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文字にすれば少しは、という期待を込めて。



わたしの勤める会社は
いわゆる、そこそこ、安定していて

それなりに人数がいて
全国に拠点があって
昇給と賞与があって
有休が取りやすくて

いわゆる、そこそこ、ホワイトで
(ときどき、ホワイトを強要するブラック、とも呼べるけれども)

長く勤める予定ではなかったものの
なんだかんだ、縁あって働いている

両親が口を揃えて
「絶対辞めない方がいい」と言ってくる
ちょっとでも愚痴をこぼそうもんなら
「絶対辞めない方がいい」と言ってくる
でもへんな奴が…と言う間もなく
「絶対辞めない方がいい」と。

諭してくる。
くらいには、ネームバリューがあるらしい。

そんな会社に勤めることができて
ほんとうにしあわせだと思うし、
有難いと思う。


けれども数年前、その事件は起こった。

いやまあ事件はちょこちょこ何回か起こってるのだがそれらは割愛してまたこんど。

あまりにも、自分の中に、真っ黒に残っていて
数年経った今も頻繁にそこに引き戻されるほど
ちっとも消化できていない、事件。

苦しくてつらい、
悔しくて痛い、
事件が起こった。

前置きでハードル上げすぎた。
他人から見たら、もしかしたら、
そこまでじゃないかもしれない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある3月、ちょうど今くらいの時期。

社内では春からの人事異動が決まり、
引継ぎやら引越しやらで
なにやら慌ただしい雰囲気で。

わたしは引越しこそないものの、
新しく設置される部署の初期メンバーとして
異動が決まっていた。

ちょうど飽き性も発症していたし
180度業務内容が変わる不安はあったが
立ち上げメンバーという立ち位置は
楽しそうでもあった。


そしてそのメンバーには、
別の部署にいた後輩も来ると決まっていた。

後輩と言っても年齢が若いだけで、
わたしよりも断然活躍していたので
とても嬉しかったし、安心感があった。

プライベートでも飲みに行く仲で、
初めて同じ部署になれる楽しみがあった。


いま思えば、そもそも楽しみにしていたのは
わたしだけだったのかもしれないけれど。


それは、不穏な空気を感じた、最初の日。
新部署の前身となる仕事を担っていた数名と、
わたしと後輩で、打ち合わせが行われた。

今までの管理体制や、
顧客とのやり取り、担当分け。

新部署にはわたしと後輩のみで、
管理職がつかないことになっていたので
自分が責任感を持たなきゃ、
という思いもあった。

春からなるべく困らないように、
困ったときは本社にも頼れるような
パイプ役にならないと、と思っていた。


でもその打ち合わせは、
打ち合わせではなかった。

後輩と、後輩が懇意にしている人と、
その舎弟とで、
わたしの知らないところで、
すでに口裏が合わせられた内容を
伝えられただけだった。

普段から自分でも嫌になるくらい
空気を読んでしまうので、
そんなことはすぐにわかった。


でも、まあ、担当分けなんて
どれでもいいし。
きっと不安に思った後輩が、
相談したんだろうし。
「なんかやな感じ」な空気だったけど、
まあ、目をつぶろう。と思った。


実はその数日前、
友人の結婚式があり、
たまたま本社の近くに行っていた。

そのことを知った先輩が気を使って、
新部署の責任者になる人を連れ出してくれて
挨拶をする機会があった。

会社の中ではえらーーーーーーい人なので
「実在してたのかあ」くらいな気持ちで
挨拶をして、帰ってきた。


「やな感じ」な打ち合わせの最後、
不安に感じているであろう後輩に、
少しでも寄り添えたらと思い、伝えた。

「たまたまプライベートでお会いする機会があったので、挨拶をして、どんな部署を目指しているのかも聞けたから、一緒にがんばりましょう」

と。(忘れたけどそんなよーなこと)


それが、そのひとことが、事件の始まりだった。

解散して早々に内線が鳴り、
打ち合わせを仕切っていた「やな感じ」代表から
こう聞かれた。

「本社って、仕事で行ったの?」

わたしは答えた。

「いえ、プライベートで、近くまで行ったので」


後になって聞いた話をまとめると、

要はわたしが

「新しい部署の上司に、わざわざプライベートでひとりで勝手に会いに行って媚びを売り、後輩を差し置いて抜け駆けしようとした」

と、いう解釈になっていたらしい。


そこからはもう、
尾ひれはひれ背びれ胸びれついて言いふらされ、
そもそもあいつは使えないんだとか、
行くとこがないから異動なんだとか、
出しゃばって生意気だとか、
なんちゃらかんちゃら。
(生意気は否定できない)


裏でそこまでなっていると知らないままに、
不穏な空気をちょっと感じながら
わたしは3日間の新メンバー養成研修に参加。

2日目の終了後に後輩に話しかけたら
無視されて。

ん?あーなるほどねえ…と察したあと、
3日目を後輩が欠席し、
あー…なるほどねえ…と思い。

後輩の現上司に話しかけても無視され。

そのまた上司に
「休んでたけど大丈夫ですかね」と聞いたら
「え、気になるの?(お前のせいだろ)」
と言われ。

そして、後輩からの精神的な悲鳴とやらで
異動は取り消し。
わたしはひとりで、新部署初期メンバーとして
勤めることになった、という結末。


あの、なんとも言えない、四面楚歌な空気。

何がいけなかったのか
自分を責めて責めて責めて

弁明しようにも、だれにも、
声が届かない苦しさ。

わたしから直接、なにも聞いていないのに
冷酷な態度を取る、複数の役職者。

ほんとうにつらかった。

自分のやったことが、
何気ない行動と言葉が、
後輩を傷つけてしまったことが。

目も合わせてもらえなくなったことが。


そうこうして新年度がスタート。
わたしは右も左もわからない部署で
毎日遅くまで残業して必死についていき、
半泣きになりながら知識をつけて、
やっとの思いで数少ない理解者が
できてきた頃。

ほんとうにつらいのは、ここからだった。


ひとりぼっちのわたしを、
部下でもないのに親切で、
面倒を見てくれていた人から、
衝撃の事実を聞かされる。

後輩と、やな感じ代表が、
その人のところに会いに来たらしい。


新部署で面倒を見てもらうことになりそうだから、俺の彼女だけは、うまいことよろしく、と。

そう。
後輩とやな感じ代表は、付き合っていて。
(そんな気はしてたから別にいいけど)

わたしのことを、それはもう、
あることないこと、話していたらしい。
「あいつ1人で根回しに行って有り得ない」
「俺の彼女がかわいそうだ」
「担当分け俺が決めといたから、よろしく」
まとめると、そんな会だったらしい。



いや根回ししてんのお前だろ。

そこで少しだけ、
やり方違うんじゃないの?って
厳しく伝えた結果、
異動を取り消す方向に動くことになった。と。


彼女たちは晴れて結婚し、
自由なスタイルで勤めながら、
ときどき邪魔になった人を
ハラスメントで数名辞めさせたのち。

異動したくなったらしく、
得意の根回しフル活用で、
わがまま放題。イマココ。


関わりたくない。

傷つけてごめんねと思っていたことも、
もうこちらも十分傷ついたので、
忘れたい。けど。

忘れられないまま数年間
我慢と不快感を抱えたままで疲れたので
ここに記して、少しずつでも消化したい。

文字にすれば少しは、という期待を込めて。

わたしはまだ、ここで務めている。




基本的にはいい会社だよっ♡♡





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