日本人の、豊かな暮らし 【前半】
「自慢話になるから、話したくないですよ」とその方は言う。
地域で貢献されてきた方で、過日とある集まりで話してほしいとお願いした。嫌がられながらも来てくださって大変ありがたかった。
ただ、私の力不足で、せっかくお時間など頂いたのに、話して頂くためのお膳立てが至らず残念な結果となった。
しかしながらこれを機に、現実に物事を組み立てることに真摯に取り組むべく人間力を磨くことを胸に誓う。近々これからもお力を借りることをお願いしに参じる所存。
今からお話するのは、そんなかけ出しの私のとあるビジョンなのだけど…
ひとつ「話したくない自慢話」をしないと書き出せそうになくて困ったな…と思っている。
去る九月二十三日、秋分の日。
夕方四時半より、T不動産のFさんと某所で待ち合わせ物件を見学した。
「ここに住みたい…」素直に思いが言葉に出た。これまでの逡巡など経緯を話すと、「最初に感じられたことが大切ですよ」と助言があった。
その後、私はとある懇親会に参加。そこで私は福岡の歴史を学ぶ機会を設けるので、興味のある方は是非ご参加くださいと話した。
新しい出会いもあり、様々に想いを語られるのを聞いたりしてとても生き生きとした時間だった。
その中でひとり、とても力強い女性に出会った。その方は私の、「本質を求める気持ちの強さ」を見て、ご自身が携わっている仕事に誘って頂いた。
というのも、私が使っていた博多織の巻き込まれたボールペンを見て、そこからお茶のお稽古に誘われたことから話が行き着いた。
「ぜひお願いしたい。ただ現在仕事を探している段階で、何曜日が休みになるのかまだわからないんです。」と言うと「あら、じゃあうちの会社で働かない?」という話になったのだ。
そんな、簡単に話が進むのか。怪しい話か、何かの小説から持ってきた作り話じゃないのか。そう思う人もあるかもしれない。
それについての説明はちょっと省かせて頂きたい。それを話し始めたら、そもそも懇親会の目的などに触れなくてはならず、話が大きくなり過ぎる。そのようなわけで…とにかくここは控えておこうと思う。
さて、その方が携わっている仕事というのは、これまた今は細かく説明は出来ないのだけれど、経営者の方を顧客にするお仕事ということ。
そういった仕事はしたことがないし、私に出来るのだろうか、とは思うものの仕事の内容には興味がある。一度しっかりと話を聞かせて頂いて、前向きに検討したいと思った。
これが、「話したくない自慢話」…え?どこが自慢なのかな?という感じもしなくもないけれど…まあとにかく、もう書いてしまったことだし、サラッと流して本題に入ろう。
この仕事はおそらくそれなりの収入になるのだと予想している。まだ詳しい話を聞いたわけではないから、とらぬ狸の皮算用〜となる可能性もないではないが…
そうすると、先に見学した物件に住んで家賃を払うことは苦もなく出来るだろうと思う。
ここからは私のビジョンに関わる話。
私には、物心両面で豊かな暮らしを求めているということがこの頃はっきりとわかって来た。
住む場所、仕事を近々決めなくてはならない。今は何のあてもない。「仕事は何がしたいんですか?」と訊かれると「何か面白い仕事ないですか…」といった具合。
家賃は?収入は?
御守りみたいに大事にしている大きな書棚は運び込むには物件を選ぶ。小さな頃、私達姉妹に投資として父が買ってくれたピアノは今やメーカーでは生産していない、良い共鳴版を備えたもので、私にとっては宝もの。
これら二つをどうするか…それを巡って相談したり、断捨離と言われる面からも考えてきた。
物心両面で豊かな暮らし。それは、ある人から見れば贅沢なのかもしれない。
これからの生活の変化について、話したくはないけど話さざるを得ない人に伝えた。私のしようとしていることは「能力があるからできる」と言われた。ご自身のこれまでの越し方に照らして嫉妬のような気持ちを感じる対象にもなるのだと、感じられた。他にもチクチクと文句のようなものをぶつけられた。まあそれは想定の範囲内だな…などと思う。
見ている範囲の違いだと思われる。その人は自分の家族と、自宅に集まってくる生徒さんを相手に仕事はしていたが、社会としては範囲が限られていた。広い世界を感じているのにも関わらず、ご自身の世界を広げる、知らない世界や人とつながる道が思ったより開けなかったことに何か物足りなさを感じられているのかもしれない。
私は、今本気で思う。
普通に、皆が豊かに、それぞれの満足を得て暮らせるはず。望むものを得て、幸せな気持ちで生きることができるはず、と心から思う。
それには本当に望むものを、玉ねぎの皮を剥くようにして気づいていく作業が必要なのだけど。幸いにして私にはそのための時間や機会を得ることが出来た。
長くなったので【後半】に続けます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?