フランス・季節の仕事~葡萄摘み⑤妖精の村へ~
葡萄摘みの仕事が始まってから、初めての日曜日。
どうしても訪れたかった村へ、オーナーが車で連れて行ってくれた。
5年ぶりに来たその村は、Niedermorschwihr(二―デルモルシュヴィル)。
コンフィチュールの妖精と言われている、フェルベールさんのお店がある村だ。当時、そこで働いていた日本の職場の先輩を尋ねたのだ。
初めて訪れたのは2002年。
その後、サロン・デュ・ショコラでフェルベールさんが東京にいらした際、購入した本にサインをしてもらい、つたないフランス語で少し会話をするのが私のお楽しみだった。
5年ぶりに訪れた店は、昔と変わらない。
エピスリーという感じで、色々なものが売られていて、村の人々と深く関わっているのだと思う。なくてはならない存在の店。
きっと、昔から変わらないし、これからも変わらないのだろう。それがこちらの店の素晴らしいところだと思った。
厨房に案内され、フェルベールさんと握手を交わし、緊張しながら会話をしたのだが、緊張していたので、細かい内容は覚えていない。
確か、日本でヴァンドゥーズをしていたということと、ワーホリでフランスに来て、今はヴァンダンジュ(葡萄摘み)をしていると言うと、アルザスに残るのかと聞かれたので、リヨンに戻ると伝えた。優しく静かに、私の話を聞いて下さっていたその表情は、今でもしっかりと覚えている。
※写真は許可を得て撮影。
今になって気付いてしまったのだが、こんなに美味しそうなのに、2.25ユーロだ。パリなら4~5倍の価格だろう。リヨンはその間の価格設定が多いと思う。
異国の地で頑張っている仲間に会えるのは、嬉しいし、励みになる。
私たちは笑顔で別れた。
民族衣装を着て踊る人達。垂れ幕に気付いたのはそれから14年もの時が流れた、今だ。
フジテレビジョンと再会?なになにフジテレビのこと?と今になって気になったが、確かあの時は、お祭りだと葡萄農家さんが言っていた。私は村の雰囲気に舞い上がっていたので、そんなに細かなところまで見ていなかった。
帰りに寄ったチーズ工場。工場という程大きなものではないから、何というべきか。
車を停めて。どうもこの辺りは、戦場跡地らしい。
グレーがかった、一面の緑はどことなく寂しい。
ドイツとフランスの戦いが繰り返された過去を思い、複雑な気持ちになる。
それでも、私はアルザスの人々から大きなパワーを沢山もらったのだった。
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