笑い旅
例えば電車の座席下に片っぽだけの靴が落ちていたり、すれ違った車の窓からゴールデンレトリバーが顔を出している「だけ」で、無性に笑いが止まらなくなるときがある。周りがそれに困惑する様子を見れば、自分だけ他の人と異なる色で覆われている気がして寂しくなった。だからか、私は一人を好む。旅もそうだった。
今から5年前、初めての「女二人旅」をした。私と一緒にいて友達は楽しんでくれるだろうか。そんな心配はよそに、会話は夜まで途切れない。
真夜中にそれぞれがシングルサイズのベッドにもぐりこんだ直後、私は突然、笑い出した。突拍子もなく。今回私を笑わせた原因は「部屋が広いこと」。私たちの足元に、布団5枚は敷けそうなくらい広い空間がある。私はそれがたまらなくおかしかった。
そうしたら、彼女も笑い出した。ずっとずっと、笑っている。
ああ、私、寂しくない。
初めて已己巳己の友達ができた、神奈川県は箱根。
私の一番温かい旅。