埋立の島(新木場から豊洲)
久しぶりになんの予定もない土日。土曜日は連日の飲み会にやられてあまり歩けなかったので、日曜は正午をまわる少し前に家を出た。
撮り歩いたことのない場所を歩きたかったので、定期券の範囲も勘案し、半蔵門線住吉駅から南に行くことにした。
住吉は墨田区の下町エリア。魅力的な街だが、住吉-東陽町は歩いたことがあるので移動と昼食に止め、本番は東陽町以南と意気込んで歩き出した。
しかし、撮れ高がない。
東陽町から南へ進むと江東区の埋め立て地エリア。倉庫ばかりが並んでいて細い路地もなく、単調な広い道をただひたすら歩くことになった。
むやみに撮ってみても良かったのだが、この日はフィルムカメラだけに絞って家を出てしまったため、気軽にシャッターを切ることができなかった。
またこの日は曇りだったこともあり、なかなかピンとくる場面に出会うことなく1時間ほど歩き続けた。
すると、「夢の島公園」なる公園を見つけた。すっかり心が荒んでいた私は「なにが夢の島だ。ここはゴミの(埋め立てでできた)島だろう」と内心暴言を吐いたが、船着場もありそうだし、公園だから何か撮れるかもしれない。休憩も兼ねて足を踏み入れた。
結局、夢の島でもあまり写真は撮らなかった。
夢の島公園は、代々木公園とか新宿御苑のようないわゆる「大きめの公園」というよりは、スポーツ施設や熱帯植物園やBBQ場などのさまざまな施設が集まった場所だった。私は海辺のBBQ場のベンチでひと休みして、新木場駅方面へ向かった。曇りだと海もあまりきれいに見えない。
子どもが遊んでいるだけだ。
新木場駅から辰巳駅あたりまではこれまでとあまり変わらない風景だった。もうあきらめて切り上げようかとも思ったが、豊洲までは頑張ってみることにした。
すると、辰巳駅を過ぎた小学校の奥に古い団地が現れた。本当に古い団地だ。
近くの小学校に通う児童たちはここには住んでいないだろうと思われる。正直、小学生の親世代が豊洲エリアに住むとき、わざわざここは選ばないだろうと思った。実際、さらに豊洲に近づくと、建設中のマンションがいくつかあった。若い親ならそちらを選ぶだろう。
見れば見るほど、新興住宅地のイメージがある豊洲にこんな古い団地があるのには驚かされた。団地の一角はちょっとした商店街があって、残念ながらシャッター街だったが、診療所だけは開いていた。
団地を抜けると豊洲までは「新しい街」という感じだった。さらに先の月島へ行けばもういくらかの撮れ高は期待できたが、使い切ったフィルムを現像に出したかったので、この日はここまでにした。
現像を待っている間、漫画喫茶で「ファイアパンチ」を一気読みした。藤本タツキ先生は「チェーンソーマン」でとんでもなくぶっ飛んだ凄い漫画家だと知っていたけど、「ファイアパンチ」を読んで、ちゃんとテーマを持って漫画を描く人なのだということが分かったので、これから「チェーンソーマン」を読み進めるのがさらに楽しみになりました。