ストレスから身を守れなかった話
前の記事のつづきというか同時進行で起こっていたことを書いてみる。
突然耳鳴りがはじまった。
なにか履歴をたどれば何月何日何時何分と判明しそうなくらい鮮明に、それがはじまった瞬間を覚えている。
台所で朝ごはんの用意をしているときだった。
とつぜん換気扇が「強」になったと思った。
耳元でごぉーと鳴ったまま。
あとで知ったけど、その病気はそんな風に始まりの瞬間がわかることがあるらしい。
おかしいな、と思いつつ、耳鳴りは昔から鳴る方だったので、そのままにしていた。
ただの耳鳴りにしては低音がすごく不快で、なかでも夫の声が異様なほど耳障りで厄介だなぁとは思っていた。
夫に「高い声でしゃべって」と大真面目に頼んでいた。
そんな中でも、鳴らしっぱなしで友達とランチに行き、当然のことながら話が聞き取りにくくて、
「3週間くらいずっと耳鳴りしてるんだよね~」と話すと、
「病院行きなよ~」と言われ、重い腰をようやく。
ちなみに前記事で電話くれたのがこの友達。子どもがうまく行ってない話、ずっと聞いてもらっていた。
翌日、耳鼻科へ赴く。
「耳鳴りがするだけなんですけど~」なんかこんなことで病院来ていいのかな、って申し訳ないような気持ち。
「いつから?」「3週間くらい前ですかね~」
「えぇ?3週間??」結構な剣幕で言われた。
なんだなんだ。
無知は怖い。近年、何人かの有名人が同じ病気にかかっておられるけれど、まだその頃はメディアで取り上げられることもなくて、存在自体を知らなかった。
聴力検査をすると、どちらかの耳の聴力がかなり落ちていた。
寝耳に水とか言ってる場合じゃないけど、それくらい驚いた。
え?聞こえてないの?
聞こえすぎて不快だと思ってたので、聴力ダウンなどと言われましても、ちょっとピンとこない。
誰にも聞こえない「無い」音が聞こえているのを聞こえすぎと思うのがそもそもおかしいな。
グラフを見せられてまぁ納得するが、不思議な感覚だった。
「発症して3日以内(1週間だったかも)だと回復する可能性が高いんだが、3週間も経っているからねぇ・・・」と言われた。
えぇ~過ぎ過ぎている〜
換気扇「強」がずっと鳴っているのも、夫の声が不快指数100なのも困るな、と思ったけれど、
まだそのときは聞こえていない感覚もなくて、身体的な辛さもなくて、生活にも支障がなかったから、さほど深刻に受け止めていなかった。
とりあえず点滴と投薬治療を開始。
点滴のときに看護師さんに「しんどかったんじゃないですか~?」と声をかけられ、初めて我が身を振り返る。
え、どうだろ。
昨日はランチに行ったくらいだけど、そう言われてみれば最近ずっとしんどかったかも。
「なにかストレスおありなんじゃないですか?」
あ、どうだろ。
子どものことではずっと悩んでいたけれど、そんなの今に始まったことじゃないし、慣れっこだし、でもそう言われてみれば、ずっと眠れなかったな。
そこでやっと、
あ~わたし弱っていたんだわ~きつかったんだわ~ってことが自覚出来て、
決壊して、点滴のベッドで泣いてしまった。
「ストレスが原因って方がほとんどなんですよね~」
その後聴力は回復した。耳鳴りもほぼなくなった。
先生もびっくりしていたから幸運だったのだと思う。
治った~と元の生活をしていたら、今度はめまいがはじまった。
皿を食器棚に片づけているときだった。
皿を拭いて後ろの棚にしまう、という動きを繰り返していたら、
あららら~くるくる〜と目が回ってしまった。
傾向として、周回運動が合わなかったようで、
立体駐車場のぐるぐるとか、スーパーで売り場を一筆書きのようにめぐるのも、酔ってしまってだめだった。
そのうち寝ていても天井が回るようになった。
あれ?おかしいな、と思っているうちに、
お腹を壊したり、寒気がしたり、血圧が下がったり、意識が遠のいて倒れそうになったり、いろんなことが起こるようになった。頭痛薬の効かない頭痛も続いていた。
耳鼻科に行ったけれど、耳は治っています、お腹などは内科に行ってください、と言われた。内科で血液検査をして何もないと言われた。
二軒目の内科でまた血液検査からはじめて、異常がないので自律神経系だろうということになった。自律神経ならいろんな症状が起こるのも納得ができた。
あとで知ったけれど、耳の時に飲んでいた薬の減らし方が難しいらしく、減らし方が急だったのがいけなかったらしい。
そしてタイミングの悪いことに、うちの子どもが例の2人と決別して、その後相手の親2人とのやり取りが延々続き、新たなストレスの山てんこ盛りで。それをうまく回避することができなかったことが、結果的にトドメだったのかな、と思う。
先方の親とのやり取りの中で「うちのせいで病気になったのよね?」としつこく言われ返答に困った覚えがある。ストレスで病気にならない人もいるし、それだけが原因とも限らないし、なんとも答えようのない話で。
戻るまで半年ほど、いろんなことができなくなって、いろんな人の助けをお借りして大変だったので、「だったらどうなの?どうにかしてくれるの?」って言えたら言いたかったけど。
たとえ10対0のこちらに落ち度のない交通事故だったとしても、補償があったとしても、何かが損なわれて大変なのは変わりなく、それでも日々の生活をなんとかしなければならないのも変わりなく。
もしもタイムリープできたなら、まず早めに病院へ行く!そして相手の親……難しいけどのらりくらりとかわして、自分を守ってあげたかったなぁと思う。
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