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カタワと母性ー「花の名前」向田邦子

「それがどうした。」
物の名前を教えた。役に立っていたと思っていたのは、思い上がりだった。昔は確かに肥やしをやった覚えもあるが、若木は気が付かないうちに大木になっていた。
花の名前、それがどうした。女の名前、それがどうした。夫の背中はそう言っていた。
オンナのものさしは25年立っても変わらないが、男の目盛りは大きくなる。

花の名前 向田邦子

学術研究ばかりしてきた自分のことを、カタワという男と結婚した。母性反応をくすぐられたからだ。常識を彼に教えた。そして、彼はつね子を一度去っていった。。。ここで、話は終わる。
つね子が彼にしてきたことは、育児と教育だった。