『うた新聞』2022年6月号
①四人目の孫がまもなく産まれると軽やかに球根 を割る義母 奥村知世 作中主体からすれば甥か姪にあたるのだろう。義母からすれば孫が増えるのは無条件に良いことなのだろう。球根を割るのは、分球して増やしているのか。「軽やかに」にどこか主体の屈託を感じる。
②「短歌トラベラー!」ブルージュの運河に浮かびし船ホテル脳(なづき)の端に停泊しをり 川田茂〈運河に古ぼけた大きな船が浮かんでいる。もしやと近づき船に印された文字を確かめると驚いたことにそれが目的のホテルであった。〉行きたい街の一つ。このホテル、泊まりたい。
③『再び還らず』を読む
二十年反原発の歌詠み続け擁護論の人らと共に避難す 佐藤祐禎
藤原龍一郎〈呉越同舟の避難所だ。しかしもはや取り返しがつかないのが現実だ。〉藤原が〈短歌に詠まれなければ、歳月の波の中で忘れられてしまうにちがいない〉と述べた言葉が重い。
2022.7.5.Twitterより編集再掲