スプラトゥーン3の初心者が1年間ガチったら仕事で昇進した話
誰もが「戦場」を持っているものです。自分の持てる力、時間、そして矜持の全てを賭けた戦いの場を。
それは部活であったり、受験であったり、恋愛であったりしたはずです。
でも、歳を取るにつれてその熱さは失われ、自然と波風の立たない生活を好むようになっていきます。それが「大人になる」ということなのでしょう。
私も同じでした。『スプラトゥーン3』を買ってしまうまでは。
子ども遊ぼうと気軽な気持ちで手に取ったそのゲームは、私のそれまでの「平穏」を粉々に打ち砕いてきました。時間管理、崩壊。プライド、粉砕。
対戦ゲームなどロクに経験のない「ド」のつく初心者で、一番好きなジャンルはRPGな私。レベル上げれば勝てるからね。
そんな私もインクにまみれて早1年。毎日ゴリゴリと諸先輩方にもみくちゃにされ、バッキバキに折れた心を建て直し、コツコツと経験値をかき集め、なんとか1年間戦ってきました。
その結果、なんか仕事で昇進してたという話。
アメフラシな悩める日々
スプラトゥーン3は3ヵ月で1シーズンと区切られています。1シーズンの中で対戦に対戦を重ね、結果としてランクだったりパワー(勝利ポイント)だったりを上げることが目標なわけです。
もちろん、ゲームなのだから一番の目的は「とにかく楽しむこと」なのだけど、やっぱり勝てないと楽しくないわけでさ。
で、実は初めてのシーズン1の滑り出しは悪く無かったのです。そして、この「悪く無い滑り出し」が全ての沼の始まりであることに、その時の私は気付いていませんでした。
なまじ勝率5割で勝ったり負けたりするものだから、睡眠を削りに削ってなんとかプレイ時間を捻り出し、2歩進んでは1歩下がるを繰り返して這い上がったのはS+と呼ばれるシーズン1の最上位ランク。
その中でもS+10というS+ランクの中で勝って辿り着く「区切り」を目標に進めていた…のですが、諸先輩方の厚い壁に阻まれ、敢えなく最初の3ヵ月が過ぎタイムアップ。
試合の後、目はこれでもかと見開かれ、唇は固く噛みしめられ、握られた手のひらには爪の後がくっきりと残っていたものでした。
ここから怒濤の負けタイム。シーズン2では徹底的に負け続け、自尊心はどん底に。完膚なきまでの完敗を喫しました。
試合の度に天を仰ぎ、己が無力さを嘆き、暫くは画面を見ることすら叶わなかったものです。
リアルに毎日落ち込み、どうすれば勝てるのかを真剣に悩む日々。それこそふとした時に、気付くと、無意識に悩んでいたレベルでした。辛かったわ。
ただ、冷静になって振り返るとどう考えても沼りすぎではありました…。
認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを。
ホップソナーな基本の発見
経験上、こんな風にとことん物事が上手く進んでいないときは「基本に戻る」ことが必要です。マイナスをゼロに戻すプロセス。
そして「物事が悪くなるのに掛かった時間と同じだけ、良くなるには時間が掛かる」ことも経験談。急なダイエットって必ずリバウンドするからね。太ったのに掛かったのと同じだけの時間が痩せるためにも必要なのさ。
で、スプラの基本だと思って見直したのが以下の3点。
1. ちゃんと塗り拡げる
当たり前だけれどもスプラトゥーンは塗るゲーム。ところが、ゲームを続けるにつれて、その基本を忘れていくのです。
試合中に相手をキルしたい、得点を稼ぎたいとの思惑が強くなるからです。実際、塗ってるだけだと大分弱いですしね。
でも「塗っている範囲でしか動けない」基本を忘れるからいつの間にか「相手のインクまみれになって全く動けない」状況が出来てしまいます。
この「塗り拡げる=盤面を整える」考えが生まれてから、勝率が少し戻りました。動きやすい状況をつくるって大切でした。
