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韓国の著作権法を読む(3)~著作権保護に関する施策樹立等(第2条の2)

1 はじめに

 「韓国の著作権法を読む」シリーズ、第3回目です。が、今回はちょっとスケジュール的にかなりきつく、いつも以上に手抜きです…(ほぼ条文紹介だけ…)。今回は第2条の2を読んでみます。

2 韓国著作権法第2条の2

제2조의2(저작권 보호에 관한 시책 수립 등)
① 문화체육관광부장관은 이 법의 목적을 달성하기 위하여 다음 각 호의 시책을 수립ㆍ시행할 수 있다.
1. 저작권의 보호 및 저작물의 공정한 이용 환경 조성을 위한 기본 정책에 관한 사항
2. 저작권 인식 확산을 위한 교육 및 홍보에 관한 사항
3. 저작물등의 권리관리정보 및 기술적보호조치의 정책에 관한 사항
② 제1항에 따른 시책의 수립ㆍ시행에 필요한 사항은 대통령령으로 정한다.
第2条の2(著作権保護に関する施策樹立等)
①文化体育観光部長官はこの法の目的を達成するために、次の各号の施策を樹立・施行することができる。
1.著作権の保護及び著作物の公正な利用環境調整のための基本政策に関する事項
2.著作権の認識拡散のための教育及び広報に関する事項
3.著作物等の権利管理情報及び技術的保護措置の政策に関する事項
②第1項に基づく施策の樹立・施行に必要な事項は大統領令にて定める。

 第2項の「大統領令」は、「著作権法施行令」第1条の2にて規定されています。その内容は以下の通りです。

제1조의2(저작권 보호를 위한 시책 수립)
① 「저작권법」(이하 “법”이라 한다) 제2조의2제1항제2호에 따라 문화체육관광부장관이 수립ㆍ시행하는 저작권 인식 확산을 위한 교육 및 홍보에 관한 시책에는 다음 각 호의 사항이 포함되어야 한다.
1. 저작권 전문 인력 양성에 관한 사항
2. 청소년 저작권 교육에 관한 사항
3. 올바른 저작물 이용 홍보에 관한 사항
4. 그 밖에 저작권 인식 확산을 위하여 문화체육관광부장관이 필요하다고 인정하는 사항
② 법 제2조의2제1항제3호에 따라 문화체육관광부장관이 수립ㆍ시행하는 저작물, 실연(實演)ㆍ음반ㆍ방송 또는 데이터베이스(이하 “저작물등”이라 한다)의 권리관리정보 및 기술적 보호조치에 관한 시책에는 다음 각 호의 사항이 포함되어야 한다.
1. 권리관리정보의 통합적 관리를 위한 표준체계 개발에 관한 사항
2. 권리관리정보의 제거ㆍ변경 등의 금지에 대한 예외사유에 관한 사항
3. 기술적 보호조치의 표준화에 관한 사항
4. 기술적 보호조치의 무력화 금지에 대한 예외사유에 관한 사항
5. 그 밖에 저작물등의 권리관리정보 및 기술적 보호를 위하여 문화체육관광부장관이 필요하다고 인정하는 사항
③ 문화체육관광부장관은 법 제2조의2제1항에 따른 시책을 수립하려면 관련 업계 및 이해관계자 등의 의견을 수렴하고, 관계 중앙행정기관의 장과 협의하여야 한다.
④ 문화체육관광부장관이 법 제2조의2제1항에 따른 시책을 수립한 경우에는 그 내용을 문화체육관광부 인터넷 홈페이지에 게시하여야 한다.
第1条の2(著作権保護のための施策策定)
①「著作権法」(以下「法」という。)第2条の2第1項第2号の規定に基づき、文化体育観光部長官が樹立、施行する著作権の認識拡散のための教育及び広報に関する施策には、次の各号の事項が含まれていなければならない。
1.著作権専門人材の養成に関する事項
2.青少年の著作権教育に関する事項
3.適切な著作物利用促進に関する事項
4.その他の著作権の認識拡散のために、文化体育観光部長官が必要と認める事項
②法第2条の2第1項第3号に基づき、文化体育観光部長官が樹立、施行する著作物、実演及びレコード・放送またはデータベース(以下「著作物等」という。)の権利管理情報および技術保護措置に関する施策には、次の各号の事項が含まれなければならない。
1.権利管理情報の統合的管理のための標準的なシステムの開発に関する事項
2.権利管理情報の削除及び変更等の禁止の例外事由に関する事項
3.技術的保護措置の標準化に関する事項
4.技術的保護措置の無力化禁止の例外事由に関する事項
5.その他の著作物等の権利管理情報と技術的保護のために、文化体育観光部長官が必要と認める事項
③文化体育観光部長官は、法第2条の2第1項の規定による施策を樹立する関連業界と利害関係者などの意見を収斂し、関係中央行政機関の長と協議しなければならない。
④文化体育観光部長官が法第2条の2第1項の規定による施策を樹立した場合には、その内容を文化体育観光部のインターネットのホームページに掲示しなければならない。

 著作権法第2条の2は、著作権法の目的を達成するための、文化体育観光部長官による施策の樹立・施行に関する規定です。日本の著作権法にはこれに類似する規定は見当たりません。

3 同規定に基づく具体的施策例

 同規定に基づく最近の具体的な施策として、文化体育観光部は、韓国著作権保護院とともに韓流コンテンツのオンライン著作権侵害に適時対応し、韓流コンテンツがデジタル経済を主導することができるよう、ビッグデータ基盤の「著作権侵害侵害対応システム」を構築すると発表しています(문화체육관광부「거대자료(빅데이터)로 한류 온라인 콘텐츠'저작권'을 보호한다」2021.1.20
https://m.blog.naver.com/mcstkorea/222213417104)。

 韓国著作権保護院のウェブサイトを見ると、すでにシステム構築は完了し、運用が開始されているように見えます(https://www.kcopa.or.kr/lay1/S1T10C224/contents.do)。

 前述の文化体育観光部の発表では、新型コロナウィルスの拡散防止のため、非対面の消費文化が日常化し、オンラインでの音楽・映画等の多様な分野の韓流コンテンツ需要が増加している中で、違法コピーや無断配布等のオンライン著作権侵害もともに増加しており、著作権侵害に対し積極的に対応し、韓流コンテンツ産業の経済的成長をサポートするために、侵害対応システムが必要な状況である旨、背景が述べられています。

 そのうえで、実効的な著作権保護体系を構築するため、2つの主要革新戦略にて侵害対応システム構築を推進するとしています。具体的には、以下の2つが挙げられています。   

 ①韓流コンテンツの著作権保護の業務処理速度向上のための、’侵害発生’→’侵害認知’→’侵害分析’→’対応’までの業務過程を一つの統合システムとして処理することができる基盤を設けること

 ②これまでの著作権侵害対応業務を通じ生成した著作権侵害情報、審議結果、著作権侵害サイト情報等各種資料を一か所に集める’ビッグデータ統合システム’を活用し、対応(審議、捜査)措置時必要な資料と関連情報を迅速に提供すること

 上記のシステムが現状どのように運用され、成果を挙げているかについてまでは追えませんでしたが、今後動きがあれば追記していきたいと思います。

4 終わりに

 何とか3か月継続しています。今後も極めて薄い内容ですが、ゆるく長く続けてみたいと思います。

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