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誰も知らないヌーの大移動

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2020年から始めたヌーの取材で大移動に異変が起きていることが分かってきました。特にコロナ前とは状況がかなり違います。予測が難しいヌーの大移動ですが、ヌーはちゃんと理由があって大…
ヌーの大移動の取材裏話を軸に、以下の内容も織り込んでいます。 ・ヌーの大移動の異変、5つの原因 ・…
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記事一覧

第0話 サバンナの王者はヌー

▶ヌーを知ればサファリが何倍も楽しくなる サバンナの王者はライオンではなくヌーと言っても過言ではありません。ヌーがサバンナを作り上げているのです。ヌーがいなくなればサバンナの自然は保たれなくなってしまいます。 でも、ヌーって知っているようで……知ってる? なぜ、大移動をするのか、知ってる? 推定150万頭の生息数を誇るヌーは、セレンゲティNPの南から北のマサイマラNRまで草を求めて大移動し、1年かけておよそ1800 kmの道のりを1周します。 「ヌーは草を求めて大移動す

第1話 ヌーの大移動に異変が⁉ 2021年9月

▶今年の川渡りは✖✖✖✖✖✖ 2021年。どんな年だったか覚えていますか⁉ コロナです……。南部版『まるまるサファリと大自然の本』を出版した矢先、コロナですよ! 海外旅行は事実上の禁止状態(泣)。 在庫は制作費を取り戻すどころか、営業費、倉庫代を貪り食う金食い虫に。 終わった………… (T_T) ………いや、こんなことでサファリ人生を詰んでたまるか。コロナが終わったら東アフリカ版『まるまるサファリの本』を出版できるように準備をしなくては!と再奮起。 コロナ禍にケニア取材を

第2話 ヌーの移動 is Over(ToT) 2021年9月

▶ヌーの川渡りを見るぞ作戦 初日から首尾よくヌーの川渡りが見られたため、2日目は気持ち的に余裕で、マサイの家畜が保護区の草をおいしそうに食べるのを横目にしながらゲームドライブを楽しみ、今日も川に向かいました。

第3話  谷底で起きている事

▶ナクル湖の異変 今回はナクル湖のフラミンゴの話になります。もちろんヌーの大移動に関わる話。 どうぶつ達の命は様々な形で繋がっていて、ヌーの大移動を知るには遠く離れたナクル湖の事も無視できないのです。 2013年頃からナクル湖の水位が上昇しているという問題が起きていました。 ナクル湖には流出河川が無いため湖水は増え続け、その後徐々にナクル湖国立公園を呑み込んでいきました。 水が増え続けたため浅瀬は深くなり、湖水のアルカリ性は薄められ、アルカリ湖に繁殖する藻類や甲殻類は数を

第4話 ライオン黄金時代 マサイマラNR 2021年9月

▶チーターが連合を組んだわけ サバンナの命は様々な形で繋がっています。ヌーを知るにはライオンやチーターも無視できません。というわけで今回はヌーにまつわるライオンのお話。 2020年~21年はコロナで自宅軟禁(自粛)の年でした。私は家でテレビばかり見ていたのですが、当時マサイマラNRで人気者だった5頭のチーターのドキュメントが放送されたのを見ましたか? チーターはライオンとは違い群れを作りません。ただし兄弟は独立後も一緒に生活することが多いようです。子育てをするメスは主に単

第5話  セレンゲティNP北部へ 2022年8月下旬

▶マサイマラは大混雑 ヌーの大移動に異変が起きている⁉ ――と気が付いた2021年のケニア取材。

第6話  セレンゲティNP北部へ 2022年8月下旬②

▶秘境のキャンプサイト 北部に到着早々バッファローに威嚇され(第4話参照)、この辺りはマサイマラやセロネラとはちょっと違うぞと実感。サファリカーとはほとんどすれ違わずキャンプサイトも閑古鳥。秘境に来られた嬉しさの反面、淋しさも感じます。キャンプサイトはシマウマやヌー、時にはバッファローも姿を現わす自然豊かな環境でした。 90年代のサファリを思い出すなぁ。久々にキャンプらしいキャンプの楽しさが味わえる夜です♪ 「夜は危ないから、トイレに行きたくなったらテントのそばで済ませてね

