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【読書記録】vol.002「野心のすすめ」(著:林真理子)

本日紹介する本はこちら「野心のすすめ」著:林真理子 です!

📍 あらすじ

「やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる」をモットーとする作家・林真理子。中学時代はいじめられっ子、その後もずっと怠け者だった自分が、なぜ強い野心を持つ人間になったのか。全敗した就職試験、どん底時代を経ての鮮烈なデビュー、その後のバッシングを振り返り、野心まる出しだった過去の自分に少し赤面しながらも、“低め安定”の世の中にあえて「野心」の必要性を説く。

「有名になりたい」「作家になりたい」「結婚したい」「子どもが欲しい」
――無理と言われた願望をすべて叶えてきた人気作家による「夢を実現させるヒント」。

「やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、
やらなかったことの後悔は日々大きくなる」をモットーとする作家・林真理子。

中学時代はいじめられっ子、その後もずっと怠け者だった自分が、
なぜ強い野心を持つ人間になったのか。
全敗した就職試験、電気コタツで震えたどん底時代を経て、
『ルンルンを買っておうちに帰ろう』での鮮烈なデビュー、その後のバッシングを振り返り、
野心まる出しだった過去の自分に少し赤面しながらも、“低め安定”の世の中にあえて「野心」の必要性を説く。

Amazonから引用

あらすじが少し長めでしたので、「要するにどんな本?」というのをまとめてみました!

📍要するにどんな本?
・林真理子が売れっこ作家になるまでの紆余曲折を描く自伝
・「野心まるだし」だった若い頃を振り返りつつ、願望を叶えるためには「野心」が必要だということ
・数々のヒット作を生み出してきた林真理子の人生の歩みがわかる

私が説明するまでもないかもしれませんが、林真理子先生と言ったら超売れっ子作家先生ですよね。

📍代表作
・エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(1982年)
・小説『不機嫌な果実』(1996年)
・小説『みんなの秘密』(1997年)
・2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の原作

小説家でもあり、2018年には大河ドラマの「西郷どん」の原作をしているほど、日本を代表する作家さんです。

今回は、「天才作家先生の頭の中を覗きたい」という下心ムンムンの理由で、この本を選んでみました。

だって知りたいじゃないですか。天才が何を考えているのか。(うんうん)

ということで、感想を目次にしてみましたのでどうぞ!!




📌  有名になりたいという素直さ

いわゆる自伝ではあるのですが、林先生といえば「有名になりたい」「売れっこ作家になりたい」というあらゆる願望をよく言葉にして発言している箇所がいくつもありました。

私が数年前に見た対談番組でも同じようなことを仰っていて、「売れっ子の大御所作家でも、そんなことを言うのか……!」と驚いた記憶があります。

タイトルにもある通り、その願望こそが活力の源であり原動力。いわば「野心」そのものだと全体を通して感じました。

「願望は言葉にすると叶う」とよく耳にしますが、それを体現したわかりやすい一例の人物なのかもしれません。

そして、その素直さがきっと林先生の魅力なのでしょう。

この自伝、林先生自身も何度か「自慢話みたいに聞こえてしまうと思いますが……」とこぼす箇所があるのですが、自慢話はだいたい大きな実績のはなしだし、林先生の素直さが嫌味を感じさせないのだろうと思います。


📌  充実感のある人生を歩むためには


林先生いわく、「充実感のある人生を歩むには」このように語っています。

人は自覚的に「上」を目指していないと、「たまたま」とか「のんびり」では、より充足感のある人生を生きていくことはできないのです。

「野心のすすめ」本文から引用

これは私が今まで読んできた自己啓発本やビジネス書籍にも同じようなことが書かれていたので、素直に結局これが正解。なんだと思います。

「上」というのは、すなわち「挑戦」を指していて、人間は常に目標や夢(願望)に向かって努力し続けて、試行錯誤した結果、達成する。という経験を繰り返していくことで、充実感を感じる生き物なのだと改めて認識しました。

話は少しそれますが、先日ビジネスを何年もやり続けて走り続けてきた方が、「突然1ヶ月休みをとってみたらどうなるのか」というのを実践してみた。という記事を読みました。

その方は、フリーランスとしてずっと働き詰めだったらしく収入も安定したので、「1ヶ月休んでみる」というのを実験的に行ったそうなのですが、1週間ほどはNetflixを見てゴロゴロしたり、充実感のある生活を送っていたらしいのですが、2週間もすると「何もしていない焦燥感」に駆られ、仕事がしたくてしょうがなくなったり、人と関わりをもちたくなったと話されています。(もともと仕事が好きな方らしいですが)

