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ベストコンディションで臨みたい

 みんな〜〜〜!!!
 みんな歌うの好き〜〜〜??!!

 私は大好き〜〜〜!!!!!
 歌えるなら、家だろうが道端だろうが体育館だろうが、どこでもオッケ〜!!!むしろ体育館みたいに広くて壁に囲まれた場所は、でっけー声で歌えるしメッチャ響くから大好き!!!逆に、海や森みたいに声が吸収される自然の中で歌うのも、声量が鍛えられるから好き〜〜〜!!!
 歌うの、気持ちいいよね!!!!!

 しかし現代において、一般人が思いきり歌える場所はカラオケくらいだ。そのため私は、歌いたくて仕方がなくなったらカラオケに行く。現在私が借りているアパートは、壁が薄すぎて隣人の息遣いまで聞こえるため、歌うなどもってのほかだ。カラオケ以外に選択肢はない。

 私は断然ヒトカラ派だ。同じ曲を連続で歌っても、気持ちいいサビだけ歌って演奏中止しても、誰も文句を言わない。歌わないでライブ映像を見続けてもいいし、ソフトクリームばっかり何回も食ったっていい!自由がそこにある!
 ヒトカラ最高〜〜〜!!!

 しかし皮肉なことに、上手く歌えるようになると誰かに披露したくなるのだ。「誰でもいいから私の歌を聴いて〜」と思っても、ヒトカラだから聴かせる相手がいない。DAMチャンネルしか私に話しかけてくれる相手はいないのだ。
 それまで楽しかったヒトカラが、急に虚しいものへと変わる。歌っている間は気にならなかったエアコンの冷風も、なんだか肌寒くて不愉快に感じる。

 いや、ヒトカラに来てる時点で、誰かに聴かせたいなんて承認欲求は捨てるべきでしょ??!!あなたは誰のために歌っているの?自己満足でしょ???自己満足に他人を巻き込んでいいんですか??!!




 というわけで、私は友人たちとグループでカラオケに行くこともある。しかし、それはそれで問題が三つある。

 一つ目は、「自分の歌う回数が減る」という点だ。
 ヒトカラで歌う際には、一度に5曲ほど予約して一通り歌ったあと、水分補給やトイレに行って休憩する、というルーティーンを行っている。
 しかし、グループで歌う際には、このような身勝手な行動はできない。一人一曲ずつ歌うのがマナーだろう。自分が早く歌いたいからといって、友人が歌っている曲を勝手に演奏中止するのもNGだ。
 さらに私は、友人が歌っている最中にトイレやドリンクバーに行くことができない。なんだか気が引けるし、自分がされたら寂しいからだ。そのため、採点中か曲の切り替え中に部屋から出るようにしている。
 勝手に気を遣って、勝手に疲れてしまうのだ。

 二つ目は、「羽目を外せない」という点だ。
 ヒトカラの際には、踊ったり、演技したり、歌手の真似事をしたりしながら好き勝手に歌っている。しかし、グループで歌う際には恥ずかしくてそんなことできるわけがない。
 グループで歌ったほうが羽目を外せる人もいるだろう。しかし私の場合は、いくら盛り上がっているように振る舞ったとしても、心の中では冷静になってしまう。もちろん、ノリノリで歌う方がみんなのテンションは上がるし、友人が歌っているときには、掛け声や手拍子で盛り上げることに徹する。だって、自分が歌ってる時にも盛り上げて欲しいもん。
 またまた勝手に気を遣って疲れてしまう。

 三つ目は、「ベストコンディションで歌えない」という点だ。
 私は、歌う際には声出しから始める。合唱部の頃に毎日行っていた発声練習を10分間行ったあと、比較的歌いやすい曲を3曲ほど歌う。そのあと本腰を入れて歌い始めるため、声出しには30分はかかる。完全に喉が開くのは、さらに30分経ったあとなので、入室してから1時間はコンディションを整えるのに使う。
 しかしグループで来ている際に、そんな悠長なことはできない。それに、本格的な発声練習をしている奴がグループの中にいたら、他の人は居心地が悪いだろう。
 私としては、ベストコンディションの歌唱をするために、少しでいいから声出しがしたい。そのため、「グループ全員が知っていて、かつ歌いやすい曲を全員で歌う」という手段で声出しをしている。これならウォーミングアップになるし、声出し不足で喉がひっくり返っても、大勢で歌っているから目立たない。完璧だ!




 友人とカラオケに行く際にベストな歌唱をするため、普段から行っていることがある。自分の歌っている様子を録音・録画するのだ。
 録音に関しては言わずもがな、その場や帰宅後に自分の歌を聴き返して、改善点や上手くいった点を見つけるために行う。歌っている最中は興奮しているため、ミスに気づかないのだ。
 私はエッジボイスを使うのが好きだ。しかし、やり過ぎると聴いててクドくて疲れるため、そこに注意して聴き返す。ビブラートも同様だ。
 カラオケの加点に含まれるビブラート・コブシ・フォール・シャクリ等を使えば点数は上がるが、聴いている側からすると不自然に聴こえて疲れてしまう。程よくテクニックを使うことを心掛けている。

 録画は、自分の表情や動きを見るために行う。
 私には、歌う際に行うクセがある。表情に関しては、眉間に皺を寄せるクセ目を瞑るクセ片方の口角を上げるクセがある。
 眉をひそめるのは、集中しているときだ。音程や歌詞を間違えないように気合を入れると、どうしても眉間に皺が寄ってしまう。目を瞑るのは、高音を出すときだ。高音は本当に緊張する。何か勢いをつけないと失敗するような気がするのだ。ロングトーンというより、短い音でかつ高音を出さなくてはいけない場合に目を瞑る。片方の口角を上げるのは、特に理由はない。昔からのクセだ。
 このような表情のクセは、他人からすると面白く見えるのではないだろうか。実際私も、自分の表情を見て「変な顔して歌ってるなー」と思う。そのため、次回から改善するために録画をしている。
 表情に関しては、クセだけではなく口と目の開き方にも注意して見る。奥歯がどれだけ見えているか、半目になっているかなど、気にし出したらキリがない。

 私には動きに関するクセもある。
 合唱部の頃に行っていた手の動きを、カラオケで歌うときもする。具体的には、グッド👍の手を親指が内側になるように横向きにし、親指を上下させることで音程を捉えるのだ。高音へ上がる際は指を上に、低音へ下がる際は指を下に向ける。目に見えない音程を可視化することで、確実に歌は上手くなる。
 音程を捉える動きには、様々な流派がある。私が今まで見たことがあるのは、ペンを握る手を上下させる人、アイーンのように地面に向けた手を上下させる人、屈伸のように膝を曲げ伸ばす人、眉毛を上下させる人など、人それぞれだ。
 このような表情や動きのクセは、やはり馴染みがない人からすると面白く見えるだろう。

 このように、いつ人に聴かせるのか分からないにも関わらず、練習を続けてきたおかげで「歌うまいね!」と言ってもらえることが増えた。しかし、このようなストイックな練習法を人に伝えると、「〇〇と一緒にカラオケ行くの無理だわ」と言われることがある。
 安心してほしい!!!厳しいのは自分に対してだけで、他人の歌唱力には全く関心がない。そもそもカラオケ自体が娯楽として楽しむものだ。それを私が勝手にハードルを高く設定して、いろいろ試行錯誤しているだけなのだから、他人にそれを強制したりしない。



 だからみんな~~~!!!私と遊んでよ~~~!!!
 頼む!!!ちょっとでいいから!ドリンクバー代は奢るから、一緒にフリータイムで歌ってくれ~~~!!!

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