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夜眠る前に読みたい串田孫一

 11月に入ってから串田孫一の関連書籍をずっと読んでいる。きっかけは本代サポートしますの企画に参加したblancheさんの選書【山の文芸誌『アルプ』と串田孫一】の感想文が圧巻だったので、私も読んでみたいと思ったから。この選書が串田孫一に関わる山岳文学の系譜だったということもあり、『アルプ』に寄稿した明治・大正時代の詩人や版画家、哲学者、登山家などの作品引用や時代背景などが解説され、関わった人たちをもっと知りたい、もっと読みたいという気持ちさせるのです。もう沼に片足を突っ込んだ状態になっているのでしばらくは串田ワールドに住んでいると思う。

↓ この本のすばらしさはblancheさんの読書感想文をご覧ください。

 串田孫一の世界を私はきっと好きだろうと確信していました。

この荘厳この神秘は山でなければ求め得られないと思うと、胸のすいた笑いが自然とうかぶのを禁じ得なかった

山の文芸誌『アルプ』と串田孫一 P20

 そうなのよ。荘厳とか神秘とかに出会うと幸せすぎて笑っちゃうよね。
もう冒頭の一説だけで串田さんとお友達になれそうな気がした。

山頂   
まあここへ腰を下ろしませう
疲れましたか
ここが針の木岳の頂上です
水ですか 僕はあとで貰ひます
この光真夏の天の清冽
ぼくたちはもうその中にゐるのです
しいいいんとしているこの筒抜けの深さ
何だか懐かしいやうな気がしませんか

~中略~

今こうして連なる峰々を見てゐると
夢の中の憩いのやうでもあるけれど
こんな山肌の色を見たことや
淋しい谷を霧に濡れて歩いたことが
あなたをやはらかく救ふ時があるでせう
取りつきようのない寂しさの中を
蟻になった気持で歩いたことが
あなたを元気づけるようなことがあるでせう
天に飛び立っていくような歓喜と
永遠なものに包まれてしまった哀愁と
それが儚い人間には必要なのです
冷たい水もう一杯のみますか

山の詩集 串田孫一 P10 

 串田孫一(1915年‐2005年)は詩人、哲学者、随筆家。孫一の父は三菱銀行の会長や明治生命保険の会長などを歴任した銀行家であり、華麗なる一族のご子息だ。彼がはじめて登った山が、義父が生まれ育った土地だったのも私はシンパシーを感じてしまった。

今回 図書館で借りた本はこちら
★山の文芸誌『アルプ』と串田孫一 ⇒ 読了 
★山の詩集 ⇒ 読了
★虫と花の寓話 ⇒ 読書中
★日記 ⇒ 未読

 今後串田ワールドの本を購入したいと思っているが、関連書籍も含めると数が多いのと、入手困難なこともあり、ひとまず人気のある書籍を図書館で借りて試し読みしてからにしたい。串田哲学には答えがないと書かれていたけれど、彼が30代の頃どんな思想を持っていたのかとても興味があるので、いずれ国立国会図書館に行って『永遠の沈黙 パスカル小論』を読んでみたいと思う。

 文芸誌『アルプ』に関しては、特別号も含め、300号まで全部揃った状態で国立国会図書館にあるようです。北海道に行かずとも『アルプ』を読めるかもしれません。特別号はデジタル版になっていました。

本日11月12日は串田孫一さんの誕生日だったので、まだ読みかけだったけど記事にしてみました。

いつも読んで下さりありがとうございます。(*'ω'*)

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