第7話  セレンゲティNP北部マラ川 2022年8月下旬

(第6話からの続き) ▶「雨が降ったらマラ川には行かないよ」 セレンゲティの北部、ロボまでやってきてテントを張り、いよいよ明日マラ川へ!そこでドライバ―さんの一言です↑ 「雨が降ったらマラ川には行かないよ」 え?―――Σ( °ω° ) ///// 何それ。マラ川でヌーの川渡りを見るために、こんな北の果てを目指して来たのに。 ドライバ―さんの話では、ロボのキャンプサイトからマラ川まで車で2時間半。こんな北の果てまで来る観光客はほとんどいないから、雨で車がスタックしても助けてく

第8話  ヌーの川渡りの王道 マサイマラ再び 2022年9月中旬

▶マサイマラのヌーの異変 セレンゲティNP北部でヌーの川渡りを見た後、ケニアに移動。今度はマサイマラNRで川渡りを狙います。 マサイマラNRなら何度も経験はあるし、3泊もするので川渡りは多分見られるでしょう。マラは王道ですよ♪ ただしセレンゲティNPに先に訪れていたので、到着は9月中旬となっていました。実は近年ヌーがマサイマラに滞在する期間が短くなっているので、すでにヌーの数は減っているかもしれません。

第9話  ヌーの出産シーズン 2022年2023年2月

▶大量のヌーはどこで生まれているの⁉ ヌーの大移動といえば川渡りがばかりが注目を浴びますが、実際に生でヌーの軍団を目の当たりにすると、その数だけでも圧倒されてしまいます。推定150万頭。いったいどこでこんなにたくさんのヌーが産まれているの? その答えはセレンゲティの南。 北部のマラ川で川渡りをしたヌーは10月頃になると南下を始め、南のナアビゲートを越え、ンゴロンゴロCAとの境界の“ンドゥトゥ”と呼ばれるエリアに帰ります。そして1月~2月に一斉に出産をするのです。 「四国ほ

第10話  ヌーの大移動って思っているほど単純じゃない!2022年、2023年2月

▶ヌーはンドゥトゥで一斉に出産 前回からの続きです。 ヌーの大軍団は北のマラ川からセレンゲティの南(ンドゥトゥ地区)まで大移動してきて、一斉に出産します。 その理由について、 「草が豊かな雨季に産む」 と説明されていますが、北のマサイマラにだって雨は降るのだから、北で赤ちゃんを産んだっていいのに。 なぜか、必ずこの時期に南まで戻ってきて、そしてここで一斉に産むのです。 ▶なぜンドゥトゥで出産するの?

第11話  干ばつ気味のマサイマラNR 2023年7月下旬

▶2023 年 東アフリカ干ばつ気味 近年のケニアは、干ばつに見舞われたかと思えばドカ雨が降るの繰り返しなのですが、2023年は昨年に引き続き干ばつ気味でした。

第12話  セレンゲティNP北部再び!2023年8月下旬

▶2022年の取材結果から 昨年に引き続き2023年夏もセレンゲティ北部のマラ川を目指すことにしました。 昨年の北部取材の収穫の、 ・黒綿土が多く、道が悪い ・北部の道路は整備が進んでいない ・電波が通っていない ・マラ川沿いを除いては、観光客が非常に少ない ・つまり黒綿土でスタックしても助けてくれる車は来ない、呼べない。 などを踏まえたうえで、慎重にサファリ会社選びを始めました。

第13話 またまた大移動に大異変⁉ 2024 年9月タンザニア取材

▶2024年4月 ケニアで大雨。マサイマラの観光客ヘリで救出 海岸沿いに限らずナイロビなど内陸部も大雨が襲い、さらに内陸のマサイマラNR北部を流れるタレック川も氾濫し、川沿いのロッジが水没してしまいました。 第1話を覚えていらっしゃいますか?2020年に“30年に1度”と言われる大雨が降ったという話を。当時3月にマサイマラNR訪問を予定していて川沿いのロッジを予約したのですが、この時もタレック川が氾濫し、急遽ロッジを変更しました。