コロナ禍における精神科病院の現状

初回に自己紹介してから、全く手がつけられていませんでした。書きたいことは沢山あるんですが「レセプト終わってから…」とか考えてたら、予想以上に新型コロナウイルスの影響で、医事課員ながらいつも以上に慌ただしい毎日に疲弊していました。

「精神科だからコロナ関係無いだろ」

そう思われる方もいるでしょうし、私も多少なりの覚悟はしていましたが、現実は予想以上でした。入口での検温・問診は3月初旬から始めていますし、面会お断りも中旬から行っています。私の地域での医療機関としては遅くない対応だと思っています。

ただ、やっぱり事務方に負担を押し付けられている感は多分にあって、はてなで見かけた

病院の事務だけど肉の壁させられてる
https://anond.hatelabo.jp/20200417210511

みたいな所(全部じゃないけど)は、共感できる部分も一定範囲あります。診療報酬に定義されていないから、必要人数がマイナスでも「協力すれば乗り切れる」といった根性論がまかり通っているのも現状です。まぁ、それはひとまず置いておいて…

今回はタイトルに「コロナ禍」と書いているので、コロナウイルスにまつわる話を綴っていこうと思います。

①やっぱり電話再診が面倒過ぎる

このご時世だから「やらない」「制限する」って言うのはさすがにナシです。協力出来る事は出来る限りしたいと思っています。ただ「何でもアリじゃないよ?」って話です。

当院はオンライン診療はやっていません。
(やればいいと思うし、ちょっと努力すれば可能なはずですが、動きの鈍い方々が…これはまた別の話)
なので、非接触での診察は必然的に電話での診療となる訳です。

個人的な意見ですが、精神科にかかる患者さんはDr.に頼っている部分が大きくあって(過言かもしれないが「依存している」とも言える)、ある程度話をしないと落ち着かない(気が済まない?)傾向がある様に思います。

一方で、Dr.と患者が話をする事で治療を進めていく「精神療法」というものがあって、診療報酬でも「通院(入院)精神療法」として算定できるものがあります。知らない人から見たら「話するだけで金取られるの?」と思われがちですが、本当に有効な治療法(詳細はここでは省きます)の1つで、診察に入る機会の少ない事務の私でも、何度もその凄さを見た事があります。

じゃあ何が面倒かというと、処方箋の取り扱いの煩わしさです。

当院近くの薬局(1ヶ所)なら、持っていくだけで済むのですが、離れている所になると、一気に何倍もの手間がかかるのです。

患者さんが行く薬局を確認
(名前・住所・電話番号・fax番号を知りたいが、大体名前しか知らないので調べないといけない)

電話再診後、処方箋を送る旨を薬局に連絡

処方箋をコピーして個人情報を消したものをfax
(faxは医事課の部屋に無く、総務課にあるが結構離れている)

fax到着確認の電話

封筒作って処方箋原本を送付

1件あたり約10分くらいかかるので、これが2,3件ならまだマシですが、10数件ともなると時間も手間も取られてしまうのです。もちろん、通常業務の仕事量は変わらないので、面倒さだけが残るのです。

②やっぱりマスク等の物資が足りていない

これはニュースにもなっているくらいだし、ガッツリ対応している医療機関と比較したら申し訳ない気持ちになってしまうんですが、それでも当院も不足していて、本当に困っています。

例えば当院の場合のマスク使用ルールは
・病院のマスクが使えるのは、Dr.・外来看護師・他患者と濃厚接触する職員(検査課や放射線課など)のみで、後は持参
・病院のマスクは週2枚まで使用可(もちろん再利用推奨)
という感じで、それでもどこまで持つのか…というレベルなんです。

だから、転売ヤーやアベノマスクのような話を見聞きする度に、本気で腹が立って仕方がありません。

加えて、当院は精神科なのでコロナは専門外だからか、職員も患者も家族も患者に着いてくる施設職員も、そのあたりの危機管理が低いように感じて仕方ありません。

中にはクラスター認定されている施設から、平気で隠して入院させようとしたケースもあります。こういう所も、本気で腹が立って仕方がありません。

③やっぱり精神科に対する風当たりは厳しい

いつかは精神科に対する差別や偏見について書こうと思っていました。「LOVE&Peace!」なんて叫んでいる奴に限って、平気で精神疾患を格下に見がちです。これは被害者ヅラをしている訳でも、被害妄想が激しい訳でもありません。

現に、精神科病院でコロナ感染者が出た場合は、「お前の所で何とかしろ」的な通達が医師会から来ています。他院の話ですが、実際に断られているケースも存在します。もちろん、PCR検査も容易に受けてくれません。自費の病院持ちです。(他の所は知らないので、ウチの県・市・地域だけなのかもしれません)

簡単に言うと、国が出しているコロナ感染者(疑い)の対応フローチャートに、精神科の患者は外されているんです。(言い過ぎか?まぁいいか)

精神保健福祉法であれほど日頃から密に関わっている保健所なのに、そんな時は別の顔を見せてくれます。担当部署が違うとそんなに変わるんでしょうか。

患者以外の来院者も、結構酷いものです。例えそれが、患者の家族であってもです。

言うのを忘れていましたが、当院はまだ感染者を出していません。

にも関わらず、「○○病院(当院)にコロナが出たってよ」的な噂が、平気で確定情報のように流れていました。当然ですが、全否定しています。

先日入院した患者の家族はもう1人の家族に、私の目の前で「コロナ貰って帰らないようにアルコール消毒して帰れよ」と言い、言われた家族も「あ、そうだったね危ない危ない」と言って、消毒して帰りました。

腹立たしい気持ちと共に、非常に悔しい気持ちが沸き起こりました。

誰も「感染者がいる」「感染の恐れがある」なんて一言も言っていません。強いて言えば、院内感染しないように対策しているだけです。

なのに、あの言い様。

そんな人達に限って、制限されているのに「面会させろ!」「外出させろ!」「主治医や対応スタッフを変えろ!」等の我儘を仰られます。

私達精神科病院の職員も人間です。

腹も立てば、傷付き悲しみもします。

でも、そう見て貰えない事も時折あるんです。

なんか、ダラダラと書いてしまいました。

あまりまとまってないですが、少しでも知って貰えたら有難く思います。

今は我慢ばかりで辛い時期ですが、この騒動が少しでも早く終息するよう、それぞれが可能な限りでいいので協力し合いましょう。

医療従事者の皆さんは、決して無理をしないでください。メディアでは報じてくれませんが、既に医療崩壊は始まっていて、どんな立場の人であれ、既にキャパオーバーなんです。だからこそ限界があって、超えてはいけないものなんです。

皆さん、懸命に生き残りましょう。

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精神科病院の事務員(元医事課員)
ありがとうございますm(_ _)m精神科の風評向上のために使わせていただきます。