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#119 萩尾望都先生(お気に入りを500数える)

先日本屋さんをブラブラしていて見つけました。

「芸術新潮」という雑誌があることも知らなかったけれど、萩尾望都先生の特集ですものね。買いましたとも。

このあとはモー様と呼ばせていただきます。

好きになったきっかけは覚えていませんが、中学時代であることは間違いありません。
仲の良かった友人と薔薇のジャムを作ろうとしたけど薔薇の値段が高くて少しだけしか出来なかった記憶があるからです。
薔薇のジャムは『ポーの一族』に出てくる重要な小道具の一つです。

当時の本は持っていませんが、文庫版の『ポーの一族』は大人になって読み直しました。他の作品も同様です。

2020年に撮った写真。今は増えてます


魅力その1:切なく残酷なストーリー

吸血鬼をテーマにした『ポーの一族』、壮大な宇宙が舞台の『11人いる!』『スター・レッド』、どれもファンタジーやSFといったジャンルの面白さだけでなく、主人公の孤独や葛藤が繊細に描かれていて、読んでいるこちらも胸が苦しくなる思いでした。

ここまで深く考えさせられる漫画は初めてで、『トーマの心臓』では心理描写のすごさに息をのみました。

モー様のストーリーの凄さを知るには、100分de名著の別冊がお勧めです。

ご本人のインタビューも載っています


魅力その2:優雅で緻密な絵

人物も背景も小道具や装飾もとにかく繊細に描かれていてため息が出るほどです。
モー様の流れるようなしなやかな線が心のひだを映し出しているのでしょう。
余分な言葉を使わず表情や瞳だけで気持ちを表現できるからこそ、深いテーマをあらわせるのだと思います。
漫画を超えて、美しい芸術作品なのです。

2015年に原画展にいったときも絵画鑑賞している気持ちになりました。

2022年には文化勲章を受章されていますし、海外の国際的な賞も受賞するなど、芸術性の高さは今さら言うことでもないのですがね。

魅力その3:哲学的な世界観

モー様の作品は、ストーリーやセリフが産み出す神秘的な雰囲気の奥に、深い深いテーマがあります。社会における個人の存在意義、異なる世界への憧憬と畏怖、希望と救済、などなど。

そしてその深い深いテーマを湛えたまま、現実感と幻想が巧みに交錯し、読み手が今まで感じたことのない感情を揺さぶるのです。

壮大な問いを投げられている気がします。

東日本大震災の翌年には『なのはな』という本を出版されています。

この本を書かれたあと『ポーの一族』を再開されているのですよね。続編の『春の夢』と『ユニコーン』。
何か思うところがおありだったのでしょうか。

魅力その4:詩的で耽美

モー様の作品に触れると、ハラハラドキドキする場面だとしても、どこかウットリしてしまうのです。
感動や美しさに引き込まれて意識がぼんやりする、こんなしあわせはなかなかありません。

年齢的には十分大人になった私ですが、今でも“大人の感性”をのぞき見させてもらっているような、そんな錯覚に陥ります。

最近手に入れたのは歌舞伎本の挿絵。なんとも華やかでなまめかしい。

今後もご活躍を追いかけていこうと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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