珈琲屋のモンブランの魔法にかかれ〜丸福珈琲店〜
皆のモンブラン日記が羨ましい。
年中定番として用意してある店も多い、モンブラン。
定番とは少し装いを変えて、秋というこの季節には「私が主役よ!」とばかりに目立ち輝く。
スイーツ好きの「今日の甘いもの~♡」みたいな投稿には素敵なモンブランの画像が激増して、それはもう見ているだけで眼福満腹だ。
私もそこに加わろう。
いや、別に「よし!今の時期だからモンブランの投稿は一層映えるぞ!」というような打算から食べているわけではない。
それでも自然と、大概はチョコ系を優先して選ぶ私でも、当たり前のように悩みもせずにモンブランを選んでしまうことが多くなってくる。
この現象はなんだ?
モンブランの神、山神様の、期間限定のイタズラなのかもしれない。
いいよ良いよ、乗ってやろうじゃないか。
ところでモンブランってどこで買うだろう?
コンビニ、スーパーでも勿論手に入るし、それを頑張った日のご褒美にしている人も多い。それはそれで良い。私も大好きだ。
スタバもドトール等の大手チェーンカフェにも、あるいはファミレスにも、ある。とりあえず季節だし提供しておこう、どころの話ではない。開発者、それ好き過ぎだろ、という愛の溢れるモンブランスイーツが多くて、食べる側も楽しい。
そして「ケーキ好き」と名乗る人たちの多くは、パティスリーの気合を入れたモンブランに気持ちを多く注ぐ。
「モンブランって、どれも同じような形じゃない?」と不思議に思う人もいるかもしれない。
全ッ然違う!!!
その形を見ただけで、どこのケーキか分かることも多い。
パティスリーの提供するモンブランは、強つよだ。
トレカルムとか、もう一発で分かる。
最近は、モンブラン専門店も増えてきたよね。
ミュ~っとハイテク機械で細く細く絞れるやつ。賞味期限は30秒、とかね。
そういうモンブランも、紛れもなく美味しい。
蕎麦かよ。いいや、栗のスイーツだ。誰だこんなこと考え出したの。
目の前で絞ってくれるライブ感は、パフェ的じゃないか。
そんな素敵で個性的なモンブランたちの話を、きっといつかのnoteでまた語ろうと思うのだけれど、けれど……。
丸福珈琲店のモンブランが、とんでもなく、本っっ当に頭がまろんっと蕩けそうな程に美味しかったのだ。
珈琲屋さんのモンブランって、案外盲点ではなかろうか。
大きな平皿に乗って、なんだかお上品な感じの佇まい。
マロンクリームの一本一本が、くっきりハッキリとよく見える。
枝で作った帽子みたいね。可愛い。
上からたっぷりに降りかかっているのは、何を削ったやつだろう。
これがあるからこそ、天使のように柔らかく優しく消えゆくフワフワ感を実現しているように思う。
しっかりと芯のあるマロンの甘い味わいの境界がやんわりとぼかされている感じ。とても素敵だ。
中には純白に輝くフワリと広がるクリームが詰まっている。
想像されるのは、天使の羽。
あまりに、あまりだった。
なんだこのマロンクリームとシャンティークリーム。
そう、「ホイップクリーム」でなく、気取って「シャンティー」と呼びたくなっちゃうようなこの気品あふれる味わい。
とんでもないぞ。
一般的に想像されるモンブランよりも全体的に淡く白に近い色合い。
「色が薄い=味が薄い」とは決してならない。
口の中いっぱいに広がる軽やかな甘さは、今にも飛んで消えていきそうな儚さがありつつ、ちゃんと強く、そこに在る。
おっとコレを言い忘れてはいけない。
中にはゴロリと柔らかな栗。
そして、下の土台はサクリとほろ苦さを醸し出すほうじ茶のメレンゲ。
このほろ苦さが、クリームたちの甘さをより輝かせる。
一口スプーンを運ぶ度に、「ウマッ!!えっ、なんだこれ?う…うまい!美味しい!!!なんということでしょう!!!」と心の中で慌てふためく自分がいる。
ちょっとこれは、とんでもなかった。
珈琲屋さんがとりあえずラインナップに入れておくケーキなんてものではない。
声高にして言いたい。
丸福珈琲店の提供する搾りたてモンブランの美味しさは、王道でありながらも信じられない美味しさである!!!と。
いいや、食べたのだから自分の感動を信じよう。
確かにあれは、実際にあった美味しいモンブランである。
どうしよう、いくつか書きたいと思っていたモンブランスイーツの中でも特に特に感動の大きかったものを先に持ってきてしまった。
季節の終わりのオオトリに持ってくるべきだったか。
しかし、これがとんでもなく美味しかったからといって、他のモンブランへの気持ちが落ちるわけでは無い。
それはそれで美味しかったのだ。
個性の方向性が違うだけ。
秋。
いつものモンブランは、いつもとは少し違う存在になる。
そんな芸術的で可愛らしい栗の魔法にかかってみるのも良いかもしれない。