なので、世の中の人は疲れている人が多いし、休みたがっている人が多いけど、「実際長期間何もしていないと不幸を感じる」生き物なのだと感じました。

ということで、この本を読んで改めて充実した生活というのは……。

❓ 充実感のある人生とは
・挑戦をしながら目標や夢に向かって突き進む
・他者との関わり合いの中で自分の存在価値を実感する

結局はこれが正解なんだな。と改めて認識しました。(なるほどなぁ・・・)

「ゆるく生きていきたい」と私も考えることがありますが、結局は毎日が忙しいかったから、余白が欲しかっただけなんですよね。

余白だらけだと、人は不幸を感じる傾向が強い生き物ですから、ゆるいだけじゃ充実しないというゆるくない真実を思い知らされました。

つまり、「頑張る」って楽しいことなのかも?


📌 屈辱感は野心の入り口

これは章のタイトルなんですが、内容が私に刺さりすぎて「これ以上はヤメテ……シンジャウヨ」と瀕死になった章でもあります。

健全な野心を持つための第一歩は「現状認識」

「野心のすすめ」本文から引用

「野心」っていうのは、なんでもうまくいっている充実した失敗のない人生を送っている人には生まれない感情だということを説明してくれる章でした。

  • 「同期の就職が決まっていく中、自分だけが面接に落ち続ける」

  • 第3希望の大学にしか入学できなかった

  • 告白してフラれた

などなど……生きていれば嫌と言うほど味わう「挫折」
その「挫折」こそが「野心」に繋がるのだと教えてくれました。

確かに私も、学生時代にゲーム会社に就職したくて50社に応募したものの書類も面接もすべて落ちましたが、どうしても諦めきれず卒業した後の4月に受けた会社に内定をもらい5月に入社しました。

その会社に入社できたからこそ、今フリーランスのゲームクリエイターとしてやシナリオライターとして活動できているのだと思いますし、すべて「ゲーム会社に絶対に入りたい!!!」と夢を持って挫折し続けたからこそ芽生えた野心で道を切り拓いたのだと今なら感じます。

話は戻りますが、だからこそ今まで味わった、もしくは今味わっている「挫折」に目を背けずに向けて「野心」への変貌を遂げる種を見つけていくのだと教えてくれました。

「今のままじゃだめだ。もっと成功したい」と願う野心は、自分が成長していくための原動力となりますが、一方で、その野心に見合った努力が必要になります。

「野心のすすめ」本文から引用

単純に「自分はこんなもんじゃない!!!」「もっとできるはずだ!!!!」と根拠のない自信すらも野心につながると後述していたので、そういう理由でもいいんだと思います。

自分と向き合って自分を鼓舞していこうぜ!!!野心むき出しにしようぜ若者よ!と背中を押してくれる内容でした。


📌  野心と向き合う怖さ

次に取り上げるのは「野心と向き合う怖さについて」。これがマジで深いはなしだった。

作中に林先生が初めて出版の話が舞い込んできた当時の様子が語られていたのですが、飛び上がるほど嬉しい話が舞い込んできたことは事実なのに、どうしても筆が進まなかったそう。

ずっと憧れていた出版の話が舞い込んできたのに、どうして「書けなかった」のか。

凡人には分かりかねる感情ですが、それが紐解かれたのが作中のこの文章。

自分の本を出せる、有名になれるかもしれないチャンスがあったのに、一年も放置した理由。

いろんな言い訳を経て……(一部省略)
「何よりも、現実に野心と向き合うことが怖かったのです。野心は満ち溢れ、自分は書いたらきっとすごいんだ、と思っているのに、一冊分の原稿を書くのは面倒くさかったし、なかなか勇気が出なかった。

本を出せばすぐベストセラーになり、すっかり有名人になった自分を妄想している段階がいちばん楽しいわけです。」

「いくら自信家の私だって、実際は書けないんじゃないか、書いても面白くならないのではないかという懸念は当然ありました。たちまちベストセラー作家になっている、虚像の自分を壊したくなかったのです。」

「野心のすすめ」本文から引用(一部省略)

これを読んだ私の感想は「うッッッッッわ!!!!!!!この気持ちを抱けるのって、何か夢や目標に突き進んでいる一握りの人だ」と。(言語化が難しい)

凡人にはこの気持ちかねないこの心情、すごく面白い、興味深い・・・・。

ずっと本が書きたいと夢見ていた人に、出版の話が舞い込む。だったら喜んで引き受けて書くじゃないですか。普通なら。

でも、違うんですよね。

人間って面白いのが、虚像の自分を妄想している時が1番楽しいんですよね。
そして、自分に失望したくないという恐れを破るのは大変なことです。

「出版した本が売れなかったらどうしよう」「期待に応えられなかったらどうしよう」「売れなかったら紹介して押してくれた担当さんに申し訳ない」「最近体調悪いしかけるかわからない」とか言い訳が無限に浮かんでくるんですよね。

