『短歌往来』2023年1月号
①田中教子「うたの小窓から」〈土屋文明はいずれ、口語の短歌の時代が来ると思っていたようだ。そして彼は、現代人の心は五七五七七の枠には収まりきらない、と感じ、長大な字余りを容認していた。〉
このあたり、もっと口語短歌を論じられる際に取り上げられても良さそうなもの。
〈山崎方代の口語文語混じりは、方言的口調のような、素朴な自然さを感じさせる。〉
そしてもう一人、口語と言えば外せないのに外されがちな山崎方代。自分としては、今回の『キマイラ文語』で一首だけでも触れられたのは良かった。口語短歌はまだまだ議論が足りない。特にライトバース以前。
②ふわふわの死にたいを今焼き上げて死からは遠ざかってく身体 江上陽菜 ホットケーキ的な…?「ふわふわの死にたい」が気分的なものをうまく掴んでいると思う。「・・・たいを今」というリズムの詰め方も好き。死にたいが焼きあがったら死から遠ざかる。現実に近づいたのか。
③蛇のやうといふ比喩は執拗の謂(いひ)ならず蛇はおほかた臆病にして 桑原正紀 執拗なのは人間だけなのだろう。それを蛇に喩えたのも人間だ。執拗な人間が自分の心を投影したということなのだが、なぜ蛇か。生物としての何か深い記憶があるのかもしれない。
2023.1.19.~20.Twitterより編集再掲