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サイアノ和紙作家日記 vol.24『出ヶ原和紙、楮刈り体験』

ギャラリーニエプスで展示中だけど、
3日間、西会津町で和紙の材料、楮刈り。
西会津は先週大雪で停電や道が寸断。
幸い、それ以降は天候も安定しているが、
また大雪が降る前に楮を刈り取らないと。
出ヶ原和紙工房の美術家、滝澤さんと
西会津の宮沢賢治、もとじさんに
僕を加えた3人で雪をかき分け楮刈り。

雪面からひょこっと顔を出す楮の根を探るため雪を掘り起こすと別の楮も雪の中から現れる。
だから、とにかく掘って掘って掘って刈る。
思うように作業は進まないんだけど、
子供の頃に雪玉つくって並べて
遊んだ記憶がよみがえる。
ただ陽も傾き始めると流石に寒い、
手足がかじかんでくる。
でも、少しでも楮を刈っておかないと
来年の和紙づくりに支障がでてしまう。
暗くなる前に刈った楮を集めて
積み込みもしなくてはならない。
かじかむ手先を揉んで温めながら、
急いでノコを挽く。

熱めのお湯が良い塩梅の温泉に浸かり
かじかんだ手足を解凍する。
感覚も徐々に戻りながらふと思った。

確かに大変だけど、
雪をかき分け楮刈り自体、
多分、貴重な体験だと思う。
ノコで楮を刈るというシンプルな行為も
日常生活では感じられない
人間の本能的な何かを
呼び起こさせる気がする。
そして、なによりも、
来年の紙は今まで以上に大切にするはず。
それが作品づくりにも反映されると思う。
こういったコトの積み重ねが
大切なんだなと改めて思った。

4、5歳のとき、一人で夢中になって雪かき分けて遊んでた記憶がよみがえった。
最終日の午前の収穫、重たい。photo by tetsuya takizawa

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