ゴルフ実況のヴィン・スカリー

「ドジャースの声」のオフシーズン

8月2日(日本時間3日)に94歳で逝去したヴィン・スカリー(1927~2022)はドジャースの球団専属アナウンサーをブルックリン時代の1950年から2016年の勇退まで65年以上務めた。「ドジャースの声」と称された大リーグ実況の功績は今さら書くまでもないのでここではゴルフの実況をしていた一面に着目する。

スカリーは1970年代~1980年代、主として秋から翌年春の大リーグのオフシーズンの時期にCBSスポーツやNBCスポーツのゴルフ中継に携わった。
1975年~1982年はマスターズの中継チームに参画。またオフのイヴェント「スキンズゲーム」の実況・リポーターも担当した。

1982年にCBSが別のアナウンサーと契約したのでスカリーは翌年から1990年までNBCと契約。解説のリー・トレヴィノと組む機会が多く、歯切れのいい話しぶりで盛り上げた。

名勝負との縁

スカリーのゴルフ実況歴で見逃せないのは1983年ハワイアン・オープン。青木功プロが最終18番ホールのチップインイーグルで日本人初のPGAツアー優勝を果たした、あの試合の実況者なのだ(下記リンクの0:24から)。

結びにPGAツアーとジャック・ニクラウスの追悼文を御紹介する。どちらもニクラウス、ワイスコフ、ミラーの三つ巴の争いとなり、名勝負と謳われた1975年マスターズでのスカリーの実況を取り上げた。
PGAツアーのローリー・リヴゼイは当時終盤2時間だけの最終ラウンドの中継冒頭のスカリーによるコメントが予言的だったと記している。

The Augusta National Golf Club has seen some marvelous finishing rounds,
and in this fourth and final round of the 1975 Masters might very well be a story that will live for many years to come.
オーガスタナショナルゴルフクラブはこれまで幾多の素晴らしい最終ラウンドを見守ってきた。そして1975年のマスターズの最終第4ラウンドは今後長年にわたって記憶されるストーリーになる可能性が十分にある。

ヴィン・スカリー(1975年マスターズ最終ラウンド中継のイントロダクション)

It’s easiest to say that the baseball world lost an icon with the passing of broadcaster Vin Scully at age 94. But it is...

Posted by Jack Nicklaus on Wednesday, August 3, 2022

スカリーは劇的な瞬間でもやたらとがなり立てない、品位と抑制のアナウンサーと言われた。そのスタンスはタイガー・ウッズが現れる前のゴルフ界の雰囲気にぴったりだった。R.I.P.

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