2024年5月の読書録
そろそろスランプを抜け出してきた気がする……!(ほんとかな?)
それでは5月の本を振りかってみましょう。
読書メーターによるまとめはこちら。
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読んだ本の数:10
読んだページ数:2390
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10冊!
よくがんばった!(コミックエッセイ入ってるけど!)
ひとつづつ紹介していきますね。
1. 三宅香帆著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 (集英社、2024年)
出版されてすぐに話題になった本。
やっぱりみんな、仕事をしていると本が読めないな、と感じているのだろう。
わかる。
わたしも。
なんだろう、無駄なリール動画とか、XのTLを眺めたりとかは永久にできるのに。
読んでみたところ、「なぜ読めなくなるのか」というよりは、「労働史と読書史」の話だった。
読書、という一部の階級にのみ許されていたものが、労働の変化、教育の変化とともに、どのように変化していったのか、という、社会史の中での読書の話のようだったと思う。
「読書」に特別感を見出す様子は、まるで酸っぱい葡萄を眺めるキツネのようだと思った。
2. 阿部智里著『追憶の烏』 (文藝春秋、2021年)
本当は『楽園の烏』を読もうと思ったのだけど、見当たらなかったので次の巻を読んだ。
地獄が増した。
こんな辛い話ってある?
改めて、忠誠とはなんなのか、と思った。
雪哉はどこで間違えたのかな。
それとも雪哉は間違えていないのだろうか。
奈月彦は間違えていないのだろうか。
3. 週末北欧部chika著『マイフィンランドルーティン100 ヘルシンキ暮らし編 - 北欧好きをこじらせてついに移住した私が暮らしの中で見つけた愛してやまないこと』(ワニブックス、2023年)
しばらく前に買っていて、寝かせていた本をようやく取り出した。
こういう、新しいことに挑戦するようなエッセイは、どんだけ絵柄がゆるかろうと、読んでいいときとダメなときがある。
今回はここまで待っておいてよかったな、と思う。
新しい土地で新しく仕事をしていくこと。
旅行ではなく生活するということ。
大変なことだけれど、すてきなことだと思う。
4. 宮島未奈著『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社、2023年)
本屋大賞を取っていたのと、表紙が好みだったので。
この、「表紙が好み」というのは本選びにとって実のところかなり重要である。
物語は滋賀県大津市を舞台に、かなり変わった中学生、成瀬の日常を、いろんな人の視点から眺めていく。
親友の島﨑、かつて大津市の高校生だった大人たち、他校の生徒、そして成瀬。
よくわからないけれどとにかく我が道を行く成瀬は、側から見るとかっこいい。
かっこいいけれど、自分がそうなりたいかというと、すこし首を傾げてしまう。
あそこまで風変わりじゃなくていい、と。
でもやっぱり、成瀬を見ていると清々しい気持ちになるのだ。
5. 宮島未奈著『成瀬は信じた道をいく』(新潮社、2024年)
成瀬シリーズの2作目。
高校生になった成瀬の、相変わらず風変わりで真っ正直な日常生活。
同中のクラスメートが成瀬を敵視している話、成瀬と一緒に観光大使になった高校生。
今回は、成瀬にややネガティブな視線を向ける人たちを通して見た、成瀬の姿を見ることができる。
変わってるから、関わると面倒だから、成瀬は普通の人たちに嫌煙される。
その気持ちもわからないではない。
特に、なんでもない普通の人にとって、成瀬のような唯我独尊な人は煙たいものだ。
それでも成瀬は変わらない。
よく思われていないと知っても、成瀬は人によって態度を変えることをしない。
その強さが羨ましいし、それでこそ成瀬だとおもう。
6. mini_minor著『myトラベルノート - “忘れたくない"をかたちにする』(ワニブックス、2020年)
こういう“かわいい”本はわたしはあまり手を出さないのだけれど、その理由のひとつは「どうせ続かないから」である。
こまめにノートを付けたり、ましてやそれを可愛く飾ったり、下書き版と完成版を作り分けたり、そういうことができない。
できないのだが、今度一生に一度であろう聖地巡礼に行くわけなので、せっかくだからノートを書いてみようと思って“教科書”を買った。
さて、どうなることやら。
7. 安野光雄、河合隼雄著『生きることはすごいこと』(講談社、1998年)
絵本作家の安野さんと、心理学者の河合先生の対談集。
対談なので、テーマがあるようでけっこうないようがあっちこっちいく。
何を読んでいたんだかな、という気持ちになりながら読んだ。
少し古い本なので、現代の感覚と少しずれるな、と思うところはあったのだけれど(何より2人とも高齢の男性だし)、やはり一つの道を極めた人というのは、視野が広いし話の幅が広い。
それにしても、こういう「ためになる話」は読んだ端から、手のひらから砂がこぼれるように記憶から抜け落ちてしまうのだけれど、なんでだろう。
わたしの理解力足りないのか。
そうか。
8. 川口俊和著『コーヒーが冷めないうちに』(サンマーク出版、2015年)
これも随分前に話題になった小説ですよねぇ。
いまだに本屋さんにおいてあるの。
すごいなと思って。
で、読む本もなくなってなんとなく「こういう系の本読むか」という気持ちになって読んでみた。
物語の断片が最後にまとまって和になるような物語は、読んでいて心が温かくなる。
この人の他の本も読んでみようと思う。
9. 週末北欧部 chika著『世界ともだち部(2)』(ワニブックス、2024年)
発売日に買って読んできた。
chikaさんのコミュ力ってどうなっているんでしょう。
わたしのような内向的な人間には絶対真似できないような勢いで、友達の輪が広がっている。
そしてともだちたちの個性が強い。
chikaさん自身も相当に個性が強いはずなので、類は友を呼ぶってことかぁ、などと納得する。
いろんな人付き合いの形が見えるのもいい。
ともだちの形はひとつじゃない。
10. 松井光著『世界でいちばん透きとおった物語』 (新潮社、2023年)
気になっていて、本をいただいたので読んだ。
すっごい。
ね。
ネタバレ禁止系の本なので、多くは語らない。
人の死をきっかけにその人の過去を遡っていくという、それは一見自分には関係がないようで、自分のバックグラウンドを掘り下げる作業でもある。
そうしていくうちに、死者が残したものが見えるようになってくる。
やがて自分と向き合うことになる、こういう物語は好きだ。
まとめ
以上、10冊でした。
うん、思ったより読めたし、新しい作家も読めた。
なかなか調子がいいのではないだろうか。
このまま目指せスランプ脱出!
さて、6月はどんな本と出会えるでしょうか。