【ディスクレビュー】岩﨑宙平指揮、ピルゼン・フィルハーモニー管弦楽団:ヴォルフ=フェラーリ作品集

チェコで活躍中の俊英指揮者のデビュー盤

2021年8月28日毎日新聞(東京夕刊)にこんな記事が載った(会員限定)。

岩﨑宙平は御覧の通りヴァイオリニストから指揮者に転向、チェコ各地のオーケストラに客演してきた。そして2021年9月からチェコのピルゼン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任、タイミングよく同楽団とCDデビューも果たした。

変幻自在のダイナミクスと目を見張る色彩美

ヴォルフ=フェラーリの管弦楽曲アルバムは往年のサンティやレーグナーの名盤が知られ、近年でもノゼダ、ハイダーなどが録音している。
そうしたなかで岩﨑宙平:ピルゼン・フィルハーモニー管弦楽団は一聴して麗しいメリハリにハッとする。
「マドンナの宝石」の有名な間奏曲は響きの水面の光沢が変化するさまが新鮮。同じオペラの「ナポリの踊り」では妖しさをはらんで生々しく迫る音彩に魅せられる。
ヴァイオリン協奏曲はソリストを細身の瑞々しいサウンドで丁寧にサポート。勢いと手練手管に加えて表現の着地点を確実に押さえるクレバーさを感じる逸材。今後の大化け間違いなし。

実は筆者は彼をヴァイオリン弾いていた頃から知っている。
音楽の表現力に秀でていたのはもちろんだが、読書家で物事を掘り下げる姿勢が素晴らしく、何かきっかけを掴んだらグンと伸びるタイプだと考えた。
その後指揮者となり、チェコで地道に経験を積む様子をFacebookなどで拝見し、花開く日を楽しみにしてきた。今回こういう形で取り上げられるのはまことに嬉しく、誇らしく思う。

※文中敬称略

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