内部の守りを固めずに、外部を攻めるのは愚策である。
2. ちゃんとセンプクする
ただもう一度言いますが、塗っているだけだと大分弱いのです。それは「相手を狙っていない」から。
やっぱり相手を倒すことは大きなアドバンテージ。結局「相手が自由に動ける状況を奪うこと」が「盤面をつくること」なのです。
そのためには「つくった盤面を使って虎視眈々と相手を狙う」時間が必要だったのです。それがセンプク。
いったん落ち着いて、チャンスを見極める。チャンスの時に一気呵成に攻める。この考えが出てから、勝率が落ち着きました。
Give me a chance 最後に賭けてみたいんだ。
3. ちゃんと有効キルをとる
一方で、ただ単に相手を倒せば良いというわけでもなくて「得点に繋がる相手を倒す」ことが必要なのです。これが有効キル。
ゴールへの道を塞いでいる敵、強いポジションに立っている敵、ゴール前で守っている敵。そんな敵を倒せば得点に繋がります。
一方で、どうでも良い場所にいる敵や、攻められている時に敵をいくら倒しても得点に繋がりません。単に倒せば良いというワケじゃない。
試合後の結果だけを見ると倒した数しか表示されないのですが、うち何回が有効キルなのかを考えるようになってから勝率は上がりました。
この世界にがんばったで賞なんて無いんだからな。
デコイチラシな反撃の狼煙
こんなことばかり毎日考えての3シーズン目。近所の曲がり角に敵が潜んでいないかと注意を払うようになり、何かが近づく音に殺気を感じて危機感を覚えるようになって7ヵ月目。
こんなに日常にまで侵食されたのは、パズドラのやり過ぎで、天気予報の晴れとか曇りマークとかを一所懸命に横一列に並べ変えようとしてた時以来でした。あれもやばかったね。
そして!ついに!ついに当初の目標のS+10を達成したのです!
それはそれは吼えましたね。うおーって。天高く拳を突き上げ、歓喜に包まれました。我が生涯に一片の悔い無し。
でね。頭が完全にスプラトゥーンモードになっているせいで、この頃から仕事にもハッキリとした感性の変化を感じたのですよ。
それまでは結構がむしゃらに仕事に向かってしまうクセがあったのですが、スプラの基本3原則が以前より強く気になるようになっていったのです。
仕事では、つい「職責の範囲」で「がむしゃら」に「頑張り」がちなもの。
でも、
むしろ、
この意識が無意識レベルで高まっていったのを感じました。実際のところ、スプラやってただけだけど。
結果、職場での評判が上がって色々な案件が回ってくるようになって、なんか評価されるようになってしまったのです。実際のところ、スプラやってただけだけど。
そしてS+10達成から程なくして、昇進と相成ったということです。なお、残念ながらゲームとは1㍉の関係もない仕事をやってます…(自己紹介note)。
みんなも仕事で評価されたかったらスプラやろう!
スプラトゥーンやろうぜ!
こんな感じで一年間を完全に捧げたスプラトゥーン3。毎日合間あいまに時間を見つけてコツコツと。気付くと、総プレイ時間は750時間になっていました。
なるほど、一日に平均で2時間もスプラやっていたのね。
ちなみに今はXマッチというガチ本気の対戦モードで、上手な方々にケチョンケチョンにされています。みんなホントに上手すぎ。
でも、3ヵ月毎に新しいシーズンが始まりますので、これを機に皆さんもスプラトゥーンやってみたらイカがでしょうか?仕事も上手くなっちゃうよ。
「大人」になるにはまだ早い。
なお、当初の目的「子どもと一緒に楽しく遊ぶ」思惑は最初の3ヵ月で吹き飛びました。子どもには流石に「厳し過ぎる」わ、このゲーム。
まぁ、ゲームは遊びじゃないからな!
ではでは。