アラサー男性がモルカーと一緒に一人旅した話①
後者は概ね同意出来るが、前者については異議申し立てる。
旅をする時はね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃダメなんだ。人はみなただ一人旅に出て、振り返らずに泣かないで歩くのであります。
そんなわけで夏に休暇を取って一人旅をした話を先輩にしたところ「え、寂しくないの?」とバッサリ切られた。
バッ…、別に寂しくなんてねーし!
だって私の旅には…
ということで、タイトルで既にオチてるけどモルカーと一緒に一人旅をしてきました。何故って、「PUI PUI モルカー」によって私の心に抜けない針を刺されていることと、やはり一人旅は寂しいから。この記事はいい歳した大人が2台のプリチーなフロッキーフィギュアと一緒にはしゃぐ様子をお伝えするものである。覚悟はいいか?私はできてる。
旅程
8月4日① いざ広島
■8:30
東京駅八重洲口。事件は現場で起きていた。
いのには新幹線の乗り方が分からぬ。いのは家に篭もり、モルカーと遊んで暮らしてきた。
実際最後に新幹線に乗ったのが6年前なので、スマホひとつで乗れると言われても信じられない。いや、当時も乗れたけど。しかし、いのには父さんがくれた熱い思いがある。すなわち、「分からんことはプロに聞け」。ここに新幹線の乗り方を駅員さんに聞くアラサー男性が誕生しました。言うな。背に腹はかえられないのだ。
か、神対応か!?
私が声をかけるまで外国人の団体客の対応をしていたと言うのに、自分でどうにかしろ級の私にも笑顔で対応してくれた上に見送ってくれる。イケ魂の笑顔がスーッと効いてこれは……ありがたい。せめてこの旅行では、私も誰かに優しくしよう。そう思った。
席に着くなり荷漁りを始めるアラサー。新幹線に乗車して初めにやることランキング(私調べ)堂々の1位は6年前から変わらない。
え〜き〜べ〜ん〜(CV.大山のぶ代)
新幹線の乗り方は忘れているのに、以前食べたひれかつサンドの美味さは忘れていない。私は食い意地が張っているのだ。発車前からぱくぱく食べるぞ!
ところで、見ての通りいのは写真が下手である。ピントも合わせずにバシャバシャ撮る。この記事は、アラサー男性の平凡な旅を、濃いめに味付けた文章で書き記すものです。ふぉとじぇにっく的な過度な期待はしないでください。
8月4日② 広島駅
■12:50
雨やんけ。
広島駅に着くといわゆる「雷を伴う猛烈な雨」。どじゃあ。どうやら突然降ってきたようで、駅前の人達は故 圓鍔勝三氏の銅像と同じポーズで軒先を求めている。
広島電鉄の電停を探してひとりさ迷えば、行けど切ない石畳。ああ、広島は今日も雨だった。
脳内の前川清が1曲歌い終わる頃には、薄らと日が差してきました。
え、かわいい。でっかい幕の内弁当の端にちょこんといる魚の醤油さしみたいなかわいさ。こんなに小さいのに沢山の人を乗せて頑張ってるのね。えらいわちゅっちゅ。
そんな狂気は鮨詰めの車内で泡と消え、雨と汗とヒトの臭いでむせ返る中で正気に戻っていく。CoCでもこんな〈精神分析〉見ないぞ。
8月4日③ 平和記念公園
実は是倉いのは、仕事のための勉強のために旅行しているのだ。と、言っておくと大体褒められるのでそういうことにしておいてください。
ほら、褒めろ。
■13:50
広電の電停から少しずつ見えてくる異様な風体。悲壮感漂う無骨な影。異質さを極めた存在なのに、これがある事の安心感。それが原爆ドーム。
ドームと同じ街に住むってどんな感覚なんだろう。周囲の住宅は少ないけれど無い訳ではなく、通勤や通学で毎日目にする人もそれなりにいるのでしょう。広島の人たちは過去あったことを受け入れて、許さずに、ドームと一緒に今日も頑張っているのかも知れません。知らんけど。
■16:30
いのさんちょっと真面目な話しますよ。
戦争には、それを体験した一次世代と、一次世代から伝え聞いた二次世代、そして二次世代から伝え聞いたか伝え聞いていないかの三次世代がいると思います。
平和記念資料館は時の流れと共に増えてゆく三次世代にもまざまざと災禍を見せつけます。そうだよね、戦争って恐ろしいんだよね。はじめに焦土と化す広島の再現映像、次に当日の広島の地獄絵図、そして残された人々の苦しみ。強烈なインパクトをはじめに打ち出すことで、遠き日の人々に共感しやすい造りになっています。はー、全人類行け。
マンハッタン計画の展示を黙って見つめるアメリカ人の親子は何を思っていたのだろうか。 「誰が悪いとかはない」と説く母の言葉を、娘はどれほど大きくなるまで真っ直ぐ持って行けるだろうか。「多くの人々」と片付けることの出来ない、ひとつひとつの命があの日の広島にはあった。今、同じ悲しみを多くの人々で抱えることが出来る現代のなんと幸せなことか!
