『ゼロ』へのスタート
元AKB48の渡辺麻友さんの芸能界引退が発表された。
私は特別AKBのファンというわけではないけれど、まゆゆはAKBメンバーの中で、一番最初に顔と名前を覚えた子だった。
某ドキュメンタリー番組で彼女の特集を偶然見たのだが、前髪の分け目一つをも念入りにチェックしている姿が印象的だった。髪も黒髪で、最近では珍しい『THE・清純派アイドル』という感じの子だなあと、素直に好感が持てた。
とはいえ、引退した彼女にとって、それらはもう過去のこと。芸能界自体を去るということは、様々な意味で注目も言及もされたくないということだろうと推測する。まゆゆには「お疲れ様でした」の言葉を、この場で送りたい。
私はアイドルでも何でもない、ただの一般人だけれど、このコロナ禍をきっかけに、人生の断捨離をしたいと思っている。
これまで何となく惰性で続けていたことや付き合いなどを、整理したい。というか、整理しなければ到底やっていけそうにないからだ。
これまで親しくしていた友人でさえ、ことコロナに関してはまったく価値観や意識が違ったりする。
本来人は皆、価値観も思考回路もそれぞれ異なるものだ。それでありながら、社会のルールや流れに沿って、そこから極力はみ出さないように生きている。個性と調和のバランスをいつも秤にかけながら。
けれど未知のウイルスに対しては、これまで我々人間が築き上げてきた社会やそのルールなんてものは、まるで通用しない。どう考えて行動することが『正解』なのか、今はまだ誰にもわからない。
だから人それぞれの正しさがあって良いのだけれど、自分の考える正しさから外れたものは間違いだとでもいうような世の中の空気に、正直もう辟易してしまった。
「人は生きるステージが変われば、人付き合いも変わるもの」と、講演家の鴨頭嘉人氏が言っていた。
ここで言うステージは、人の上に立つとか下になるとかいう意味ではない。ざっくりした言い方をすれば、ジャンル(分野)が変わる、ということだ。
今、世界中の人々が自分の生きるステージを見つめ直すときなのではないかと、私は思っている。
勿論、これまで通りの人間関係が心地良かったり、安心出来るなら、それを捨てる必要なんてない。ただ私の場合は、一度全てを『ゼロ』にするスタート地点に立ったのだと思う。
『ゼロ』の先に何があるのかも、今の私にはわからない。
けれど、日々変遷する世の中を生き抜く為には、私自身もまた変わらなければならないのだろうと思う。