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描き文字の勉強
「フキダシの中に入ってる擬音と、入ってない擬音。どんな基準で使い分けてる?ちゃんと決めた方がいいよ」
先日、コルクラボマンガ専科の先生に言われた。
「なんでここ、こうしたの?」という質問には、だいたい答えられる。
だけど、擬音は考えてなかった。
だから、考えてみることにした。
擬音
擬音、描き文字。正式な呼び名は、知らん。
とりあえず、漫画に描かれた文字のことを『擬音』ってことにしちゃお。
擬音には、映像化した時、実際に音が鳴る擬音と、鳴らない擬音がある。
ちょびは、実際に鳴らない擬音を描くのが嫌いだ。
『ドキ、ニヤ、キュン』とか。
映画に無い表現だからかな。違和感。恥ずかしい。
でも、漫画を描く上で、この表現はすごく大事だって知った。
漫画は言語だから。
英語の「R」の発音みたいだなって思った。
伝わらなきゃ意味がないから使うけど、まだ使い慣れてないから、恥ずかしい。
故にちょびは、極力、この鳴らない擬音を描かないで済む方法を考える。逃げる。
今はまだ、その段階。
恥ずかしくもなく、伝わる、自分なりの「R」がそのうち身に付くんだと思ってる。
フキダシの有り、無し
鳴らない擬音
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鳴る擬音
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鳴らない擬音、鳴る擬音、2種類を使い分けたりはしていない。
鳴る擬音がフキダシに入ることもあるし、入らないこともある。鳴らない擬音も、同じ。
じゃあフキダシに入る擬音の基準はなんだ?
一本ネームを描き終わった時、仮説が立った。
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フキダシが無い場合、スピーカーから音が出て、部屋全体に響く。
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フキダシ有りは、限定的。位置関係を立体的に伝えたい時、って感じがした。
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『ゴウンゴウン』って、電車の音。
電車の車体の近くに置いてるから、位置関係も伝えてると言えば伝えてるんだけど、これは一つ上の階層に『エスタブリッシュショット』っていう伝えたいことがある。
擬音は、背景の一部の音、っていう役割でしかない。
しかも、このシーンで主人公がいるのは、電車の下の道路を走ってる車の中。
『ゴウンゴウン』って音が、LとRに振り分けられて鳴った場合、電車に意味が出過ぎちゃう。
だから、フキダシは付けない。
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こっちは、冒頭。
伝えたい階層、『不気味』『夕暮れ』『エスタブリッシュ』。
主人公はいないシーン。
不気味さが欲しい。カラスはこのコマにおいて、主役。
だからカラスの声を、LとRに振り分けて、立体にする。
意味が出ていいし、不気味さも伝わる。
あと、フキダシは、デザインの役割もあったりするな、と思った。動きを出したり、視線誘導に使ったり。
でも、これ、文字の方向次第。フキダシが無くても、視線誘導できるし、動きも出せる気がする
そして、鳴らない音の擬音に関しては、まだまだ分からないことだらけ。
マンガ専科の先生から出された課題、今後も考え続けて行こうと思う。
新しい発見があったら、また、レポート書くね。
おまけ
ちょびの擬音のこだわり。
①擬音も絵
だから太い文字に、太いペンを使わない。
太いペンで描くと、原稿が荒く見える。
太い文字も、人物の線に合わせた、細めのペンで描く。
変わらないように見えて、ちょっとだけ変わる。
②基準を決める
演出は、基準を作ってからズラす。
昔読んだ本の話。
『黒い丸』を表現して、伝えてくださいって言われたらどうするか?
『●』
これでもいい。
でも、もっと伝わりやすいのは、これ。
『〇〇〇●〇〇〇』
比較。
だから、この表を使ってる。
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まずは、基準を下の部分に描く。
そこから、どうズラすかは、そのコマで伝えたいことを考えてから、この表で。
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表の右上部分は、漫画を読んでて、いいな!って思った表現の擬音を並べてる。
基準は、作品のテイストに合わせて変える。
演出の幅や、書体も雰囲気に合わせて変える。
そうしないと、ごちゃつく。
全体の統一感も大事。
この表、結構便利。
よかったらDLして、使ってみてちょ。
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