これって誰でも抱く感情じゃなくて、「何かに向かって努力している人」にしか抱けない恐怖なんですよね。(もちろん恐怖なんて感じずさっと引き受ける人もいると思いますが)

この感情は私も以前すごく興味深くて面白いと思ったことがあって、自分が作ったゲームにも取り入れたことがあります。

同人乙女ゲーム「嘘つきストリーマー」ゲーム画面より

嬉しい誘いが舞い込んできた時だけではなく、努力して夢に向かって突き進んでいく過程で自分の努力が報われず、否定されたり、誰かに追い抜かされたり……。

夢を追うことで向き合わなければいけない複数の挫折と恐怖は、一握りの人間しか味わうことのできない感情なのだと、改めて感じました。

この人間の複雑な感情って本当に興味深くて面白いなぁ・・・。

ちなみにこの出版の話が舞い込んできたという話のオチがとんでもなく面白いんですが、結局いつまでも書かないので担当にお尻を叩かれて初めての本を出版されたんですが、その本がしっかりちゃっかりベストセラーになって人気作家の仲間入りをした。という滑らない話があります(笑)

ちゃんと実力あったんじゃん!!!!!!!!!!なんやそれ(盛大なツッコミ)

さすが、やはり天才でした。なんやねん。

ちなみにその作品がこちら。

(ルンルンとかにじさんじの猛獣しか出てこん)

📌  「野心」と同時に「努力」が必要だという話

最後に取り上げるのは「野心」と同時に「努力」が必要だという話。

これまで「野心を抱いて夢を追えば人生充実して楽しいぜ!」という内容だったのですが(超ラフにまとめると)。

とはいえ「野心」だけあってもダメだというはなし。

過去に林先生のもとへ「小説家になりたいんです!弟子にしてください!!!(でも小説は書いたことないんです!!)」という若者が訪ねてきたらしく、その若者のことを先生は「野心しかない若者」というふうに例えていました。

単純な話、「野心」だけある状況って「こうなりたいな!あぁなったらいいな!」とタラレバを言っているだけで、行動(努力)にうつしていない人のことを指すんですよね。

そんな私も耳が痛い話ではあって、ずっとYouTubeを始めてみたいと何年も思っていたのに「今は同人ゲーム制作が忙しいから(ほんとに忙しかったけど)という理由をつけて始めてこなかったんですよね。

それでようやく1年半ほど前からチャンネルを開設したんですが、「もっと早くやっていればYouTuberとして未来が開けていたのかも」なんて後悔をしたりしていました。

始めていないわけではないのでセーフかなと思いますが、そんなふうにこうなりたいなぁ、という野心だけ持っていても行動していなきゃ何者にもなれないんですよね。(うわ、自分に痛く響く・・・)

これは実は逆のパターンもあって、「野心がなくて努力だけしている」という人もいるんですよね。

「いや、どんな人や」と思う人もいると思うんですが、このパターンでは努力を才能と置き換えるとわかりやすいかもしれません。

例えば・・・

イラストを描く才能(努力もしている)があるのに有名絵師になりたい欲がなく、好きな絵を好きなときに描ければいいや〜という人

これはどんな才能でも同じです。他のたとえを出すならば、クラスでめちゃくちゃ美人でスタイルもよくて可愛い女の子がいてスカウトもめっちゃされているのに、モデルや芸能界に興味がない子とか。(でもスタイル維持やメイクは勉強したり努力はしている)

なんでその美貌を持っているのにアイドルやモデルを目指さないんだろう〜って人、ホントにいますよね。そういう人は目立つのが苦手、とか他にやりたいことがあるパターンが多い気がします。

こんな風に、才能(努力)があっても、野心がないと消えていくし、消える前に、ステージにすら立っていない人も多いんですよね。(本人がそれでいいと思っているので、否定しているわけではないんですが)

うーん、いろんな人がいるなぁ・・・(小者の感想)


と、いうことでまとめです!

📍 感想
・天才の人生の歩みとその思考回路を覗ける良作
・充実とは「挑戦し続けることである」
・屈辱を味わうことで野心が芽生える
・野心と努力は同じ量で

📍メモ
・販売が10年前ということと著者が70歳という年齢なのでとくに若い頃の考え方や価値観、環境や思考は令和の時代ではちょっと合わないところもある

こんな感じでした!私は今年のテーマを「充実」としていたのですが、急いで「野心」に変えたいと思います!!(まだ1月だ!間に合うぞ!!)

ということで今回のブックレビーは以上となります。
みんな野心持とうぜ!!!(小者の感想)

END

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