え、モルカーが全然出てこなくてタイトル詐欺だって?うるせえ今真面目な話してるんだよ!
8月4日④ 広島の夜
平和記念資料館は死ぬほどカロリーを使う。故に勇者一行はやどやを目指す。
このパーティは一緒に行動してるだけで、癒しパワーのおかげでHP・MP回復するんですけど。
写真がこれしかないので多くは語りません。
ありがとうダイワロイネットホテル広島。部屋、設備、サービスどれも、イエスだね!
■18:30
腹が減っては戦ができぬ。戦を見ては腹が減る。「旅とはすなわち食べることだ」って私が言ってた。
鉄板の目の前に通してもらった私は、先頭車両の運転室にべったりの幼児のように鉄板にかぶりついた。ジュウジュウと鳴く鉄板では、次から次へとお好み焼きが焼き上げられていく。最早飲食店というよりも工場。地球上のお好み焼きは全てここで作られてるのではないかと錯覚する程のスピード。速さが足りている!!小気味良いショウを見ているといつの間にかカキが到着。
ぷりっぷりのとろっとろ。月並みな表現が的確な表現になるほど、お手本のような牡蠣。
こんなの食べちゃったら次はさァ!安西先生……お好み焼きが食べたいです…!!
もう芸術品だろこれ。MOMATに展示しろ。毎週末通うから。実に良き姿。流麗で美しい。長年の修行が生み出したお好み焼きなのだろう。此方も綺麗に頂かなければ無作法というもの……。
鉄板の上でそのまま提供されるので、食べていてもバーガーチェーンのポテトみたいにヘタらない!見よ、この断面を!遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!これこそ広島お好み焼きの王道・みっちゃんのお好み焼きよ!
イカ天はイカの姿揚げのことで、炎の男曰く県民が選ぶトッピングNo.1だとか。キャベツの甘みとイカの旨みを、ソースが優しくひとまとめにしてくれます。食べ応え満点。ご馳走様でした。
え?モルカー?いや、衛生的に……。明日からは沢山出てくるから!
こうして鉄板号の運転席にへばりつき、終点の満足駅にたどり着いた私は「やどや」へ帰る。広島1日目の夜は更けていく……。
いや……、まだ大分明るいな……。
8月4日 雑記
■ノート
この旅行中、トラベラーズノートにメモを取り、宿で写真を貼って一日の行程をまとめたりまとめなかったりしていた。このnoteもノートを元にして書いている。
そんなノートの最初にメモったのがこれである。
いや、ホント、出費が痛い。特にAndroidユーザーはご注意ください。駅で買えるケーブルの7割はLightningケーブルです(是倉いの調べ)。
■ほっつき
普段から知らない場所、行ったことない場所が好きで、今回の旅行でも時間に余裕があればふらふらとほっつき歩いていた。
うふふ。ほっつきって可愛い。
広島バスセン ナ-
バスセンメ?バスセンナ?
こういうの大好き。SOGOがSOG なのもポイント高いですよ。
ほっつき魔はすぐ迷子になるが、そこでこんな可愛いを見つけるのもまた一興。ちなみに広島市内の中心部は真っ直ぐの道が多くて(理由はあえて言うまい)歩きやすいですぞ。一方で横断歩道が少ない大通りもあったりして、余所者であり予定に縛られた観光客にとっては、誤った道を進むことが命取りになることもありますぞ。一人旅なんで何でもいいですけれど。
■ ■ ■
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。あわやタイトル詐欺とも言われかねない内容に、海原雄山ならば「この記事を作ったのは誰だぁ!!」と怒り心頭に発するもやむ無しです。
しかし、そう言われたならこう言い返さなければならないでしょう。
「明日もう一度ここに来てください。本物の『アラサー男性がモルカーと一人旅した様子』をお見せしますよ」
と。ということで、宜しければ続きも読んでやってください。モル増し、してあります。