大学は四回生で中退しました。親に勘当もされました。それきり一度もきちんと就職することなく今に至ります。派遣で働いては辞めて、失業保険で半年暮らし、また派遣で働く。その繰り返しをしてきました。半ニートです。会う人間はネットで知り合ったその時々の者ばかり。素性もわからない者同士が集うのですが、どんどんと年下ばかりになるのは当然で、最近は誰にも会っていません。吉野家の店員を省いて。ステイホームに関しても、元々ステイホームの生活です。若い頃は社会を遮断していたつもりでしたが、いま考えると、遮断されていたのは私のほうでした。

30歳になる前に、40歳になる前に、と己を奮起させようとしましたが、なにも変わらず、額が広くなるばかりでした。そして、50歳を前にしたいま、長年に渡り染み付いた「諦め」が重くのしかかっています。でもこの諦めを感じ始めたのも最近になってからなんです。。いまからでも遅くない。。私は決めました。50歳までの残り4年。もう一度、勉強し東大を目指してみることに決めました。ビリギャルという映画がありましたが、ビリおじです。人生の開かずの踏切。遮断機を上げてみたい。

#交換小説 #遮断

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