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角川『短歌』2020年2月号*追記有り

①上野誠「みじかすぎるうた」〈私も、三十年以上、詩の授業をしてきたわけであるが、今はこう考えるに至った…。〉これに続いて示される見解のために、この連載の2カ月分があったのだ。面白おかしく書いているのだが、実に練られている文章だ。

なんだ七生とはななたび生まれかはることやりなほしできるんだ 平井弘 戦中のスローガン「七生報国」を下敷きにしている。もちろん一度切りの命、やり直しなどできるわけはない。しかしこうした言葉に騙されてしまう人もいるし、そこは昔と変わっていないと思う。

白い皿を手はたんねんに拭ひをり怒りは冷ゆるとき発芽する 河野美砂子 感情が昂っているのに、淡々と家事をこなしている。手が勝手に皿を拭っているかのように。そして最初のカッとなった気持ちが冷えてきたときに自分が怒っていることを自覚する。分かる分かる、と言いたくなる。

③特集「喜怒哀楽を歌にする」香川ヒサ〈こうして感情の表現を見てきて、今言えることは、「感情を吐露する時こそ、最も短歌の様式に問われている」であろうか。〉これはかなり深い。

「喜怒哀楽」、特に「喜」「怒」は強い感情。今回通読し直して思ったことは、河野裕子の歌には、「喜怒哀楽」の中では「哀」の歌が多く、またこうした感情には分類できない微妙な気持ちを詠った歌にいいものが多いということ。

④「親父の小言」「青年の主張」どちらも激しいタイトル…。とりあえず見開きで並べない方がいいのでは。

2020.2.11.~15.Twitterより編集再掲

⑤追記:梅内美華子「時評 口語自由律短歌の歴史と現在」口語短歌の歴史を調べていて再読。口語自由律、新短歌についてはまだ知らないことが多いと思った。〈波打ち際に本当の声が押し寄せる ばかばかばかばかさみしいぞ 夜 真篠未成〉梅内の選んだこの歌はかなり好きだ。

2020.6.15.Twitterより編集再掲