スプラトゥーンは「成長のタネはどこにあるのか?」を教えてくれた
昔読んだ本で『ゲーム』の定義に触れていたものがあり、妙に納得したことを覚えています。たぶん『遊びと人間』だったのかな。
一番最初に「楽しみのために行われ」が、当時の私には「そうそう〜」なんて甘っちょろく響いたものです。
そんな私のヌルい考えも『スプラトゥーン3』で粉砕されることになりました。とにかくツラい。精神的にくる。余裕で一年間note書けなくなるぐらいにはツラい。本当にツラい。
このストレス、スプラ界隈では皆が感じているものらしく、様々なものが上達には犠牲になることが言われています。下のTwitter(X)の表、わかりみが深すぎるのです。
真剣勝負に負け続けることって、こんなにツラいことだったのですね。
でも、一年間真剣勝負に負け続けたからこそ、「経験として」分かったことがあります。それが「成長のタネのありか」でした。
スライムを300年倒し続けても最強にはなれない
ここで大変残念なお知らせです。スライムを300年倒し続けても最強にはなれません。300年倒し続けたことはないですが。
簡単に出来ることを繰り返していたとしても成長出来ないのです。スプラのvsコンピュータな一人プレイ用のヒーローモードをクリアしたりもしましたが、対人戦の勝率には影響しませんでした。
これには後述する「ある条件」が絶対的に足りていないからなのです。
一方で、朗報です。勝てるようになる確実な方法もひとつ見つかりました。それは「自分より上手い人にボコボコにされる」ことです。
思い返すのも悔しい話ではありますが、シーズン1ではSランクからS+ランクへの昇格戦に6回負けました。シーズン2では手持ちポイントが底を突き破りマイナスになるぐらい負けました(前回note)。
そして今も、定期的に絶賛ボコボコにされています(現ウルショ環境キツ過ぎません…?)
ああ悔しい。眠れないぐらいに悔しい。
でも「上手い人に負けた試合」は「なんとなく勝った試合」の1万倍の学びを与えてくれます。
このマップはこう動けば強いのか。この状況では無理せず引くのか。他の人と合わせて一致団結して攻める・守るとこんなにも強いのか。
「学び」が、負けという痛みと共に、傷口を通して体に擦り込まれてくる。そんな感覚です。表現通り、ガチめに痛いけど。
でも実際、ボコボコにされ、ランクが敢えなく落ち、昔のランクで戦うことを余儀なくされると、体感として「楽になった」ことを感じるのです。
今年の夏も本当に暑かったですね。昔の夏は30度を超えたらもう暑がっていたのに。つまり、それと同じ感覚。
大失敗プロジェクトの話
ちょっと恥ずかしい仕事の昔話に飛びますが、私はプライドが高いヤツなのだそうです。自分では分からないですけど、何人かに言われたのでそうなのでしょう。
コンサルファームで新しいプロジェクトを担当した私に、当時チームを組んだ上司は「お前の自由にしろ」とだけ言いました。
正直意外でした。その上司は厳しいことで有名で、クライアントからの信頼は抜群でしたが、何人もの部下が意見が合わずに会社から去って行くところを見ていたからです。
ただ、やがて私の力不足でプロジェクトは暗礁に乗り上げ、私も焦り始めます。上司に「もう少しアドバイスが欲しい」と言うと「甘えるな」と一蹴されました。
日々真剣に悩みました。毎日明け方まで考えました。ですが、焦れば焦るほど全く噛み合わない日々が続きました。やはり、結果は出ませんでした。
そんな状態で約半年、各所であのプロジェクトも大丈夫かと囁かれ、私もどうすれば良いのか途方に暮れました。精神的にはズタボロです。
いよいよ追い詰められた私は上司に「このままではクライアントにも会社にも申し訳無い。投げ出すようで本当に申し訳無いが、会社を辞めさせて欲しい」と言いました。
その時に初めて上司は「辞めなくていいから、残りの数ヶ月、一言一句違わず全部俺の言う通りにやってみろ」と言い、細かい論点から大きな論点までひとつずつ整理を進めました。
結果、プロジェクトは建て直され、成功裏に終わりました。
その上司は程なくして会社を去り、私だけが残されました。ただ、その後は一人でも一応なんとかはなるようになりました。最後の数ヶ月の経験が活きたのでしょう。
私的にはあまりに手痛い大失敗のお話です。
でも、今でも思うのですが、最初から上司が「あれをしろ、これをしろ」と細かく指示をしていたら、当時の私は聞いていたでしょうか?
Swim or Sink
つまり、成長のタネは「溺れる間際の瀬戸際にしかない」ということです。そこは、自分の限界を試されるような、痛烈な負けを経験する場所です。
そして、その場所での「藁をも掴む気持ち」が必要なのです。溺れそうな状況を脱するために、自分を変えてでも生きようとする気持ちです。
「Swim or Sink」とはマイクロソフトのビル・ゲイツの言葉で、直訳すると「泳げないなら溺れろ」というギョッとするような意味です。
厳しいのですが、やはりそんな環境こそが成長の場なのが現実です。
その意味で、スプラトゥーンのような「現実と隔てられたゲーム」で自分のギリギリな限界点を体感することは、成長への感覚を研ぎ澄ますための、とても安全で有効な方法なのではないかと感じています。
Xパワーが下がる、ランクが下がるのはあまりに痛い経験です。ですが、その痛い経験を通じてしか勝負には強くなれないのです。
結局、成長は自分の限界の先っぽにしか転がってないのですから。
まぁ、ビビってホコはこれ以降触ってないけどね!
わりぃ。やっぱつれぇわ。
ではでは。